価格も注目点の1つになる。5G対応になるiPhone 12シリーズは、11シリーズから50ドル以上は価格が上昇すると予想されていた。2019年の主力モデルであるiPhone 11は「699ドルから」であり、その予想だと12シリーズは749〜799ドルからになる。消費者心理としては700ドル以下からになって欲しいところで、常に利益を確保するAppleの方針が売れ行きを鈍らせる可能性が指摘されていた。それに加えて、新型コロナ禍で景気が消沈している。その影響を危ぶんだSamsungはこの秋、Galaxy S20だけで勝負せず、ハイエンドのコア機能をミッドレンジに落とし込んだGalaxy S20 FE 5Gを急遽用意した。
Kang氏の予測は、iPhone 12 miniが「699ドルから」、iPhone 12が「799ドルから」、iPhone 12 Proが「999ドルから」、iPhone 12 Pro Maxが「1,099ドルから」。miniを用意したことで700ドル以下からのスタートを維持し、しかもProモデルは2019年と同じ価格である。Jon Prosser氏のように、miniが「649ドルから」になるという予測もある。
そのぐらい価格を抑えられるとしたら、サービスの成長が要因の1つと考えられる。Appleユーザーのサービス利用からの収益が増えているから、iPhone販売からの利益を以前ほど大きく確保する必要がなくなった。サービスについては9月イベントで、同社の複数のサブスクリプションサービスをまとめたサービス「Apple One」を発表している。13日のイベントで提供開始日が明らかになるかもしれない。
例年だと、iPhone発表イベントの後に、その年のiOSのメジャーアップデートがリリースされるが、今年はすでに「iOS 14」が9月に登場している。だが、今使えるiOS 14が、iOS 14の全てではない。過去の例だとポートレートやDeep Fusionなど、ハードウェアの可能性を引き出す追加機能がiPhoneイベントで公開され、アップデートで提供された。撮影機能はもちろん、LiDARが搭載されるとしたらAR機能にも進展がありそうだ。iOS 14のアップデートも注目点の1つになる。
13日のイベントをAppleのサイトからカレンダーに登録すると、午前10時〜12時 (現地時間)の予定が入る。「iPhoneだけで2時間は長すぎる」と、他の製品の発表もあるのではないかという声が上がっている。Apple Silicon搭載Mac、ヘッドポッズとも呼ばれているオーバーヘッド型のヘッドホン、小型のHomePod、新Apple TV、AirTagと呼ばれるスマートタグ等々。しかし、9月イベントもカレンダーに登録すると2時間枠だったが、イベントは1時間3分で終了した。
今年は新型コロナ禍の影響でiPhoneの発売が遅れており、新製品ラッシュは期待できない。他の製品発表があるとすれば、HomePod miniと呼ばれる小型のHomePod。オーバーヘッド型のヘッドホンやAirTagについては予想が分かれ、Apple Silicon搭載Macは11月に別の発表会を設けるとBloombergが報じている。iPhoneの発表会はAppleにとって1年で最も重要なイベントであり、5G対応、5nm製造のA14搭載に加えてデザインも刷新されそうな今年は、新世代のiPhoneの始まりになる。特に重要な年であり、オンラインゆえ今年は毎月でも柔軟に発表会を開催できることを考えると、iPhoneにフォーカスしたイベントになる可能性が高い。