新しいiPad Airはどこまで「Pro」に迫っているのか
最先端の5nmプロセスルールによる製造技術を駆使して作られたA14 Bionicチップを搭載するiPad Airは、タスク処理の速度や安定感においてA12Z Bionicチップを搭載する最新のiPad Proを凌ぐのでしょうか。
A14 Bionicは、6コアのCPUと4コアのGPUを搭載しています。一方、iPad ProのA12Z BionicチップはCPUとGPUともに8コア構成です。アップルはその比較を数値として公表していませんが、特に高度なグラフィックスの描画処理の速度や安定感についてはiPad Proの方がより高いパフォーマンスが期待できるかもしれません。実機による体感も比較してみたいところです。
クリエイティブワークのインプット性能に注目すると、新しいMagic KeyboardやApple Pencilに対応したことのほかに、第4世代のiPad AirはProにどこまで迫ることができたのでしょうか。
まず、USB-Cコネクタを搭載したことで、デジタルカメラなどにUSBケーブルで直結して素速くデータを取り込み、アドビのPhotoshopやPremiere Rush、Pixelmator Photoなどのフォト&ムービーエディタアプリによる作業への移行が可能になります。
筆者が今年、最前線で活躍されているレコーディング・エンジニアの方にお話をうかがった際に、昨今は音楽制作に携わるエンジニアの方々も、クラウドやネットワーク通信を活かしたリモートワーク環境の導入に関心が集まっていると聞きました。
仕事仲間同士で録音・ミックスダウンした音源を確認のためクラウド経由で送り合ったり、iPad Proで受け取ったファイルを自宅スタジオのAirPlay 2に対応する機材に送り出して内容をチェックする際にも、音源ファイル1件あたりのサイズが大きくなっているため、作業には高速で安定したネットワーク環境とデバイスのスペックが欠かせないそうです。Wi-Fi 6にも対応したことなど、第4世代のiPad Airが通信性能をブラッシュアップしたことで、プロのクリエイターにも魅力的なツールとなるはずです。
iPad Airは、クリエイティブツールとして上位のProに迫る性能を獲得しました。Wi-Fi専用モデルのベーシック価格は、11インチのProと比べて22,000円、12.9インチのProに比べると42,000円も違います。これまで、iPad Proが欲しくてもなかなか手が出しづらかったという人に、iPad Airは強くおすすめできると思います。
タイピング感が心地よく、iPadの保護カバーとしても堅牢性に富んでいるMagic Keyboardにも対応したことで、iPad AirはノートPCよりも小回りが利くモバイルワークステーションとして、ビジネスパーソンの期待にも応えてくれるでしょう。在宅ワーク・テレワーク用ツールの本命としても人気を集めそうです。