きょう2日にスタートするフジテレビ系月9ドラマ『監察医 朝顔』(毎週月曜21:00~)。昨年7月期に放送された人気作の続編で、法医学者と刑事の親子が解剖や捜査によって遺体の謎を解き明かしていく“謎解きもの”に加え、主人公家族の日常を描く“ホームドラマ”や、母親が東日本大震災で行方不明となった悲しみを乗り越えようと葛藤する“ヒューマンドラマ”の要素などを重ね合わせることで、これまでにない心に沁(し)みる作品となり、視聴者からも高い評価を得た。
その繊細で丁寧な描写を支えているのが、作曲家の得田真裕氏が手がけるサウンドトラックだ。『監察医 朝顔』の音楽に込めた思いとは――。
■“主題歌のように”作ったメインテーマ
まず、『監察医 朝顔』のメインテーマを制作するに当たっては、「(第1シーズンの)第1話のラストに震災のシーンがあるんですけど、当時はまだ主題歌ができ上がっていなかったこともあって、そのシーンで流れる主題歌のようなイメージということと、音は少なめでシンプルにという依頼がありました」という。
“主題歌のように”、“音は少なめ”というキーワードを得て、どのように発想していったのかが興味深い。
「医療ドラマではあるんだけど、どちらかというと人間ドラマの方にフィーチャーした作品なので、いわゆる謎を解いて解決するというカタルシスがあるものよりは、事件に遭った方々がどういう気持ちなのか、それを受けて主人公の朝顔たちはどんな思いになるのか。状況に音楽を付けるというより、登場人物たちの気持ちに音楽を付けていくような感じでしたね」
このメインテーマは、ピアノを基調としたシンプルなサウンドに仕上げており、「ピアノとかオーケストラっていうのはオーソドックスですけど、やっぱり一番丁寧に心情を訴えられるので、特に変わったことはせずに、メロディーとか和音でもって包んでいこうと考えました」と狙いを明かす。
■通常のサントラではやらない試み
それに加え、これまで手がけたサントラでは用いなかった手法にもチャレンジしているという。
「途中で遅くなったり早くなったり、また戻ったり…というテンポの変化をつけました。コンサートとか自然な演奏だと指揮者もいるし、テンポの変化っていうのは普通なんです。でも、サントラの場合は、レコーディングする過程で、バイオリンを録って、ブラス(金管楽器)を録ってと、別々にレコーディングして重ねることが多くて、テンポを変えるとレコーディングしにくいので、他のサントラではほぼやらないんです。だけど『朝顔』は、音楽にも人間らしさみたいなものを出したくて、それを初めてやりました。人間ドラマだから、より気持ちが乗って聴こえてほしいなと思ったんです」