――本作の脚本は、お2人と同世代の平野水乙さんが執筆されたものですが、どんな感想を持たれましたか?
蒔田:当時16歳の高校生の方が書いたというだけあって、共感することが多かったです。高校生ならではの悩みや、友達との距離感が描かれていて、「分かる!」と思いながら読んでいました。
桜田:「私が16歳のときに、こんなに立派な脚本なんて絶対に書けない」と思いました。監督の思いや努力の結晶だと思うので、この作品をしっかりと形にすることが、私たちの目標であり役目だと思いました。
――蒔田さんが演じた香里は、つい人を傷付ける言葉を口にしてしまいます。蒔田さんの演技から「香里は無意識で言っているんだろうな」というのが伝わってくるようでした。
蒔田:それを目指していました! 香里はすごくいい子だし、「みんなと仲良くしたい」という気持ちを人一倍持っています。ドラマを見た人に香里を「嫌な人だな」と思ってほしくなかったので、「本当は言いたいわけじゃないんだよ」というのを表現できたらいいなと思っていました。監督と話して、香里が話すときに下を向いて相手の目を見られなかったり、体に力が入ってしまったり、そんな中でついポロっと言っちゃう。「あっ!言っちゃった」という感じをお芝居で表せるようにしていました。
――桜田さん演じる咲は、言葉を発することができないという点で、やはり演じるのは難しかったのでしょうか?
桜田:言葉を発せないという役は初めてでした。泣くシーンもあるのですが、声を出せないので、自分の伝えたい言葉を体の中でぐるぐる巡らせていました。それでも、なんとか口には出さないようにしていました。
――泣くときも全く声を発せない咲に驚きました。
桜田:私もびっくりしました(笑)。この役は、自分にとっていい経験になったと思います。
■「本当に言葉って大事だな」
――では、最後に『言の葉』の見どころを教えてください。
蒔田:このドラマは、見終わった後に大切な友達や家族に、改めてお礼や今まで言えなかったことを伝えたくなる作品になっています。見てくださった方に、「ありがとう」と言葉を伝えることの大切さに気づいてもらえたら、うれしいなと思います。
桜田:私自身、演じていて「本当に言葉って大事だな」と改めて思いました。相手の目を見て、自分の感情を乗せて言葉を言うこと。それがどれだけ大切で、当たり前だけど当たり前じゃないことなのか。そう思ってもらえれば、気持ちが届いてよかったと思います。見終わった後、すぐに誰かに言葉をかけたくなるような作品になので、そういう気持ちになっていただけたらうれしいです。
●蒔田彩珠
2002年生まれ、神奈川県出身。出演作に『三度目の殺人』や『万引き家族』などの是枝裕和監督作品に多く起用される。『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』で映画初主演を果たし、現在公開中の河瀬直美監督作品『朝が来る』に出演。2021年放送予定のNHK連続テレビ小説『おかえりモネ』に出演が決定している。
●桜田ひより
2002年生まれ、千葉県出身。今年3月放送のドラマ『ラーメン大好き小泉さん 二代目!』(フジテレビ)で主演を務め、現在放送中のドラマ『24 JAPAN』(テレビ朝日)、『メンズ校』(テレビ東京)に出演するほか、映画『映像研には手を出すな!』(9月公開)、映画『鬼ガール!!』(10月公開)も公開中。