富士フイルムならではの色再現は大きな魅力

今回のレビューで掲載したすべての作例は、いわゆる“撮って出し"と呼ばれるJPEG画像そのままとなります。基本的には、デフォルトの「PROVIA/スタンダード」と「Velvia/ビビッド」を選択して撮影していますが、いずれも階調豊かな色再現性は長年写真用フィルムを作り続けている同社ならではといえるもの。普段は仕上がり設定をいじっていない人も、積極的に活用してもらいたく思えます。

X-T4が生み出す写真も、これまでのXシリーズと同様に撮影者の期待に大いに応えるものです。掲載した作例を見るたびに、このカメラで積極的に作品撮りを楽しんでみたいと思わずにはいられません。ただし、前回掲載した機能編でも記しましたが、動画撮影を強く意識した操作系など、静止画撮影をメインに楽しむ写真愛好家にとっては残念に思えるところも散見できます。今後の“X-Tひとケタ機"の展開に期待したいところです。

  • レンズの写りのよさと相まって、美しい色再現性です。日陰での撮影ですが、オートホワイトバランス(雰囲気優先)も良好。見た目の印象に近い画像を生成しています。絞り開放ながら、ピントも被写体にしっかりと合っています XF16-80mmF4 R OIS WR・絞り優先AE(絞りF4.0・1/180秒)・+1.33EV補正・ISO160・WBオート・Velvia・JPEG

  • 良好な階調再現性です。特に、右上の空の部分を見てもらえば分かるとおり、ハイライトからはじまる階調はトーンジャンプすることなく再現されています。解像感もきわめて高く、ビルのレンガひとつひとつを鮮明に描写しています XF16-80mmF4 R OIS WR・絞り優先AE(絞りF5.6・1/550秒)・ISO160・WBオート・PROVIA・JPEG

  • 搭載するセンサーシフト方式の手ブレ補正機構は5軸対応。近接撮影で発生することの多いシフトブレにも対応しており、作例のような準マクロ撮影でも心強い味方です。フィルムシミュレーションは「Velvia/ビビッド」で撮影しました XF16-80mmF4 R OIS WR・絞り優先AE(絞りF4.0・1/180秒)・+1.33EV補正・ISO160・WBオート・Velvia・JPEG

  • バリアングルとなった液晶モニターをボディから開いたうえで上方向に向け、ライブビューで撮影しています。チルト式だったこれまでと異なり、光軸から液晶面が離れてしまうため、アングルの微調整などはしづらく感じます XF16-80mmF4 R OIS WR・絞り優先AE(絞りF4.0・1/350秒)・+0.33EV補正・ISO160・WBオート・Velvia・JPEG

  • 強力な手ブレ補正機構により、安心して被写体にレンズが向けられるカメラです。なお、使用したレンズはレンズシフト方式の手ブレ補正機構を備えていますが、X-T4に装着するとボディ内の手ブレ補正との“協調動作”に切り替わります XF16-80mmF4 R OIS WR・絞り優先AE(絞りF4.0・1/160秒)・+0.67EV・ISO160・WBオート・PROVIA・JPEG

  • 近接撮影では、強力な5軸センサーシフト方式の手ブレ補正機構に加え、高感度に強いことも心強い味方となります。作例はISO640ですが、ISO3200までならノイズのことなど心配する必要はないでしょう XF16-80mmF4 R OIS WR・絞り優先AE(絞りF8.0・1/120秒)・+0.67EV・ISO640・WBオート・PROVIA・JPEG

  • ちょっと意地悪して真逆光で撮影してみました。作例の露出では、太陽とそのまわりは白トビしていますが、階調のある部分はトーンジャンプなどは見受けられず、ナチュラルな仕上がりです XF16-80mmF4 R OIS WR・絞り優先AE(絞りF8.0・1/500秒)・-0.33EV・ISO160・WBオート・PROVIA・JPEG

  • ホワイトバランスはオートのホワイト優先としています。ビルの日陰となったところで撮影しましたが、青かぶりはよく抑えられており、見た目に自然な色あいとなりました。EVFは高精細で、ピントの状態も把握しやすく感じました XF16-80mmF4 R OIS WR・絞り優先AE(絞りF8.0・1/60秒)・+0.33EV補正・ISO160・WBオート・Velvia・JPEG

  • こちらも意地悪して、微妙に異なる色調の被写体を撮影してみました。フィルムシミュレーションは「Velvia/ビビッド」を選択していますが、その色再現性の高さは圧倒的。ぱっと見に重きを置いたメリハリある写りが得られました XF16-80mmF4 R OIS WR・絞り優先AE(絞りF8.0・1/105秒)・+0.33EV補正・ISO160・WBオート・Velvia・JPEG

  • ハイライトからシャドーまで、不足のない階調再現性です。効率よく光を取り込める裏面照射型のイメージセンサーならではといえます。さらにローパスフィルターレスであることから、きわめてシャープネスの高い画像となりました XF16-80mmF4 R OIS WR・絞り優先AE(絞りF8.0・1/400秒)・-0.33EV補正・ISO160・WBオート・Velvia・JPEG