性能面はどう?

ベンチマークとして、以下を実行してみました。

  • Octane 2(JavaScript)
  • JetStream 2(JavaScript)
  • Androidで一般的なGeekbench5(CPUパワーを測定)
  • Chrome OS用のCrXPRN2(CPUパワーとバッテリ持ちを測定)

比較として、ARM系プロセッサを搭載している「Lenovo Chromebook S330」(CPUがMediaTek MT8173C、4GBメモリ、64GB eMMC)でも計測してみました。こちらはバッテリがかなりヘタっているので、バッテリ持ちのベンチマークは実行していません。また、Lenovo Chromebook S330が日本で発売されたのは2019年夏と、313や712のほうがだいぶ新しい製品なので、ベンチマーク結果の比較は参考程度に考えてください。

結果ですが、314と712はパワフルでした。特にCore i3を搭載する712は、Celeron搭載機の2倍前後という高いパフォーマンス。Chrome OSは軽量(動作が軽い)とはいえ、アプリを多用する人にはパワフルなマシンが向いています。

フル充電の連続稼働は、314も712も画面が最大輝度で12時間以上。これなら十分です。Chrome OSは液晶を閉じてスリープに入る時間も、液晶を開けて復帰するまでの時間も短いので、必要に応じて輝度を落としたりこまめにスリープしたりすれば、さらに利用時間は延びるでしょう。

  • Webブラウザのベンチマーク「Octane 2.0」で総合値の「Octane Score」のみグラフ化。Core i3の712は、Celeronの314比で2倍以上のスコア

  • Octaneはすでに開発が終了しており、Webkitの開発によるJetStream 2が現役です。スコアの傾向はOctane 2.と同じ

  • Androidのパフォーマンスベンチとして使われているGeekbench5にて、CPUなどの速度をチェック。アプリを多用するなら、やはりCore i3の714が軽快な動作を期待できます

  • CrXPRT2は、Chrome OS向けのベンチマークソフト。総合値以外は、数値が大きいほど劣る結果なので注意してください。グラフを見やすくするために、数値は適宜スケーリングしてあります

「Chromebook流」を受け入れられるかがポイント?

現在のChromebookで動く「アプリ」は3種類あります。

主流なのはAndroidアプリ。以前なら、Microsoft Officeドキュメントを編集するにはWebブラウザ上でGoogleのスプレッドシートやドキュメント、あるいはWeb版のMicrosoft Officeを使っていました。現在はAndroidのExcelやWordといったアプリが利用できます(すべての機能を使うには有償版が必要ですが、簡易編集なら無料版でも大丈夫)。今回チェックした712はタッチパネル付ですから、Androidのアプリとの親和性が高い点も魅力です。

ただし、Chrome OS上ですべてのAndroidアプリが動くわけではありません。例えば、Android版のZoomクライアントは、2020年11月23日時点でCheomebookではダウンロードできません(Chromeの拡張機能でZoomが使えるようになります)。Androidアプリの動作については、開発者と協力して今後も改善するということなので、今後のChrome OSアップデートでより多くのAndroidアプリが動くようになるでしょう。

  • Chrome OS上で動作する代表的なアプリはAndroidアプリ。Google Playから多くのアプリをインストールできるのですが……

  • 2020年11月23日時点では、すべてのAndroidアプリが動くわけではありません。リモートワークでの定番会議ツールであるZoomは「利用できません」と表示されます

  • 現時点でZoomをChrome OS上で利用するには、Chromeの拡張機能で対応します

  • といっても、Zoomで便利な仮想背景も使えませんし、設定画面も英語です

2つ目はLinuxです。現在のChromebookはLinuxが動作するようになっているので、Androidでは提供されないプロ向けアプリやオープンソースアプリを使うことができます。Chromebook上にGoogleのAndroid Studioをインストールすると、Androidアプリを開発できますし、検証環境の1つとしてChromebookそのものが使えるので便利です。マイクロソフトのVisual Studio Codeをインストールすれば、幅広いプラットフォーム向けにプログラムを開発できます。

Chrome OSにおけるLinux機能はまだベータ版としての提供ですが、設定画面からLinuxを有効にし、ウィザードに従って設定すれば10分もたたずに使えるようになります。プログラミングという観点でも、Linux環境が使えるのは強力です。314と712はIntel製CPUを使用しているので、ソースファイルから長い時間かけて実行ファイルを作らなくても、公式で配布しているIntel CPU用のソフトウェアパッケージを手軽に利用できます。

最後の3つ目はChromeブラウザアプリですが、2021年6月で一般向けChromebookのサポートが終了します(教育用と企業向けのChrome OSは2022年6月にサポート終了)。実はWindowsやmacOSのChromeウェブストアでもChromeブラウザアプリが利用できたのですが、人気がなかったようで、すでに終了しています。すでに新規のアプリ登録が終了しているので、これからChromebookを購入する人は気にしなくていいでしょう。

  • 以前のChrome OSでアプリといえば、Chromeブラウザアプリでした。すでにChromeウェブストアにおけるアプリ対応の終了がアナウンスされており、音楽のSpotifyも最新版は2017年と古くなっています

  • Spotifyを楽しむならAndroidアプリが使えます

アプリの使い方という意味では、Windows環境に慣れている見方をすると、ややクセがあるのがChromebookの現状です。しかし、OS自体がサクサク軽量、Chromeブラウザの使い勝手はWindows版やmacOS版と同等。GmailやOutlookなどChromeブラウザだけで使えるツールは多く、Chromebookで動くAndroidアプリも増えています。大半の用途はカバーできるでしょう。

また、子どもが通う学校でChromebookを導入している場合は、自宅にChromebookがあれば予習復習ができます。Chrome OSは複数アカウントを切り替えて利用しやすく設計されているので、一家で1台でもトラブルになりにくいのも特徴です。クラウドファースト時代に向いたChromebookを試してみてはどうでしょうか?