本作では、芝翫の息子である中村福之助も刺客の1人として出演。芝翫は、撮影を行った京都の東映撮影所での若い頃の思い出を話し、「楽しい思い出もありますけど、苦しい思い出もある東映。そこへ息子を連れてきて、自分の主演のドラマでやっているというのは時代の流れを感じますし、東映の楽屋に『中村芝翫』とかかっているのを見ると、自分自身も芝翫になってここに来られたんだなと。息子を連れてこられたのもうれしいですし、次は僕のドラマではなくて自分自身で東映の撮影所に来て時代劇をもっともっとやってほしいですね」と感慨深げに語った。
また、芝翫が「基本的に僕は息子にあまり教えない。僕自身もよその先輩方に教えていただくことが多く、役も人間性もそこで教わったところがあるので、3人の息子も外で教えてもらうようにしています。向こうから聞いてきたら教えますけど」と息子たちとの関係性を明かすと、高橋は「教えたほうがいいよ。お願いしますよ!」と要望した。
本作には、往年の時代劇の魅力がある。高橋は「最近の時代劇はカメラがよくなって見えすぎるというのがありますが、(本作は)色も映像も往年の時代劇。僕らが見ていた時代劇をあえて作っていて、それがとても素敵でした」と述べ、芝翫も「東映のスタッフのみなさんが生き生きとしていました。照明が素晴らしかったです。時代劇のいろんな醍醐味がこのドラマには含まれていると思います」と魅力を伝えた。
後半の立ち回りは最大の見せ場。高橋は「テレビでよくあそこまでできたなと。どこか血が騒ぐ感じがありました」と振り返り、芝翫は「私はみそ蔵で待っている役なので立ち回りの現場はほとんど見ていませんが、完成した作品を見て泣きました。よくぞ13人で戦ったなという結束の固さ。よく『空前の立ち回り』と言われていますが、後半はセリフではなく立ち回りで表現している。それも面白いなと思います」と熱く語った。
そして、芝翫は「色恋があったり華やかなドラマではないですけど、人の心にしみわたるドラマではないかなと思います」とアピール。敵として戦うことになる新左衛門と半兵衛の「男の友情」を見どころとして挙げ、終盤のシーンについて「自然に涙がこぼれました。子供のときのこととか、いろんなことを思い出しました」と打ち明けると、高橋も「そういう相手がいるというのはいいなと。そんな友がいた人生は幸せなことだったのではないかと。そんな感慨も含めて見ていただけたらと思います」と少し照れくさそうに話した。
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