中井氏はコンビニの最先端の情報を入れることも意識し、取材で得た知識をドラマに取り入れた。外資系ネット通販会社「エクサゾン」が「ココエブリィ」と戦略的業務提携を結ぶという展開もその一つ。「コンビニの監修の方に今のコンビニを描くキーワードを聞いたときに、ネット通販会社が店舗を欲しがっていると。パイを広げるために高齢者の方たちに買ってもらいたいと考えたときに、高齢者の方は商品を見ないと買わないから実店舗を欲しがっているそうです。最初は商社とコンビニで考えていましたが、その話を聞いて面白いなと思ったので、ネット通販会社にしました」と解説した。

社長代理に就任した神子亮(山本耕史)が、将来のコンビニの姿として「レジなしデジタル会計」をプレゼンテーションするシーンもあったが、中井氏は「新しいコンビニの在り方を紹介したいと思い、実際に始まっている『Amazon Go』(アマゾン・ゴー)という、財布を広げずに買い物できる形を取り入れました」と説明。記者時代に知ったという。

コンビニカーもこだわった一つだ。「老人ホームにコンビニカーが来て、老人ホームの方たちが買い物をするというシーンを8話で描きましたが、老人ホームの方たちはあまり外に出られないから買い物する楽しみがないという話を聞いたんです。生きる上で買い物をする楽しみも生きがいの一つ。実際に老人ホームに行っているコンビニカーがあるそうで、監修の方から『おばあちゃんたちがお菓子やパンを手にとって喜んでいらっしゃるのが印象的』という話を聞いて、ぜひ描きたいなと思いました」

そして、「人が人に会いに行くコンビニカーと、『Amazon Go』のように会わなくて済むコンビニ。両極端の2つがあって面白い」と語る中井氏。また、「ラブストーリーでそこまでしっかりコンビニを描く必要があるのかと思われる方もいるかもしれませんが、僕自身、ラブストーリーだけではないドラマも好きでしたし、せっかくなら新しい情報も紹介して、何か提案ができたらいいなという思いで描きました」とこだわった思いも明かした。

スイーツの魅力も改めて聞くと、「スイーツは1人でも食べますが、誰かの分を買うという思い出がみなさんあると思います。ホールで買って分けようとか、誰かのために買おうとか。“誰かが誰かのことを思う”。スイーツは、ドラマでやりたいことにすごくフィットした題材。ポスターに『今年はいろんなことがありました。甘いものは、人を幸せにします』というキャッチコピーをつけていますが、まさにそうだと感じています」と語る。

最後に、「このドラマを見て、スイーツを食べたくなったり、誰かと何かを共有したいという気持ちになっていただけたら最高にうれしいです」と視聴者にメッセージ。最終回は、コンビニスイーツを食べながら、恋の行方を見守りたい。

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