2020年、ネクストブレイク女優として、頭角を現した若手女優・白石聖。東海テレビ・フジテレビ系ドラマ『恐怖新聞』で連ドラ初主演を務め、佐藤浩市らと共演する映画『サイレント・トーキョー』(12月4日公開)や、ヒロインを務める『胸が鳴るのは君のせい』(2021年公開)などが待機中だ。

そんな白石にインタビューを敢行。「緩急が激しかった」という今年を振り返ってもらいつつ、自身の武器や、将来的に目指す女優像などについて話を聞いた――。

  • 白石聖 撮影:蔦野裕

    白石聖 撮影:蔦野裕

■連ドラ化に不安があった『恐怖新聞』

――人気コミックをドラマした『恐怖新聞』は、かなり攻めている内容でしたが、戸惑いなどはなかったですか?

最初は、ホラーというものを果たして連続ドラマとして受け入れてもらえるんだろうか? と思いました。映画などの単発の作品だと、恐怖がほしい方なら集中して見てもらえると思っていましたが、連ドラとなると、また話が別なんじゃないかと心配になって。ところが放送が始まってみたらけっこうバズって、Twitterなどで「恐怖新聞」がトレンドに入ってきたのを見て、おお!となりました。

――制作陣からはどんなお話があったのですか?

プロデューサーの方がずっとおっしゃっていたのは、共感、ケレン味、恐怖という“3K”を大切にすることでした。ターゲット的にも若い女性など、SNS世代の方々に「こんなこと、ありえない!」とツッコんでもらいながら、楽しんで見てもらえれば一番いいなと思いました。放送はお盆の時期でしたが、目が覚めるような恐怖をお届けできたとしたら、良かったなと思いました。

――Jホラーの第一人者である中田秀夫監督らが演出をされていますが、ヒロインの小野田詩弦役を演じてみていかがでしたか?

中田監督は、いつも的確なアドバイスをくださいます。例えば「今の2倍の怖さで」とか、数字で分かりやすく指示をしてくださるし、音で恐怖を与えるという演出では、息遣いなど、普段はあまり言われないようなこともこだわって指導していただきました。

■「自分の引き出しのなさをすごく実感」

――かなり追い詰められる役どころでしたが、実際に演じてみていかがでしたか?

詩弦は、ずっと驚いた表情をしなければいけなかったので、自分の引き出しのなさをすごく実感しました。中田監督とご一緒できることはすごくありがたかったのですが、必死についていこうとして、自分でも気づかないうちにいろいろな負荷をかけていた気もします。でも、スタッフや母親役の黒木瞳さんをはじめ、共演者の方々がすごく温かかったので、撮影もすごく楽しかったです。

――先輩女優である黒木さんとの共演で、何か学ぶことはありましたか?

黒木さんは本当に優しい方でした。実は、恐怖新聞が自分にしか見えないという事実を知るシーンを撮影していたとき、私がちょっと酸欠状態になってしまい、現場の方々にご迷惑をかけてしまったことがあって。そのあとで、黒木さんが「こういう作品だからこそ、よく笑うといいわよ」とアドバイスをくださったんです。役柄と同様にお母さんみたいに優しく接してくれました。

他にも、黒木さんと2人のシーンで、私が泣きじゃくるというくだりがあったのですが、私がテスト段階からかなり入りすぎてしまったとき、背中をさすって落ち着かせてくれたんです。本当に温かい方で、女性としてすごくすてきだなと思いました。