オフロードコースを試してみると
試乗会場には、スキーの林間コースを使ったオフロードコースが用意されていた。走行準備としては、シフトレバー横のLoレンジボタンを押して1速固定とし、その上側にある車高調整ボタンでエアサスを75mm(最大で145mm)アップ。さらに「テレインレスポンス2」で走行モードを「泥/わだち」とし、最後にボンネット下側をシースルーにしたような映像をモニターに表示できる「クリアサイトグラウンドビュー」を立ち上げた。
山の斜面を切り開いたコースでは、所々に傾斜角度が25度程度の急坂が現れるのだが、新型ディフェンダーはアプローチ/デパーチャーアングルが38度/40度という極端に短いオーバーハングで軽々とクリアしていく。急な下り坂では「ヒルディセントコントロール」によって車速が一定に保たれるので、急加速などの心配をせずに通過することができた。
凸凹のコースでは路面のキックバックが伝わってくることが多いのだが、ディフェンダーではそれがうまく抑えられていて、力を込めてステアリングを握っている必要がなかったのは意外だった。また、今回の試乗コースには渡河性能を試す場面はなかったけれども、ディフェンダーが走り続けることができる最大水深は900mmとなっているので、ちょっとした川や大雨の後の深い水溜りでも難なく渡りきることができるはずだ。このあたりも、本格クロカンモデルらしい特徴である。
こうした優れたオフロード性能を体感してみると、オーナーであれば、よりクルマに対する愛着も増すだろうし、いろんな場所にもチャレンジしてみたくなるはずだ。オンロードでは少し大きなボディサイズが気になったが、世界中のハードな環境に対応するには、やはりこれぐらいのサイズが必要になってくるのだろうと確信できたオフロード試乗だった。
「ギア」感覚満載! ミニバンからの乗り換えも?
試乗車は「パンゲアグリーン」と「ホワイトルーフ」というミリタリーテイストのコントラストカラー(いずれもオプション)をまとったベースグレードの110に、総額227万2,880円のオプションを装着したクルマだった。オプションの内容は、エクステリアサイドマウントギアキャリア(ボディ右側後部の車外に取り付けられた容量24Lのボックス。濡れ物や汚れ物を入れられる)やインテグレーテッドエアコンプレッサー(ラゲッジスペース内部に設置する電動の空気入れ。自転車のタイヤやゴムボート、エアーベッドなどに使える)など、スポーツを楽しむための装備を満載した「アドベンチャーパック」や3列目シートなどだ。
新型ディフェンダーのインテリアは、汚れに強そうなファブリックシートやボルトをあえて見せる形で取り付けられたドアパネル、サイドグリップ、シート背面やフロアに張り巡らされたラバーなど、タフなギア感覚が満載だ。その一方で、副変速機レバーやモード選択レバーをボタンやデジタルにすることで、車内はすっきりとした印象になっている。前席、後席、ラゲッジにはUSBポートや12V電源ソケットを装備。今どきの便利さを提供することも忘れていない。
それでいて、車両価格は589万円からとバーゲンプライス並みの設定になっている。担当者によると、新型ディフェンダーにはトヨタ「ランドクルーザー」やスズキ「ジムニー」などの所有者をはじめ、3列シートを装備できるという点から、ギラギラグリルの国産高級ミニバン所有組からも問い合わせが来ているという。
新型ディフェンダーは今や世界中で人気モデルとなっていて、すぐに注文しても納車はかなり先になるそうだが、使い道を考えつつ、その日をゆっくりと待つのもまた一興かもしれない。