最大の変化ともいえるのがカメラの進化。Note20 Ultraでは、メイン、超広角、望遠というトリプルカメラを採用。レーザーAFも備えています。

  • カメラはトリプルカメラ。左からペリスコープ型の望遠カメラ、中央がメインカメラ、右が超広角カメラ。その下の赤い部分がレーザーAF、右側にフラッシュがあります

メインカメラは1億800万画素の超高解像度センサーを搭載。位相差AFセンサー、光学式手ブレ補正を備え、レンズの画角は79度、F値はF1.8です。センサーサイズは1/1.33インチ、焦点距離は26mm(以下、35mm判換算時)、ピクセルサイズは0.8μm。メインカメラはピクセルビニングによって通常は1,200万画素で記録するため、その場合のピクセルサイズは2.4μm相当となります。

超広角カメラは1,200万画素のセンサーを搭載。焦点距離は13mmで画角は120度、ピクセルピッチは1.4μm、レンズのF値はF2.2です。望遠カメラは、1,200万画素センサーでピクセルピッチは1.0μm、レンズのF値はF3.0、画角は20度、焦点距離は約4.7倍となる123mmのようです。

画面のUIとしては、超広角、メイン、望遠の切り替えでは0.5倍、1倍、5倍という表示になっていますが、実際は5倍になっていないため、デジタルズームを併用しているのでしょう。5倍以降は望遠カメラのデジタルズームによって最大50倍までのズームとなっています。S20 Ultraの100倍に及ばないのは、センサーの画素数が1,200万画素止まりだからでしょう。

  • カメラのUIは従来通り。右側にあるのがズームボタンで、下から0.5倍、1倍、5倍にジャンプします

  • ズームボタンにタッチするとさらなる倍率の変更ができます。20倍以上になると、画面左上にあるように全体図とズーム位置を示してくれる指標が出ます。これは便利

5倍ズームのとき、遠景では望遠カメラ、近景ではメインカメラのデジタルズームと自動で切り替わります。5倍ズーム以上は、近景でもすべて望遠カメラのデジタルズームになるようです。

その結果、近景ではメインカメラを使う5倍ズームよりも、望遠カメラによる10倍ズームのほうが高画質、という不思議な状況になっています。デジタルズームの倍率が低いせいなのですが、1億800万画素の中央切り抜きならここまで画質が悪化しないので、1,200万画素でデジタル拡大ズームをしていると思われます。

  • メインカメラで撮影。文句のない描写

  • 近景のため5倍ズームですが、メインカメラのデジタルズームになりました

  • こちらは10倍ズーム。同じ距離からですが自動で望遠カメラに切り替わりました。拡大するとこちらのほうが高画質に見えます

  • メインカメラで撮影。強い日差しにフレアが発生していますが、全体の描写は十分に優れています

  • 光学+デジタルとなる5倍ズームは常用できる画質

  • 16.75倍と中途半端なズーム域ですが、かなりデジタル処理の強い画像になるものの、思ったよりも優秀な印象

  • 20倍ズーム。シーンによっては十分に利用できそうです

せっかく1億800万画素のメインカメラがあるのだから、20倍ぐらいでメインカメラに切り替えて中央切り出しによる疑似ズームにしてもいいとは思うのですが、そういった形にはなっていません。

  • メインカメラ。太陽と反対側(右下)にゴーストが現れており、ちょっと強い光源に弱いように感じます

  • 同じ場所から5倍ズーム

  • こちらは10倍ズーム

  • さらに20倍ズーム

  • そして50倍ズーム。「1号機」という表示はギリギリ読めるレベルです

  • 0.5倍の超広角

全体として画質はかなりの高いレベルにあります。望遠カメラを使った10倍ズームも実用的で、20倍までなら何とか許容範囲でしょう。もともとGalaxy SやGalaxy Noteは、スマートフォンカメラとしてはトップクラスの画質でしたが、Note20 Ultraも同様です。相変わらず、露出補正をしにくいのがスマートフォンカメラの欠点ですが、それは今までと変わらず。

  • 超広角カメラは広いエリアが撮影できるので、スマートフォンカメラ向きの画角

  • それに加えて圧縮効果の分かりやすい望遠カメラも備えており、カメラとして優れた組み合わせです

試用した限りは、光学式手ブレ補正の精度は向上しているに感じました。望遠カメラ使用時もピタッと手ブレが止まり、50倍のデジタルズームでもどうにか手持ちで構図が決められるレベルです。動画撮影時の手ブレ補正もかなり強力。

【動画】動画での手ブレ補正。こちらはメインカメラで標準の手ブレ補正

【動画】こちらはスーパー手ブレ補正をオンにした状態。歩きながらの撮影でも問題ないレベルで手ブレ補正がきいています

Galaxy S20シリーズから搭載された「シングルテイク」も搭載されています。一定時間撮影した動画をもとに静止画やスローモーション動画などを生成して、ベストショットを記録してくれる機能です。従来に比べて、撮影秒数を設定できるようになりました。5秒から15秒と限られた設定ですが、より使いやすくなっています。

  • シングルテイクの設定。5~15秒まで設定できるようになりました

【動画】シングルテイクで自動撮影された動画

画像処理で背景をボケさせるライブフォーカス、その動画版のライブフォーカス動画は、レーザーAFを採用したことから、より精度が向上しているように感じました。細い花やストローのような被写体も、きちんと背景と分離できているようです。

  • ライブフォーカスのボケ方は自然

  • こうした難しい花もかなり健闘しています

デジタルやAIを生かした多彩な機能、というわけではありませんが、カメラとしての性能は着実に進化しており、幅広いシーンに対応できるカメラ機能に仕上がっています。

カメラ機能のリモコンとして使える、Sペンの存在も見逃せません。Sペンのボタンを長押しでカメラが起動し、短押しでシャッターボタンが切れますので、遠隔からでもカメラを操作できます。ボタン2回押しでインカメラとアウトカメラの切り替え(ボタンを押しながらSペンを上下に振ってもカメラの切り替えが可能)、左右に振るとモード切り替え、回転させるとズームといった具合に、Sペンによって色々な操作が可能です。

  • Sペンの設定画面。長押しでのカメラ起動や短押しでのシャッターに加え、複数の操作が可能です。新たに戻るやホームといった操作も可能になりました

Sペンを使った画像の手書き編集機能もあって、カメラ自体の高機能とSペンのクリエイティビティが融合して、創作意欲を高められるカメラ機能といえるでしょう。次回はそのSペンと、アプリ周りを紹介します。