『ひよっこ』も『今日から俺は!!』も『きのう何食べた?』も自身にとって転機となった作品だという磯村。壁を乗り越えて成長できたと感じている作品を尋ねると、「どの作品も毎回つらいです。現場に行くとスタッフさんもキャストも変わるし、監督の言うことも違うので」と前置きした上で、「その中でも朝ドラはすごく大変でした」と『ひよっこ』を挙げた。

『ひよっこ』出演時は今のように名前が知れ渡る前。「すごく楽しかったですが、俳優としてのキャリアがある方ばかりで、そこに新人の自分が入って空回りしているところがありました。苦戦しながらもお芝居を試行錯誤し、監督にいろいろ教えてもらいながらどうにか演じきることができました」と当時の苦労を明かす。

多くの先輩俳優と共演した『ひよっこ』での経験は、この『恋する母たち』にも生かされているようだ。「今回、年上の女性、上司を引っ掻き回す役柄。相手の方が大先輩の吉田羊さんですが、変に気を遣うのはやめようと。もちろんオフのときはしっかり敬語を使って気を遣いますが、俳優として向き合ったときは、そういったところをなくしたいと思って演じています。2人の関係性として対等でなければいけないので、委縮しないように、気にせず演じるように意識しています」

赤坂役として新たな顔を見せ、視聴者を魅了している磯村。この作品もまた、新境地を切り開いた作品になりそうだが、本作での成長については「作品が終わってからなのかなと。やっている最中はそこに集中しているので、作品が終わったあとに自分の体と心がどう変化しているのかで、自分がこの現場で何を学んだのか気づけるのかなと思います」と冷静だ。赤坂と優子の恋の行方、そして磯村の熱演に引き続き注目したい。

■磯村勇斗
1992年9月11日生まれ、静岡県沼津市出身。『仮面ライダーゴースト』(2015)のアラン/仮面ライダーネクロム役で注目を浴び、2017年NHK連続テレビ小説『ひよっこ』の前田秀俊役で話題に。主な出演作は、ドラマ『今日から俺は!!』(2018)、『きのう何食べた?』(2019)、『サ道』(2019)、『TWO WEEKS』(2019)、『時効警察はじめました』(2019)、『ケイジとケンジ 所轄と地検の24時』(2020)、『恋する母たち』(2020)、『ざんねんないきもの事典』(2020~2021)、待機作に映画『新解釈・三國志』、『ヤクザと家族 The Family』、『東京リベンジャーズ』、『劇場版きのう何食べた?』がある。

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