●ステージ上で想いを通じ合わせた、歌姫ふたりの奇跡の共演
早見のステージの余韻が残るなか、現れたのは森口博子。1曲目にはホーンセクションが引っ張るナンバー「鳥籠の少年」を披露。早見の歌声のグルーヴ感とはまた違った確かなパワーをみせ、アニサマナイトを自身のカラーへと塗り替えていく。続くピアノだけをバックにカバーした「フリージア」は、ただ悲しいだけではなく未来への希望も込められた曲。
そんな”今だからこそ”の曲も、森口は力強さいっぱいに歌い上げてみせた。そして「君を見つめて -The time I'm seeing you-」では、情熱的なサックスがイントロでムードを作ると、一転してソウルフルさをあらわにしたボーカルで会場を飲み込んでいった。
歌唱後にはTRUEを呼び込むと、「たくさんの人たちが安心して住める地球になりますようにという祈りを込めて……」と語り「ETERNAL WIND ～ほほえみは光る風の中～」でコラボ。森口がそっと優しく寄り添うように歌い出すと、Bメロでバトンを受け取るTRUEはそこにぐっと力強さを付加。
サビでは森口のパワーとTRUEの歌声の広がりという各々の個性がうまく噛み合い、リスナーを大きく包み込むような上質なハーモニーを響き渡らせていく。歌唱するふたりも時折アイコンタクトを交わしつつ、互いの想いを通じ合わせていた。
さて、ライブもいよいよ大詰め。ステージはこの日のトリ・TRUEが残る。まず最初に歌唱した「WILL」は大団円感の非常に強い大バラードで、特にサビでは世界中を本当に包み込めてしまうのではないかと思うような、壮大さと光を感じる歌声をわぁーっと広げる。
歌唱直前の言葉通り、そこには愛がいっぱいに込められていた。歌唱後には諦めずに歌える舞台を与えてくれたアニサマスタッフへの感謝を語ると、サビの最後に「負けちゃいけない」というフレーズを持つ「Another colony」をパワフルに歌ってその意志を届け、ラストナンバー「DREAM SOLISTER」へ。
サビ前に「おうちで飛ぶよー!」などと呼びかけて、離れたオーディエンスともつながり”音楽”していく。通常のライブよりも没入が難しいはずの配信ライブでも、彼女のパッションとエネルギーはそんな壁をひょいっと飛び越え、心をガンガン揺さぶってきた。
この日彼女が歌った3曲は、いずれも未来への希望や強さを必ず兼ね備えた曲。そのメッセージを歌声で倍増させてリスナーへと届けられるTRUEというシンガーは、間違いなくこの日のトリに最も相応しい存在だった。
●アーティストもバンドも、スタッフもオーディエンスも、全てが「ONENESS」になった瞬間
ここでライブも大団円……かと思いきや、ここでアニサマ2005、すなわち”初めてのアニサマ”で影山ヒロノブが歌う「夢光年」の映像が上映。苦難を乗り越え実現した”レーベルを超えた大型アニソンフェスの初回”での、アニソン界のレジェンドによる魂の歌唱は、今のアニソンファンと当時の想いをつながぐ新たな架け橋となったのではないだろうか。
映像が終わると、そのアニサマ2005のテーマソング「ONENESS」を森口博子・TRUE・三森すずこ・早見沙織・鈴木愛奈・オーイシマサヨシが歌唱し、まさに”想いを受け継ぐ”形に。生の掛け合いによって奏でられた繊細なハーモニーも、また絶品だ。
さらにこの曲では、出演が予定されていながらも残念ながらこの日ステージに立てなかった仲村宗悟の歌声もサプライズで流れる。ステージ上に立つ出演者と彼、さらには画面の向こうのオーディエンスという全ての参加者を、「ONENESS」がつないでくれた。
そしてエンドロールとともにアニサマ2020-21テーマソング「なんてカラフルな世界!」が流れるED映像が上映。最後をテーマソングCDのジャケット同様に漫画家・種田優太による出演者一同のイラストが飾ると、「We hope for our COLORFUL future and see you next year!」といったメッセージがおくられ、貴重な一夜は幕を下ろした。
また、本編の終了直後には、ニコニコ生放送にてプレミアム会員限定のアフタートークがスタート。オーイシマサヨシ、鈴木愛奈、三森すずこの3人が”アニサマナイト”を振り返っていくと、最後に3人と、事前録音の仲村宗悟の歌声を合わせて”4人”での「なんてカラフルな世界!」の歌唱に。オーイシの「来年この歌をみんなで歌えることを祈りながら」との言葉に続いて大合唱……かと思いきや、バンドメンバーからサプライズで「結婚行進曲」の演奏。
それに乗せて鈴木と三森から「オーイシさん、結婚おめでとー!」と祝福の言葉がおくられ、そのまま「なんてカラフルな世界!」の合唱へとなだれこむ。そんな少しわちゃわちゃっとしながらも、ハッピーで楽しい空気のなか、”アニサマナイト”は本当のフィナーレを迎えたのだった。
終わってみれば、アコースティックアレンジやバラード曲が大半を占めた”アニサマナイト。次々と出演者が入れ替わり立ち替わり登場し、一撃で会場中を乗せる楽曲の割合多めの通常のアニサマとは異なる、この企画ならではのセットリストだったのではないだろうか。
アフタートークの「なんてカラフルな世界!」のラストのかき回し中には、オーイシが「必ず来年につなげるからなみんなー!」と力強いシャウトを届けてくれた。その約束が果たされるときはにきっと、大勢のアニソンファンとアーティストが形作る”カラフルな世界”が、幸せと楽しさにあふれる空間を生み出してくれることだろう。
Animelo Summer Night in Billboard Live
2020.08.30＠Billboard Live YOKOHAMA
【SET LIST】
M1.やさしさの名前 / 鈴木愛奈
M2.ヒカリイロの歌 / 鈴木愛奈
M3.やさしさに包まれたなら / オーイシマサヨシ×鈴木愛奈
M4.君じゃなきゃダメみたい / オーイシマサヨシ
M5.キンカンのうた2020 / オーイシマサヨシ
M6.世界が君を必要とする時が来たんだ / オーイシマサヨシ
M7.夢で逢えたら / 鈴木雅之 with オーイシマサヨシ
M8.DADDY ! DADDY ! DO ! / 鈴木雅之 feat. 鈴木愛理
M9.ラブ・ドラマティック / 鈴木雅之 feat. 鈴木愛理
M10.夢飛行 / 三森すずこ
M11.Fly Me to the Star / 三森すずこ
M12.薔薇は美しく散る / 三森すずこ
M13.やさしい希望(Bossa Nova) / 早見沙織
M14.Jewelry / 早見沙織
M15.ESCORT / 早見沙織
M16.鳥籠の少年 / 森口博子
M17.フリージア / 森口博子
M18.君を見つめて -The time I'm seeing you- / 森口博子
M19.ETERNAL WIND ～ほほえみは光る風の中～ / 森口博子 with TRUE
M20.WILL / TRUE
M21.Another colony / TRUE
M22.DREAM SOLISTER / TRUE
M23.夢光年 (Animelo Summer Live 2005 -THE BRIDGE- ver.)※Special VTR / 影山ヒロノブ
M24.ONENESS / 森口博子、TRUE、三森すずこ、早見沙織、鈴木愛奈、オーイシマサヨシ
M25.なんてカラフルな世界！ / オーイシマサヨシ、三森すずこ、鈴木愛奈
(c)Animelo Summer Live 2020