凪沙に芽生えた母性がひしひしと伝わってくる草なぎの演技。オーディションで独特な存在感とバレエの才能を見いだされ、本作で芝居に初挑戦した一果役の服部によって、自然と湧き出る母性があったという。

「一果を演じた樹咲ちゃんは、今まで演技をしたことがないがゆえに、僕の目の前にいるのは一果そのものだった。監督にいろいろ言われて大変そうだなというのも含めて、すごくいとおしく思えてきて。そういうのがうまく相まって、役を超えて守ってあげたいと思わせてくれた」

また、「逆に僕が演技の勉強をさせてもらった」とも言い、「僕は樹咲ちゃんに比べたらいろんな作品に出演していますが、彼女を見て、そういうことではないんだなと。今までやってきたことは関係ないと気づくことができ、いい意味で僕を0に戻してくれました」と感謝した。

そして、服部の演技について、「撮影の合間に話しているときは等身大の少女ですが、カメラの前に立つとすごい。一果を演じるために生まれてきたんだなと。アパートにいるときは田舎から出てきた女の子ですが、バレエを踊ると周りの空気を一変させる存在感。本当にすごいなと思いました」と称賛。

続けて、「僕もそうだと思いますが、役との巡り合わせに関してスペシャルな奇跡がみんな起きている。自分が出演しているので手前味噌になってしまうかもしれませんが、奇跡が積み重なって計算では生まれないようなことが起きていて、だから僕も何にも考えないで演じることができた」と述べ、「僕も樹咲ちゃんに何か刺激を与えてあげたいと思って一生懸命やったのがよかったと思うし、お互い相乗効果で役を演じきれたのだと思います」と語った。

役作りに関して何も考えなかったという草なぎだが、母性を理解しようとする中で、自身の母親のことを考える瞬間はあったという。「熱を出したときに心配してくれたり、『自分はどうなってもいいからこの子を助けたい』という母親の気持ちが初めてわかった」と明かし、「ちょうどそう感じられる歳になったから、この役を演じられたかなと。だから、このタイミングでしかできない役だったと思います」としみじみと話した。