●高木渉さんは天才
――「AD-LIVE 2020」ならではといえば、カメラワーク。とても凝っていると感じました。
カメラワークに関しては、「ドラマや映画に近い映像を作りたい」と映像チームにリクエストしました。……ここで皆さんに言うのも野暮な気はしますが、本当にすごいことやっているなと思っています。僕もドラマに顔出し出演したことがありますが、その現場では、事前に立ち位置を決めて、カメラマンさんはそこにピントを合わせるという撮影の仕方をしていました。例えば、役者がカメラにフレームインしてきて、そこで振り向いて何か言うみたいなシーンなら、そこに寸分たがわず役者が入っていくんです。
ただ、『AD-LIVE』は「アドリブ劇」なので、誰も動きを予想することができません。加えて、ただ撮ればいいわけでもないんです。今回はわざとピントを合わせなかったり、部屋の奥行きを分かりやすくするために、手前のアイテムから意図的に撮影したりと色々な技術を駆使して映像表現をしています。丁寧でハイクオリティな映像に仕上げてくださっているので、まだ見てないという方はぜひ今年ならではの『AD-LIVE』を体験して欲しいですね。
――その他、鈴村さんが感じる『AD-LIVE 2020』ならではの魅力を教えてください。
色々ありますが、やはり「謎解き」要素ですね。『AD-LIVE 2020』が初見の方は、役者さんと一緒に謎を解く感覚が楽しめます。お客さんも映像を見ながら謎解きもできる映像表現になっているので、注目してください。一方、一度でも『AD-LIVE 2020』を見た方は、各回の出演者がそれぞれどういう形で謎解きに挑むのかなど別の視点で楽しめると思います。
自分が既に答えを知っている謎を他の人が解いているのを見るのって、愉快なんですよね(笑)。僕も自分が出演した後、他のチームが謎解きをやっている様を見ましたが、「なぜここでこっち行っちゃうんだろう」、「すごい。一瞬で解いた」など、色々な感情が巡ってきて、すごく面白かったです。
――『8時だョ!全員集合』の「志村後ろ!後ろ!」みたいな?
そうそうそう(笑)。まさにそんな感じ。「何でそっち行っちゃった!?」、「そこじゃない、こっちこっち」と、モニターに向かって言いたくなるんですよね。2回目以降は全然違う楽しみ方ができるので、ぜひ色々なチームの公演をご覧になってください。
――鈴村さんは高木渉さんと一緒に出演されました。高木さんとの『AD-LIVE』はいかがでしたか?
渉さんは天才です。昔から知っている大先輩ですが、本当に素晴らしい役者さんなんですよ。現場で求められるものをやりながら、自分のやりたいこともちゃんと入れてくる。豪胆なだけなく「繊細な暴れん坊」って感じなんですよね。加えて、勉強熱心。アフレコ現場ではメインで担当する役じゃない別役を振られることがあるのですが、その別役のシーンでニュアンスがわかりづらいところがあると、後輩である僕の所へ来て「すずさ、こういうニュアンスどうやったらいいのかな」と相談してくださるんですよ。
話し口は面白いおじさんみたいな感じですが、実は凄まじい努力家で真面目な方なんですよね。尊敬しています。今回、こうやって一緒のステージに立てて幸せでした。
――高木さんがどういうキャラクター設定でくるのかは、ご存知ではなかった?
『AD-LIVE』はステージに立つまでお互いがどういうキャラクターで来るのかわからないので知りませんでした。今回の渉さんの設定にはビックリしました。昼公演では最後の最後まで、渉さんが演じている役が何なのか、分からなかったんです。それでも、最後に見事に伏線を回収していました。その回収の仕方は初出演とは思えないくらい鮮やかなものでした。
夜公演のキャラクター設定のリンクはもう、奇跡です。なぜこういうことが起こるんだろうと思いました。本作は既にBlu-ray・DVDが発売することも決定していますので、何がすごいのかはそちらでぜひ確認してください(笑)。
●各出演者への想い
――『AD-LIVE 2020』いよいよ10月公演ですね。今後、出演される役者陣はどのような「アドリブ」を魅せてくれると思いますか?
まず、ここまでの公演で出演したメンバーは「優等生」が多かった気がします。初日公演に出演した森久保祥太郎くんは、ちゃんとルールをしっかり守った上で、遊びを入れてくれる人。八代拓くんも安心して、その遊びに乗っかれたんじゃないかな。2公演目に出演された津田健次郎さんも、西山宏太朗くんが相手とはいえ、最終防衛ラインを守りながらしっかりやってくれるタイプ。
3公演目に出演した僕もプロデューサーなので、ルールを守りながら進行しました。4公演目の小野賢章くんも、何度か『AD-LIVE』に出演してくれているので、勝手が分かっていて、木村良平くんも見事なアドリブを魅せてくれる人。一方で、5公演目以降に出演される人はわりとトリッキーなタイプが集まってる感じなんですよね。
――トリッキー(笑)。
10月24日に出演する木村昴くん・仲村宗悟くんなんて、本当に何をやるか全然分からない(笑)。まず、木村くんがめちゃくちゃやるんじゃないかな。宗悟くんがそれにどう立ち向かうのか期待しています。10月25日に出演するのは、浅沼晋太郎くんと日笠陽子さん。浅沼くんは、『AD-LIVE』を知り尽くしている人で、キレキレに設定を考えて攻めてくるタイプなんです。
しかも、彼は謎解きや手品が好きなので、ものすごいことをやってくれるんじゃないかな。そして、日笠さんはもうめちゃくちゃにやるだろうと。彼女は普通に話してても「どっからそうなったの?」という角度で面白いことを言うんですよ。天才ですよね。浅沼くんと日笠さんという、質の違う天才対決になるんじゃないかな。
――11月21日には蒼井翔太さんと浪川大輔さん、11月22日公演には鳥海浩輔さんと吉野裕行さんが出演されます。
蒼井くんはすごい集中力を持っていて、アドリブも上手なんです。加えて、グッとお芝居の空間に入ってきて、キャラをしっかり構築するタイプ。その空気感に浪川くんがどうやって関わっていくのか。浪川くんの「ちょうどいい」おっちょこちょいなところが出て欲しいなと個人的は思います。完全無欠のかっこいい役をやってくれたら、そのおっちょこちょいな面が出やすくて面白いと、個人的には思っています。
――めちゃくちゃかっこいいのに、謎が解けないみたいな。
そういう感じの役をやって欲しいと、個人的には思っています(笑)。続く鳥海さんと吉野くんは、僕にとっては同志の2人。ユニット活動もやっていて、よく一緒にいる2人です。お互いのことをよく知っているので、阿吽の呼吸で何かをやる気がしますね。それは謎解きだけじゃなくて、むしろドラマの部分がそうなるんじゃないかな。2人でトークしていても、2人にしかわからないコンタクトの仕方で話を持っていって、落とすみたいな瞬間があるんです。あの感覚が舞台でも出ると思うと、すごく面白そう。トリを務めてもらうのに、ふさわしい2人だと思います。