■本作の見どころはお互いのシーン
――今回、同じ作品で、大人になったお互いを観ていかがですか?
三吉:私は、この映画の見どころは「倫子と雷のラブストーリーです」って他の取材でも話してるんです。
伊藤:えー!
三吉:本当に。弘徽殿女御は、もちろんかっこいい女性ですし、彼女によって雷が成長していく物語ではあるんですけど、一方で、ピュアで可愛い、とても温かい、そして最後にホロっと泣いてしまうような、そんな純愛が展開されていて。倫子も、ほんとだんだんたくましく見えてくるし。「二人のラブストーリーが見どころ」だとずっと言ってます。
伊藤:三吉、ほんと、いい子だね。いや、嬉しいです。でもこれはお返しじゃなくて、私は強い女性を演じるって、本当に難しいと思うんです。ただ強くモノを言ったりしても、本当の強さには見えない。弱いヤツほどよく吠えるから。でも弘徽殿女御からは、ちゃんとした強さが滲み出ている。今回、三吉とは最初の所作指導で少し一緒だったくらいなんです。そのときにはゼロだったので、本編では完成された弘徽殿女御が出てくるんだろうと予想はしていましたが、でも予想以上だったというか。強く生きているように見えるのに、同時に切なさもあって。目が語る情報量がものすごく多くて、本当に三吉、さん、じゃなきゃできない弘徽殿の女御だったと思います。
三吉:やだぁ、ありがとうございます。
伊藤:いやいや、本当に。なんか上からに聞こえたら申し訳ないですけど、大正解の弘徽殿女御だったなって。しっかりと人間味があって、とても魅力的でした。
■もしもタイムスリップできるなら……
――タイムスリップものでもあります。三吉さんは、時代でも物語でもで、どこかに移動できるならどこに行きたいですか?
三吉:恐竜がいる時代に行ってみたいです。
伊藤:アハハハ! 絶対ヤだ、食べられちゃうよ。
三吉:恐竜に会いたいんです。
伊藤:覗くんじゃなくて、会いたいの?
三吉:触れたい。目を合わせたい。
伊藤:ヤだ! めちゃくちゃデカイんだよ。どれに会いたいの? ティラノ?
三吉:まあ、ティラノとか。一通り。
――自分自身が恐竜になって戦いたいとかは?
三吉:それは全然ないです。戦うのは本当に嫌いなので。
伊藤:馬みたいな感覚で会いたいとか?
三吉:そうそう。卵がかえる瞬間とか見たい。
■「光源氏」づいてる伊藤が三度目の正直で演じたいのは?
――伊藤さんはこのところ光源氏づいてますが。(※ドラマ『いいね!光源氏くん』)
伊藤:づいてますね~。
――また光源氏ものの世界に入れるなら、今度はどんな役を演じたいですか?
伊藤:役柄で言ったら、自分としては倫子がジャストだと思うんです。でもそうだなぁ、これまではどっちも受け入れる側なんですよ。現代で受け入れるか、平安で受け入れるか。
三吉:確かに。
伊藤:だから今度は受け入れられたいです。自分が降り立った時代で戸惑ってみたい!
三吉:ねえねえ。沙莉っていつ休んでるの?
伊藤:ええ! それはこちらのセリフですよ。三吉もすごく忙しそうじゃん。
三吉:いや、仕事とかって話じゃなくて。
伊藤:あ、テンションのこと?
三吉:畳みかけるスピードが速すぎなんだもん。家に帰ったらめっちゃ静かとか?
伊藤:家だとスイッチ切れてるね。充電してる。いまはまだ充電98くらいあるからね!
三吉:あはは、そうなんだ。
■今度はがっつり共演をして喧嘩でも
――本当に仲良しですね。今度は本編で共演しているお二人が見たいです。
三吉&伊藤:本当に!
伊藤:がっつり喧嘩とか。
三吉:したいしたい。でも負けそう。
伊藤:何言ってるの、大丈夫だよ。上から見下ろすだけで勝てるよ。
三吉:あはは。そう?
――最後に公開に向けてひと言ずつご自身のシーンから見どころをお願いします。
三吉:弘徽殿女御は、たとえ犠牲を伴ったとしても、息子や国のために色んな事を成し遂げていく強い女性ですが、後半、六条御息所に問いかけるところがあって、そこは撮影しながらもグッと気持ちの入ったシーンでした。そういったところから弘徽殿女御の温かさを、ジンワリ感じていただけたらなと思います。
伊藤:雷と倫子のシーンって、結構点描で展開していくんです。2人が育んでいく日々の全部を見せることはできないので。そのなかでも雷が歌うスピッツが絶妙なんです。
三吉:わかる!
伊藤:あそこが本当に絶妙で、倫子と雷の時間の流れを象徴するシーンにも感じられるので、ぜひ堪能してください。
■三吉彩花
1996年6月18日生まれ。埼玉県出身。ファッションモデルとして活躍。女優としては、映画『グッモーエビアン!』(12)、『旅立ちの島唄~十五の春~』(13)での演技が評価され、第67回毎日映画コンクールおよび第35回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞。近年、『ダンスウィズミー』(19)、『犬鳴村』(20)、『Daughters』(20)と主演作が次々と公開されている。
■伊藤沙莉
1994年5月4日生まれ。千葉県出身。2003年に子役としてデビュー。主な出演作に映画『獣道』(17)、『寝ても覚めても』(18)、『劇場』(20)、ドラマ『ひよっこ』(17)、『これは経費で落ちません!』(19)、『いいね! 光源氏くん』(20)。アニメ『映像研には手を出すな!』(20)など声優としても活躍。本年は、第57回ギャラクシー賞個人賞ほかを受賞。