縦ショート動画の「smash.」、auなら半年無料に

KDDIが出資するSHOWROOMは、新たな動画見放題サービス「smash.(スマッシュ)」を10月22日に開始する。月額料金は550円。auユーザーは、6カ月間無料で利用できる特典が用意される。

  • スマホ時代に即した新たな動画見放題サービス「smash.(スマッシュ)」を開始する

smash.の特長は「プロが作るスマホ向け動画」。5~10分程度の短さで、スマホの縦画面で視聴することを前提としたオリジナル作品を用意する。きゃりーぱみゅぱみゅのようなアーティストの映像や、ホラー、お笑い、アニメといったジャンルの映像を揃える。2021年3月までに、オリジナルコンテンツ2,600本を用意する方針という。

  • 動画は、スマホの縦画面で視聴する

  • 人気アーティストや人気タレントを起用したコンテンツを充実させる

発表会では、SHOWROOMの前田裕二社長が登壇。スマホ専用の新たな動画サービスの狙いを深く紹介した。smash.は動画見放題サービスだが、スマホ前提の短いコンテンツのため、契約しやすいよう月額550円という割安な価格を設定しているという。

「スマパスプレミアム」も5G向けコンテンツを強化

「au スマートパスプレミアム」はサービスを拡充し、5Gスマホと親和性が高いVRコンテンツなどを強化する。360度映像は、宇宙飛行士やエクストリームスポーツなど、ふだんできない体験を楽しめるコンテンツを用意。スポーツ中継では、フィギュアスケートの「グランプリファイナル2020」などでマルチアングル(多視点映像)で鑑賞できる特典を用意した。

  • 月額499円の「au スマートパスプレミアム」は、5Gスマホと親和性が高いVRコンテンツなどを強化する

auスマートパスプレミアムのサービスの一環として、10月中旬にはクラウドゲーミングサービス「GeForce NOW Powered by au」を配信する。PC向けのゲームをスマホなどで遊べるサービスで、米NVIDIAと提携して提供する。国内ではソフトバンクも同名のサービスを展開している。

  • クラウドゲーミングサービス「GeForce NOW Powered by au」などの配信を開始する

今年のハロウィーンは「バーチャル渋谷」で

2020年は新型コロナウイルス感染症の影響で、テレビ会議やVRが注目される年となった。KDDIと同社が出資するcluster.は、渋谷区と連携してVR空間上で「バーチャル渋谷」を展開して話題を集めた。KDDIでは「バーチャル渋谷」の秋の取り組みとして、「バーチャル渋谷 au 5G ハロウィーンフェス」を2020年10月に開催する。

  • 10月末にオンラインで楽しめる「バーチャル渋谷 au 5G ハロウィーンフェス」を実施する

渋谷では、毎年ハロウィンの時期に若者が集まり、盛り上がりが報道される。それをVR空間上で再現しようという取り組みだ。VRデバイスや、スマホアプリ「cluster.」から無料で参加できる。

  • VRの空間上で渋谷の街を再現する

今回はハロウィーンに向けたイベントを実施。その1つとして「ネトフリシネマ」がある。Netflixの映像コンテンツをVR渋谷内の巨大スクリーンに表示し、みんなで鑑賞するという取り組みだ。10月に4回の上映を予定している。

このほか、KDDIでは横浜ベイスターズの野球をバーチャルで観戦できる取り組みなど、VR・ARを組み合わせたコンテンツを積極的に開発している。

「auはすべて5G」、低価格のニーズはUQで吸収

プレゼンテーションの最後で、「5Gは特別な人達が特別なエリアで使うものではない」と改めて強調した高橋社長。5Gのエリア展開についても、積極的に取り組んでいく意欲を示した。

auは、5G基地局を2021年3月末に1万局、2022年3月末までに5万局展開する予定だ。とはいえ、5Gエリアでは高速な通信が可能になるが、一般に1つの5G基地局でカバーできるエリアは数百メートルにとどまる。

  • auは、5Gの基地局を2022年3月末までに5万局整備するという

総務省の調査によると、auは全国に16万局以上の4G LTE基地局を展開し、人口カバー率99%超に至っている。 5Gのエリア展開は、4G LTEよりも多くの基地局を用意する必要がある点を考慮すると。2022年目標の5万局でも全国でのエリア展開には不十分といえそうだ。

一方でauでは、5Gプランを4G LTE向けプランに比べて1,000円割高に設定している。言い換えれば、エリア展開が不十分な5Gサービスのために月1,000円の追加料金がかかると解釈できる。特に小容量プランのピタットプランでは負担が大きいため、今回の「1,000円値下げ」に踏み切ったものとみられる。

政治の世界では、9月に就任した菅義偉首相が重点施策として「携帯電話料金の値下げ」を強調している。auが打ち出したコンテンツとのセット割引は、携帯料金そのものの値下げを実施しつつ、他の分野で収益を得るためのアプローチといえる。

その際、より低料金のプランを求めるユーザーの受け皿となるのが、KDDIグループ傘下のUQmobile、BIGLOBEモバイル、J:COM Mobileだ。特に、UQmobileは10月にKDDIが吸収合併し、純粋なサブブランドとしての地位を得ている。

  • au本体、UQmobile、BIGLOBEモバイル、J:COM Mobileの4ブランドで、あらゆるユーザーのニーズに応えられるとしている

高橋社長によると、UQmobileは「シンプルな料金を求める人」の需要を汲み、ISPやケーブルテレビという背景を持つBIGLOBEモバイルとJ:COM Mobileについては「安さを求める人」に訴求する存在と位置づけているという。au本体は5Gを積極展開し、幅広いコンテンツを快適に楽しめる携帯キャリアとしてアピールする方針だ。