吉田自身、もともと臓器提供の意思があり、家族に対しても「その時には躊躇(ちゅうちょ)しないでほしい」と考えているそうだが、今回の作品を見て、「その思いを家族と共有していないということに気づいたんです。そこが、今回の番組に携わらせてもらって、大きな気づきでした」とのこと。

それを踏まえ、「ご覧になった皆さまにも、まずはこの問題に興味を持っていただいて向き合うきっかけになること。かつ“命のバトン”を待つ人々が1人でも多く、ご自分の人生を当たり前に生きられるようになることに、この番組がきっかけの1つになったらいいなと願っています」と呼びかけた。

■感情移入して読めなくなってしまうことも

『ザ・ノンフィクション』のファンで、「いつも楽しみに拝見しているので、お声がけいただけてうれしかったです」という吉田。今回のナレーション収録には、「ナレーターとして客観的であること、本人の気持ちを代弁すること、視聴者に寄り添うこと、そして臓器提供された方の思いも心にとどめておくこと。この4つを大切にしました」と意識したという。

ただ、特に「客観的であること」を保つのは難しかった様子。「どうしても感情移入してしまうので、事前にVTRを見て台本を読んでいると、気持ちがこみ上げてしまって読めなくなってしまうことが幾度もありましたので、そこは何度も見て読んで、冷静に読めるようになるまで練習をして、今日の本番に臨ませていただきました」と、入念に準備を重ねた。

それでも、今回密着した容子さんやクマさんの明るく前向きな姿を見て、「やっぱり泣くっていうのは違うなって思わされました。『このことをちゃんと伝えなきゃいけない』という使命感に駆られる思いでしたね」と収録を振り返っていた。

  • 容子さん(左)とクマさん (C)フジテレビ

●吉田羊
福岡県久留米市出身。小劇場で女優としてデビューし、ドラマ『HERO』(14年)でブレイク。『コウノドリ』『真田丸』『『コールドケース~真実の扉~』『メディカルチーム レディ・ダ・ヴィンチの診断』『中学聖日記』『凪のお暇』『まだ結婚できない男』などのドラマ、『映画ビリギャル』『ハナレイ・ベイ』『七つの会議』『記憶にございません!』などの映画に出演。現在放送中のドラマ『恋する母たち』に出演するほか、『新・地球絶景紀行』でナレーションを担当する。