●タイプ異なるバラード2曲で、駒形が表現したものとは
――そこからまたガラッと雰囲気の変わる「真珠星」が、三好さんが手掛けられた曲。
いやぁ、バラードなのにこんなにキラキラするなんて……私のイメージする”バラード”はちょっと湿度の高いジメッとしたものなので、すごく爽やかでキラキラしたバラードは、なんだか眩しくて素敵だなぁって思いました(笑)。
――この曲では、特に表現したかったものはどういったものでしたか?
バラードではありますけど、曲が終わる頃には気持ちがスッキリして前を向いて、またひとつ成長して変わった自分になっている……という心の強さでしょうか。落ち込んでいるところから成長してポジティブな気持ちになるって相当なエネルギーが必要なはずなので、弱さだけではなくてそういう強さもこの曲の中で表現できたらな、と思っていましたね。
――失恋を描いてはいますが、おっしゃるように弱さだけではなく自分の中で整理できているような部分は歌声からも感じられました。
最初はやっぱり寂しさみたいなマイナスな気持ちから始まるんですけど、夜空の星を見上げながら改めていろいろなことを考え直していくことで、前向きになっていって。それで、泣いているんだけど最後は笑っている……みたいな表情感は、思い浮かべながら歌いました。
――そして「insomnia」。こちらも御自身で作詞された曲ですが。
先に作詞させていただいた「empty」では作品からのインスピレーションなどもあって自分の中で”作ったもの”の中で言葉を選んでいたので、「insomnia」は暗くなっても地味でも重くてもいいから、とにかく自分の想いを”吐き出した”ような感じの歌詞になっています。やっぱりファンの方からも、妹からも「詞が重い」って言われてしまいましたけど(笑)。
――楽曲へのリクエストも、最初からそういったことを念頭に置いたうえでのもの?
いや、「真珠星」とは違うジメッとしたバラードも歌いたかったというのはあったんですが、私自身が作詞するかどうかはあとで決まったことなんですよ。特に私は寝付きがすごく悪いので寝る前にいろんなことを考えてしまって、そういう時間をしんどいなと思うこともあるんです。だから、同じように感じている人たちが、「自分だけじゃないな」とか「こういう考えでもいいのかな」みたいに、考えるきっかけになったら嬉しいです。
――サビでのファルセット混じりの歌声が時折震えているなど、歌声が”弱さ”を的確に表現しているように感じました。
嬉しい……レコーディングでも、サビでどれぐらい声を出すかとか、感情の込め方といった方向性についての話し合いは、ディレクターさんとしっかりとさせてもらったことなんですよ。聴いている方に歌詞の世界をイメージしてもらえるような歌になるように、歌っていきました。
●コンセプトを決めない作品も、いずれ制作してみたい
――最後を飾るのは、インストに駒形さんのコーラスが響く「Good Night」です。
いろんな表情の夜の曲を聴いて、いろんな人の夜が終わって眠りにつく……という睡眠導入のようなイメージの曲です。なのでコーラスも、綺麗にハモっている部分もあれば、私が近くで子守唄を歌っているような生っぽい部分もあります。これを聴いて眠ってもらえたらすごく嬉しいですけど、幻想的な雰囲気の歌詞もない曲なので、聴く人なりのイメージで各々楽しんでもらえたらなと思います。
――しかも『a Day』のM1に戻ることもできそうですね。あちらもインストなので。
あ、たしかに!日頃から「聴いてくださる方の日常に寄り添うような歌をうたいたい」という想いがあるので、この2枚が日々繰り返し聴いていただけるような作品になったら嬉しいですね。
――今回も非常にコンセプチュアルなアルバムになりましたが、違ったスタイルの作品づくりにも興味はありますか?
あります。ざっくり曲を集めて、その中で「絶対歌いたい!」という曲を1~2曲決めて、そこに合わせて全体像を考えて他の曲やイメージを決めていって……作曲家さんたちの今のマインドで好きに作ってもらった曲の中から、私の価値観とガチッと合って歌いたい曲を見つけてアルバムを作るということもやってみたいですね。たとえば今だと、歌詞がバーッと流れていくような速い曲がマイブームなので、そういう曲とも出会えたらぜひ歌ってみたいです。