投資の初心者にとって投資の判断の目安となるのは「リスクが少ないこと」「運用がわかりやすいこと」「コストがかからないこと」ではないでしょうか。その3つの条件を考慮したとき、選択肢のひとつとなってくるのがインデックス・ファンドという金融商品です。

インデックス・ファンドは運用を専門家に任せることができ、値動きもわかりやすい商品です。さらに、少額投資非課税制度の「つみたてNISA」を活用すれば、定額を積み立てながら投資することも可能です。

本記事ではわかりやすく、面倒な手続きもないインデックス・ファンドについて、基礎から解説します。

インデックス・ファンドとは?

インデックス・ファンドは投資信託の一種です。投資信託を簡単に説明すると、多くの人のお金を集めて株や債券、不動産、コモディティ(金や原油、穀物といった商品先物)を購入し、運用する仕組みです。

  • インデックス・ファンドとは?

    インデックス・ファンドの仕組みを理解しましょう

運用の仕方によって、投資信託にもさまざまな種類がありますが、インデックス・ファンドは日経平均株価や東証株価指数、NASDAQ総合指数のように株価の指数に連動するものや、NOMURA-BPIやシティグループ世界国債インデックスのように債券指数に連動するもの、東証REIT指数のようにREIT指数に連動するもの、CRB指数のように国際商品先物指数に連動するものがあります。

日本の代表的な企業の株225を選びだし、その株価を平均し、日本の株全体の値動きを指し示すのが日経平均株価指標です。そのほかにも東証一部に上場された全銘柄の時価総額をもとに出したTOPIXという指標もあります。

それ以外にもこのような株価全体の動きに連動しているのが、インデックス・ファンドです。NYダウやMSCIワールド・インデックスのように海外の指標に連動するインデックス・ファンドもあります。

インデックス・ファンドとETFの違い

インデックス・ファンドと同様に、指標に連動して運用されている金融商品として、ETFがあります。インデックス・ファンドとETFの違いをここでまとめてみました。

インデックス・ファンド ETF
上場/非上場 非上場 上場
販売会社 証券会社・銀行 証券会社
取引時間 申込期間中の
9時~15時
証券取引所の取引時間中
購入価格 基準価額
(1日1回算出)
リアルタイムで変動する
注文方法 基準価額がわからない状態で行う 成行・指値注文ができる
売買手数料 投資信託ごと、販売会社ごとに
異なる手数料がかかる
証券会社ごとに異なる手数料
がかかる
信託報酬 信託報酬がかかるが
無料のものもある
信託報酬がかかるが一般的な
投資信託と比較して安い
最低投資金額 1万円程度から可能 1万円程度から可能
積立方式 積み立てが可能 積立方式がない

大きな違いは3点です。

  1. ETFはリアルタイムで決まる市場価格で取引することができるのに対し、インデックス・ファンドは1日1回算出される基準価額で取引されること
  2. 信託報酬がETFの方が安いこと
  3. インデックス・ファンドは毎月定額で投資し、運用を任せられることが可能であるのに対し、ETFは積み立て運用ができる種類がほとんどないこと

投資しながら相場について勉強し、売買のタイミングを見極めながら、少しでも利回り面で有利なものを運用したい方はETFが向いており、運用はプロに任せ毎月積み立てながらコツコツと投資がしたい方は、インデックス・ファンドが向いていると言えます。

インデックス・ファンドのメリット・デメリット

投資初心者にとってのインデックス・ファンドのメリット・デメリットを押さえておきましょう。

  • インデックス・ファンドのメリット・デメリット

    インデックス・ファンドのメリット・デメリットを押さえておきましょう

インデックス・ファンドのメリット

インデックス・ファンドには大きく分けて、以下の3点のメリットがあります。

1.値動きがわかりやすい
日経株価平均やTOPIXと連動しているため、値動きがわかりやすくなっています。株価は個別銘柄で購入するため、ある企業の株価が上がるか下がるかというのは不確定要素が多く、投資初心者にとってはリスクが高くなっています。

それに対してインデックス・ファンドは、何を買ったらいいのかわからない初心者であっても、購入した投資信託がどういう状況にあるのか、ニュースを見ているだけでおおよそ把握することができます。

2.投資信託を介して外国株にも投資できる
インデックス・ファンドにはダウ平均株価やNASDAQ総合指数、MSCIコクサイ・インデックスのように、海外の指数に連動した投資信託もあります。外国のインデックスに連動した投資信託を介することで、外国株に投資でき、日本国内株のみの場合よりも、リスクを分散することができます。

3.運用コストが低い
投資信託は売買手数料のほかに、保有しているだけでお金がかかる「信託報酬」というものがあります。対して、インデックス・ファンドには「ノーロード」といって運用手数料が無料のものがあります。

インデックス・ファンドのデメリット

1.元金が保証されていない

インデックス・ファンドは預金とは異なり元金が保証されていないため、元金割れのリスクがあります。また、期待できる年間リターンは数%~15%程度で、株のように大きく利益をあげられません。

しかし「儲かる商品を予想して利益をあげる」のではなく、「持っている資産を成長させる」という考え方は、投資初心者にとって、最適な投資方法と言えます。