衝撃の土下座“未遂”で終わった第9話。中野渡頭取のまさかの裏切り(!?)で窮地に立たされた半沢。そんななか「1000倍返し」のキーマンになってきそうなのが、党の広告塔として担ぎ上げられたが、“お飾り”とコケにされまくっている白井亜希子大臣と、秘書の笠松茂樹だ。
笠松を演じるのは、お笑いコンビ・アンジャッシュの児嶋一哉。シュールなコントで人気を博していたが、キャラクターになりきる演技力にはもともと定評があった。
芝居の仕事に携わるようになったのは、先日、第77回ベネチア国際映画祭で『スパイの妻』が銀獅子賞(監督賞)に輝いた名匠・黒沢清監督の映画『トウキョウソナタ』(2008年)。この作品で、児嶋は偏屈な小学校教師・小林を好演。その後も、黒沢監督と『散歩する侵略者』で再タッグを組むと、吉田大八監督、園子温監督、三島有紀子監督といった映画界で高い評価を受ける監督の作品に次々と出演。俳優としても実績を重ねてきた。
ちなみに、『トウキョウソナタ』には、大和田役の香川照之、智美役の井川遥も出演していた。
第9話までの笠松は、白井大臣と箕部幹事長の秘書として、黙々と業務をこなす場面が描かれているが、その表情からはまったくと言っていいほど感情が見えてこない。本人曰く原作に登場しないキャラクターなので、半沢にとっていい奴なのか悪い奴なのか自身でも分かっていないなかでの芝居だったというが、だからこそ視聴者は、笠松の不気味さに惹かれる。
第8話の放送が延期になった際の生放送で、演出を務める福澤克雄氏は、ドラマ『ノーサイド・ゲーム』での演技(児嶋は『ノーサイド・ゲーム』に出演していないので、『ルーズヴェルト・ゲーム』の間違いだと思われるが……)が素晴らしく本作に起用したと話していたが、同時に物語のカギを握る人物として最終回のキーマンになると語っていた。
どんな形で物語に絡むのかは分からないが、以前の回では、半沢のバンカーとしての才能を認めるようなセリフもあり、最後まで笠松の行動からは目が離せない。
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