コロナ禍においては、志尊淳という一人の人間としての活動が話題に。「#志尊の自粛部屋」と題したインスタライブを8日連続で行い、不安を感じている多くの人たちに寄り添いながら楽しい時間を届けた。ファンの思いを歌詞にした楽曲「きぼうのあしおと」の発表や、医療従事者支援としての1000万円の寄付にも感謝の声が続出した。

その行動力に驚かされたが、自身を突き動かす原動力はファンへの感謝の思い。「僕は応援してくれている方たちの言葉がすごく力になっているので、その方たちに返したいという単純な思いです。今だからこそ、コロナ禍だからこそ、密に向き合えた。せっかくこうやって向き合えたものをなくしたくないという思い、それに尽きます」と優しい声で話す。

納得できる演技ができず自己否定に走ってしまい、俳優の仕事を辞めたいと思ったときも、「応援している方がいるのだから頑張ろうと、食い止めることができた」とファンへの感謝を語る志尊。「15歳の時にこの世界に入り、そこらへんにいた学生が、たくさんの方たちに応援してもらえるようになるとは思っていなかったですが、応援してくださる方の声にすごく助けられてきました。その方たちへの感謝は忘れてはいけないと思っています」

ファンに寄り添ったコロナ禍での活動は、自身にとってもプラスに。それは、「自分がやろうと思ったことはやればいいんだ」と自信を持てたこと。「結局、動いてみないとわからない。自分はこれがいいと思ってやったことも、実際は失敗かもしれないし、それはわからない。俳優としての見え方としていいのか、それぞれの意見があると思いますが、僕は少しでも誰かを楽しませることができたらという思いだけだったので、何が正解で何が失敗かというのもあまりないというか、自分の気持ちに従って突き進めばいいのかなと思いました」。そして、「ありがとう」という感謝のメッセージを受け、「やってよかった」と感じたという。

また、「俳優という概念は持つ必要がないと思い、その概念を捨てました」と告白。「俳優がインスタライブなどでプライベートな部分を出すことは、一昔前の銀幕の時代であれば遠いからこそのスターというのがあり、それを進んでやることはあまりなかったと思います。今でも、俳優という捉え方においては『安っぽく見える』『なんで私生活をさらしているのだろう』と思う人はいると思いますが、僕はそのイメージよりも、少し突き抜けてみたかったというのもありましたし、俳優として認めてもらえるようになったら何をしても何も言われないと思うので、そういう俳優を目指したいと思いました」とその真意を説明する。

そして、「『俳優だからこういうことはやめたほうがいいんじゃない?』というのを取っ払いたい。誰が何をやったっていいと思うので。今回の挑戦で、俳優という概念にとらわれずにいろいろなことに挑戦していきたいなという気持ちになれました」と続け、「来年映画監督にも挑戦しますが、1つに絞らずいろんなところに視野を広げていきたいなと思っています」と力強く語った。

今年7月に9周年を迎え、10年目に突入した志尊。「この仕事を続けてきて10年目を迎えられたということは、本当に感謝しかないですし、あっという間だったなという思いが強いです」と心境を述べ、「10年目ということでいろいろ考えたりしていますが、かといって10周年だからこういうことやろうとか、来年はこういうことやろうと決めると面白くないので、そのときそのときに感じたものを形にしていきたい。いろんなことをしますが、またなんか志尊やってるなって笑って見ていただけたらうれしいです」と笑顔でメッセージ。常にファンのことを思いながら、自分の気持ちに正直に突き進む。志尊淳の10年目、さらにその先の活動からも目が離せない。

■志尊淳(しそん・じゅん)
1995年3月5日生まれ、東京都出身。2011年にミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズンで俳優デビューし、2014年に『烈車戦隊トッキュウジャー』で主演。そのほかの主な出演ドラマは『きみはペット』(17/フジテレビ)、『女子的生活』(18/NHK)、『半分、青い。』(18/NHK)、『Heaven? ~ご苦楽レストラン~』(19/TBS)、主な出演映画は『帝一の國』(17)、『覆面系ノイズ』(17)、『走れ! T校バスケット部』(18)、『フォルトゥナの瞳』(19)、『劇場版 おっさんずラブ ~LOVE or DEAD~』(19)、『HiGH&LOW THE WORST』(19)。『さんかく窓の外側は夜』(2021年1月22日公開)が待機中