Tiger Lake Performance
さて、Blueprintでは非常に多くのベンチマーク結果が紹介された。全部のスライドを並べるのもアレなので、いくつかPickupしてご紹介したい。まずが写真のカラー化/拡大/タグ付け処理(Photo04)。Ryzen 7 4800Uと比較すると、AIベースの拡大処理、及びタグ付け処理が圧倒的に高速、とされる(Photo05)。ちなみに拡大に利用されるTopaz LabsのGigapixel AI Photo Upscaleが異様に高速なのは、内部でOpenVINOというIntel提供のAI Frameworkを採用しており、恐らくこのOpenVINO経由でGNA 2.0を利用しているためと思われる。
もう少し一般的、ということではSYSmark 25とPCMark 10のApplication Testの結果(Photo06)やMLPerf(Photo07)の結果を基に、大幅にアドバンテージがあるとしている。またGPUに関しては、Ice Lake世代と比較しても概ね倍近いフレームレートが利用でき(Photo08)、Overwatchから右のタイトルは1080pで十分プレイ可能(Photo09)、Ryzen 9 4800Uと比べても十分高速(Photo10)で、NVIDIAのMX350とも十分比肩しうる性能だとする(Photo11)。
さて、何でこんな風に高い性能をTiger Lakeが実現できるのかというか、何で対抗馬のRyzen 7 4800Uが今一つなのか? という話である。ひとつ考慮しておくべき要因として、このベンチマーク結果のテスト環境がこちらに公開されている。Tiger LakeとIce LakeはIntelのReference Boardを利用して測定、一方のRyzen 7 4800UはLenovo Xiaoxin Pro 13を利用して測定している。ここでTiger LakeはLPDDR4-4266 8GB×2、Ice LakeはLPDDR4-3733 8GB×2なのに対し、Ryzen 7はDDR4-3200 8GB×2をメモリに利用している。GPU性能の違いにはこのメモリ帯域の差がかなり影響したと説明することもできるし、Photo06のExcelの性能とかもかなり関係してそうに思える。
Intelの考え方としては、スペック的には確かにRyzen 7 4800UもLPDDR4-4266をサポートしているものの、現実問題として市場にその構成の製品が存在しないから、評価として使いようがないというもので、これはこれで確かに一理はある。ただ、ならばIntelもReference Boardではなく、最終製品でLPDDR4をサポートしたものを持ってこないとフェアではない気はする(そもそも発売前のCPUなのでこれもどうしようもないが)。逆にReference Boardを使うなら、メモリは同じものを使うべきではないかと思うが、まぁそうなると性能のアピールが弱くなってしまうのが半ば見えている(特にGPU側での影響は大きいと推測できる)から、さすがに新しいCPUの発表の場でそれはIntelとしても了承できなかったのだろう。その意味では、まだこれをもってApple to Appleの比較にはなり切っていない感は残る。Tiger Lakeの性能を正しく評価するためにも、どこかがLPDDR4-4266を積んだRyzen 7搭載ノートを市場投入するとか、早々に両者の実製品が出揃うことを祈るのみである。