女優としても歌手としても精力的に活動している上白石。さまざまな仕事に挑戦する相乗効果を実感しているそうで、「1個だけやっていたら気づかなかったことに気づけていると思います。矢印がそれぞれにあり、相乗効果を感じています」と語る。

そして、「声優をやることによって、キャラクターの声を決める重要性を知り、それは生身で芝居するときにも生かされますし、歌うことでブレスの大切さを知り、芝居でも一緒だなと思ったり。また、職種によってディレクションの仕方が違い、舞台やテレビ、音楽、それぞれいろんなアプローチをされていて、これは他の仕事にも生かせるなと思ったり、それぞれのお仕事からたくさんヒントをいただいています」と明かした。

今後も、演技力・歌唱力を生かして幅広い活躍が期待されるが、将来については「思い描けていない」とのこと。「これまでもいただいたお仕事を全力でやってきて、ありがたいことにいろんなことに挑戦させていただいています。幅を狭めたいとも思いませんし、とにかくこれからもいただいたものを頑張っていこうと。先が見えないからワクワクします」と目を輝かせた。

演技の仕事も歌の仕事も楽しくて仕方がないように見えるが、「この仕事、向いてないなと思うことが多々あります。なんで私、今この仕事ができているんだろうって、ふと思うときがあって……」と意外な本音も告白。

「何を見ても下手だなって思うし、そもそもあんまり人前に出ていきたくないタイプで(笑)。もちろん、人前に出るのが好きな人ばかりではないと思うので頑張ろうと思うんですけど、常に自信はないですね。基本的にネガティブです」

今年は、『恋つづ』で多くの視聴者を魅了。きっと自信になったのではないかと思って尋ねると、「むしろ、なくしていく一方です」と答え、「人に知ってもらえばもらえるほど、大した人間じゃないのになって卑屈になってしまう自分がいて。ついていけていない感じですね」と打ち明けた。

だが、「一生自信がなくていいと思っています」とにっこり。「自信がないから、めちゃくちゃ練習するし、準備をするので。それがひとつ私のルーティンみたいになっていて、自信がついたら何もなくなくなってしまう。自信がないのが取り柄みたいな感じです」と語った。

■上白石萌音
1998年1月27日生まれ、鹿児島県出身。2011年の第7回「東宝シンデレラ」オーディションで審査員特別賞を受賞。2011年のNHK大河ドラマ『江~姫たちの戦国~』最終回でドラマデビューし、2012年にはミュージカル『王様と私』で初舞台、同年公開のアニメ映画『おおかみこどもの雨と雪』で声優に初挑戦。映画初主演を務めた映画『舞妓はレディ』(2014)で日本アカデミー賞新人俳優賞をはじめ数々の賞を受賞した。アニメ映画『君の名は。』(2016)でヒロイン・宮水三葉の声を担当。TBS系ドラマ『恋はつづくよどこまでも』(2020)で主人公の新米看護師を演じた。2016年には、『君の名は。』の主題歌「なんでもないや」を含むカバーミニアルバム『chouchou』をリリースして歌手デビュー。2020年8月に初のオリジナルフルアルバム『note』を発売した。