ホームアプライアンスのテーマは「オーダーメイド」

サムスンは本国の韓国だけでなく、欧州でも人気の高いホームアプライアンス(白物家電)のブランドです。IFAでは過去、ドアの表側にタッチ液晶ディスプレイやスピーカーを内蔵して、Wi-Fiに接続すればエンターテインメントコンテンツのストリーミング再生も楽しめる冷蔵庫を発表して話題を呼びました。現在もそのラインナップはフラグシップモデルとして販売を継続しているものと思いますが、今回のイベントでは少しテイストの違う冷蔵庫の新製品「Bespoke」を発表。10月に欧州で発売を予定しています。

  • カスタマイズ性を特徴としてうたうサムスンの冷蔵庫「Bespoke」

「モジュラー方式の冷蔵庫」を特徴にうたうBespokeは、キッチンのインテリアに合わせて本体パーツの素材や色をカスタムオーダーできるプレミアム製品です。シングルドアから4ドアのラインナップをそろえ、4色のカラーバリエーションからオプション展開をスタートします。

同じく冷蔵庫の新製品「RB7300T Classic」シリーズでは、奇をてらうことなく「大容量なのにスリムなデザイン」を追求しています。昨今はウィルス感染症の影響を避けるため、食料品を買うために外出する頻度を減らして、一度に大量の食材を買い込む生活パターンが欧州でも定着しつつあることを受けて登場するシリーズです。冷蔵庫内の間仕切りを有効に活用する「SpaceMax」の設計技術によって、最大サイズのモデルでは容量385リットルを実現。運転時に消費する電力を徹底的に減らすことにも注力しています。

筆者は毎年IFAを取材していますが、一昨年ごろから欧州の白物家電リーディングブランド(サムスンやLGエレクトロニクス)から、洗濯機と乾燥機を分けた「プレミアムクラスのランドリー家電」が次々に発表されています。

サムスンは「WW9800T Washing Mashine」と「DV8000T Tumble Dryer」を、2020年の新製品として発売。特徴はAIによる機械学習機能です。ユーザーの好みの洗い方設定や習慣を学習して、最適なプロファイルを自動作成。Auto Cycle Link機能によって洗濯機と乾燥機が連動して、消費電力を抑えながら汚れをしっかりと落とします。洗濯機は、サムスンの独自技術「EcoBubble」対応です(洗剤を泡にして洗うことで汚れを効率よく落とす技術)。欧州の洗濯機としては珍しく「お湯ではなく水」を使って、衣類のしつこい汚れを落とせることを特長としてうたっています。

  • AI連携によるスマートな洗濯乾燥を実現するWW9800T Washing Mashine(左)、DV8000T Tumble Dryer(右)

  • 洗濯機の内蔵センサーによって、衣類の容量や泥汚れのレベルを検知

今回、サムスンが開催したLife Unstoppableイベントは、バーチャル空間の中にサムスンの家電製品を置いて、擬似的に体験させる工夫などが随所に凝らされていました。それぞれの製品の楽しみ方を、ARによる製品のタッチ&トライも織り交ぜながら、バーチャルとしてやれることをやった印象です。

  • Galaxy Z Fold2のAR体験も楽しめます

2020年は新型コロナウィルスの影響によって、エレクトロニクスをテーマにした数々のイベントや展示会が中止を余儀なくされてきました。サムスンのバーチャルイベントは完成度がとても高く、手に取って触れることのできない製品のイメージや使い勝手を、リアルに喚起させてくれる仕掛けも盛り込まれていました。サムスン以外の各社も、同じようなスタイルで新しい展示会やイベントのスタンダードを確立していくのでしょうか。記者としても色々なことを考えさせられる、とても興味深いバーチャルイベントでした。