お米をAIで判定! 判定基準は? 「AIが判定しているので……」
今回は農業系Makerが少なかった中、直球勝負していたのが「KETT AI研究会」。展示の1つは、瓶の中に玄米を入れて上から棒で突くという伝統的な方法で精米して、終了をセンサーで判断するというもの。玄米が突かれることで徐々にヌカが落ちて白米になるという原理上、白くなれば精米終了ですが、その勘と経験をセンサーの力で可視化します。
もう1つは、あらかじめ複数のコメを一粒ずつ撮影して特徴を機械学習しておき、サンプルを入れるとコメの品種を判断するというマシーン。
典型的な画像認識の応用例なので原理はわかりますが、エンジニアはコメのスペシャリストではないので「AIが(画像の)どこで品種の違いを判定しているかはわからない」と、正直に回答していました。ただ、多くのコメを学習させれば不良米の混入比率や品種指定米の正しさをある程度数値化できるので、コメ流通のどこに問題(偽装・混入)があったのかなど、調べることができるようになるかもしれません。
ワークショップがなくてもお笑い要素満点
デイリーポータルZは毎回「技術力の低い人限定ロボコン:ヘボコン」という人気コンテンツを引っさげてMaker Faireに参加しています。が、今回はワークショップなしということで、ヘボコンもありません。
でも、いつもの「クスっとさせる展示」がいくつかありました。個人的にツボにはまったのは「特大スクリーンの前でプレゼンをしている風画面」。大会場のステージで特大スクリーンをバックにプレゼンをしている様子を再現するというもの。
コロナ禍ならではの展示として、マスクで隠された顔をAIで補完するというものが。最適な画像をAIが選ぶ内容ですが、お笑い要素が入っているような気がします。
そのほかいろいろ
連続した動きの物に対して周期的に光るストロボを当てたり、回転するスリットを通じて見ることで動きがあるように見えるゾートロープを、カメラアプリで実現したのが「パンタグラフ」。アプリはiOS上で公開されており、これを使うと自宅のシャワーや噴水で面白い映像体験ができるでしょう。
今回は食品ネタも少なかった中でデモを披露していたのは、ロボットカフェを展示していた「山田カフェ」。缶コーヒーを紙コップに注ぐだけ……ですが、タブトップを開けるために使われていたのがまさかの「ハンマー」。確かに、汎用ロボットアームなどでタブトップを開ける力を得るのは難しいでしょう。かなりの力技でビックリしました。
「南部鉄器」で作られたギターエフェクターを出したのは「チームいわて」。肉厚が3mm~4mmという重厚感がたまらない作りと、表面の素朴さがすてきです。ケースだけ販売する形式がいいと思うのですが、状況によってかなり固くなって加工が難しいというお話でした(製品はすでに販売されているほか、ふるさと納税の返礼品にも採用されています)。
海洋プラスチック問題に対して「食べられるもので作ればいいじゃないか?」という提案をしたのが、「プラゴミ? 究極食べたらいいじゃん Project」です。寒天と砂糖を固めたカップは少しモロくて改良の余地があるそうですが、海藻由来(アルギン酸ナトリウム)で作ったストローは、割と太めでタピオカストロー的なイメージです。
プロジェクションマッピングを入れたゲームを作ったのは「Diorama Shooting」です。手前の(緑に見える)砲台や敵の動きがどこかで見たことがあると思ったら、ソニーのtoioにカバーを付けたものだそうです。弾や爆発はプロジェクター投影で表現していました。