本作への参加で学べたことを尋ねると、「いろんな人に会うと勉強になることがいっぱいあるし、たくさんの発見があるので、そういう時間を大切にしていきたいと改めて思いました。また、1つの作品を完成させるというのは本当に大変だと思うんです。オリジナル版から翻訳して、キャストがいて、そして宣伝もあって。その一員になって歯車の一つとして回していく共同作業って楽しいなということも改めて感じました」としみじみ。「コロナ禍において、なんとか完成披露までたどり着いて、そして公開に向けてまた、みんなでテンションを上げていくというチームワークは楽しいです」と語った。
留学の経験が生かされたと感じる瞬間もあったのだろうか。ウエンツは「1個1個の仕事を楽に、変に固くならずにという意味で楽にやれるようになったのは、この作品に直結してるかはわかりませんが、生きているかなと思います。また、自分のやれることをしっかりやって、そして周りで何が起きているのか感じることができる、そういった余裕がやっと、少しですが自分に出てきたと感じられるようになったのも、留学の経験がつながっているのかもしれません」と分析した。
英語がまったく話せない状態で留学し、語学の習得と舞台の勉強に励んだウエンツ。現地で活動する日本人俳優とともに、脚本家や演出家を自分たちで探し、全編英語の2人芝居の公演も実現させた。
留学して大きな挑戦を成し遂げたからこそ、余裕をもてるようになったということだろうと思ったら、「あんまり挑戦をしたという意識はない」とのこと。「ただ、すごく無になれた。僕は4歳から仕事をしているので、仕事をしないというのは人生初めてで。1年半、仕事のことを考えず、自分自身の人生や、家族、友人、大好きな人など、そういうものについて3歳以来に考えることができたというのは、経験したことのない時間でした」と振り返った。
そして、「『仕事をいただいているのに断るのは』という思いがあったからそういう時間を今まで取らなかったし、仕事をこなしていけば何かしら自分が変わってくると思っていましたが、停滞する時期も感じていたので」と留学に踏み切った理由に触れつつ、「すべてのことを仕事に直結して考えていましたが、その考え自体を変えるというか、自分の人生は仕事だけではないし、まず自分自身をしっかり保ち、自分自身が何者で、自分が何に幸せを感じていて、自分の人生をどういう風に生きていくんだ、ということを考えるようになりました」と変化を明かした。