• 松永太死刑囚と息子の写真=『松永太の息子』チャンネルより

動画の内容は、父に対して今思うことや、母と刑務所で会ったことの報告、子供時代の父・母との写真公開といった貴重な証言や資料に加え、「僕の自動車整備の工具を紹介します」「誰にでもできる簡単野菜炒め」「巨大プリンを作ってみた」など、“人殺しの息子”という緊張感とギャップのあるYouTuberらしい緩いネタまで、実にバラエティに富んでいる。

「本人も悩みながらやっていますが、ある種宿命を背負った人間でもあり、同じような境遇で悩んでいる人もたくさんいるわけだから、自分の発信を大事にしていこうと話をしています。奥さんも時々参加して2人で丁々発止やってくれたりして、どんどんチャンネル登録が増えてきました。彼に応援のコメントをくれる人たちもたくさんいます」

現在は顔を隠しているが、今後どのタイミングで顔出しするかを検討中。6月に公開した「皆さんとのお約束」という動画で、本人は「YouTubeを通じていろんな方とつながれる、なくてはならない存在になってきています」とチャンネルへの思いを明かした上で、「僕がもっともっと表に出て活動しなくちゃいけないときが必ず来ると思うので、そのときにはしっかり顔を出してみなさんと関わっていけたらいいなと思っています」と意欲を示している。

■古巣・フジの番組でYouTubeの経験生かす

こうしたYouTubeや企業から受注した動画制作に加え、現在BSテレ東で放送中の『THE名門校 日本全国すごい学校名鑑』(毎週日曜21:00~)をプロデュースするなど、映像制作に関して“全方位外交”を掲げて事業展開している張江氏。

13日(20:00~21:54)に古巣・フジテレビで放送される特番『あなたを美しくします! 美容(ビューティ)ゴッドハンド』で、同社退社以来約1年ぶりに地上波の番組でプロデューサーを務めるが、「YouTubeでの経験を地上波の番組づくりに生かせれば」と意欲を語る。

テレビにはテレビで制約があるとした上で、張江氏は「YouTubeはYouTubeで、結構制約があるんです。『松永太の息子』でもサムネイルやタイトルに“殺人”という言葉が載せたらダメですし、性的なものや子供に悪影響を及ぼすものは弾かれてしまうので、言葉にはすごく気をつかいながらやっています」と、メディアの違いを実感しているようだ。

  • 『あなたを美しくします! 美容(ビューティ)ゴッドハンド』MCの千原ジュニア(左)と竹内由恵 (C)フジテレビ

●張江泰之
1967年生まれ、北海道出身。中央大学卒業後、90年NHKに入局し、『クローズアップ現代』『NHKスペシャル』などを担当。05年フジテレビジョンに入社し、『とくダネ!』やゴールデン帯の特番などを制作、15年からは『ザ・ノンフィクション』のチーフプロデューサーを務めた。19年6月末で同局を退社し、動画制作会社「Hariver」を設立。YouTubeチャンネルのプロデュースや、企業動画の制作、BSテレ東『THE名門校 日本全国すごい学校名鑑』のプロデューサーなどを務め、13日に放送されるフジテレビの特番『あなたを美しくします! 美容(ビューティ)ゴッドハンド』でもプロデューサーを担当する。