使い込むごとに増えていった「理想とのズレ」

最高コマ速は4.5コマ/秒と、現代の感覚からすると少々おっとり系。動きモノを撮っているときには物足りなさを感じるスピードではあり、個人的には女性ポートレートを撮っているときにももう少し“速さ”が欲しくなると思う。でも、各種ブラケティング撮影には何とか許容範囲。スナップにもちょうどいいリズム感だ。

そして、ファインダーは、接眼保護窓以外はZ 6やZ 7と同一の構成。コスト低減最優先の中にあっても、ファインダー周りへの影響は最小限に抑えつつまとめ上げているところがジツにニコンらしい。実際、拡大表示やピーキングに頼らずマニュアルフォーカスでの正確なピント合わせができるEVFなので、その表示クオリティはベテラン陣にも十分な満足が得られるはず。開発者の矜持をビシバシ感じる部分だ。

総じて、目を三角にして被写体に迫ることなどないお散歩カメラとしては、ちょうどいいレスポンスとスピードが備わっていると思う。どんなときにもガガガガッって賑やかに10コマ/秒で撮れちゃうソニー「α7 III」より静粛に、そして平穏な気持ちのままゆったり写真が撮れるからね。で、ファインダーの“見え”はコチラの方が段違いに優秀。ふむふむ、Z 5、けっこうイイところを突いてきてるんじゃなーい?

  • 秒間コマ速はおっとりしていてもレスポンスは良好なので、狙った瞬間を捉えることも難しくはないのだけど、これはピント合わせに手間取らなければの話。明るい状況下での撮影であれば、ストレスを感じることはないのだが……(NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR使用、200mm、ISO1400、1/250秒、F5.6、-0.7補正)

  • この状況で「しべ」にピントを合わせようとしても、AFにお任せではなかなか思うように撮れなかった。そこでマニュアルフォーカス(MF)でピント合わせをしてみたら、拡大表示やピーキングに頼らずとも思いのほか簡単に正確なピントが得られてビックリ。よくできているEVFの効能を実感(NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S使用、200mm、ISO100、1/2000秒、F2.8)

  • 最新の「動物AF」を搭載。犬や猫の瞳を検出するもので、認識率は非常に高く、瞳を見失ったときの「顔認識」との切り替えもスムーズ、かつ素速いなど、使用感は大変に良好だ。ただし、AFそのものの問題として、薄暗い室内などでは思い通りに撮れないことも。Z 5のAFは印象の振れ幅が大きい(NIKKOR Z 24-50mm f/4-6.3使用、24mm、ISO18000、1/500秒、F4.0、+1.7補正)

  • ISOオートで導かれた撮像感度はISO28800。基本、良好な仕上がりではあるけれど、フルサイズであることを考えるならば、個人的には一世代前の超高感度画質に近い印象を持つことにもなっている。EXPEED6の処理能力に不足はないハズ。だとすると……??(NIKKOR Z 24-50mm f/4-6.3使用、24mm、ISO28800、1/250秒、F4.0)

と、最初は思ったのだけど、使い込むに従い「うん?」「あれ?」「おっと!」「ナニそれ??」ってなところも見え始めてきたりして……。Z 5は、100%手放しで誰にでもオススメできるかっていうと、どうもそういう感じのカメラじゃなかったんだよねぇ。

ってな感じの詳細は、レビュー後編にてっ!

  • 低感度撮影時の画質やEVF性能には高い評価を与えるも、使い込んでいくと「あれれ?」と感じる部分があると語る落合カメラマン。次回の後編で詳細を語ってもらうことにしよう