Samsung Electronicsが米国で発表したフラッグシップスマートフォン「Galaxy Note20」シリーズ。毎年米国で発表され、例年だと現地で取材をして、その場で貸し出された試用機でレビューをする、というのがパターンでした。
しかし、2020年は新型コロナウイルスの影響でオンライン発表のみになり、実機にいち早く触れて情報をお届けすることができませんでした。その後は日本法人の尽力で実機が日本にも届き、レビューする機会を得ました。というわけで、グローバル版「Galaxy Note20 Ultra」のレビューをお届けします。例年通りなら、日本でも冬から春のモデルとして発売されるでしょう。
今回の試用機はグローバル版であり、日本の技術基準適合証明(技適)が通っていない端末になります。そのため、「技適未取得機器を用いた実験等の特例制度」(技適の特例制度)を利用して必要な届け出をした上でレビューしています。
制度上、無線LANとBluetoothはカバーできますが、モバイル通信は対象外のため、今回は4Gや5Gのテストは行っていません。Sペンに関しても届け出をしているため、Bluetoothを利用したジェスチャー機能などもテストしています。
ボタンやSペンの位置が変更、物欲を刺激する高品位なデザイン
Galaxy Note20シリーズは、本体に収納できるスタイラス「Sペン」を使った、大型ディスプレイへの手書き入力が可能な人気シリーズです。春の「Galaxy S」シリーズ、秋の「Galaxy Note」シリーズと、年2回発売されるサムスンのフラッグシップスマートフォンとなります。
Note20シリーズは、無印「Note20」とハイエンド機「Note20 Ultra」という2モデルを用意。前シリーズでは「Note10」と「Note10+」の2モデルでしたが、名称が変更されました。従来のNoteシリーズに連なるハイエンドモデルがNote20 Ultra、ややスペックを落としつつ少し本体をコンパクトにしたのがNote20という位置づけのようです。
大きな違いはディスプレイとそのサイズ。6.7インチと6.9インチはわずかな差ですが、Note20はフラットディスプレイ、Note20 Ultraは側面がカーブしたエッジディスプレイです。加えて、Note20 Ultraのディスプレイは120Hzのリフレッシュレート対応し、解像度もNote20 Ultraが高くなっています。そのほか、microSDに対応する点や、メモリ12GB・ストレージ512GBの大容量モデルがある点も違いでしょう。
後述しますが、Note20とNote20 Ultraとでカメラは大きく異なります。どちらもトリプルカメラですが、Note20 Ultraは1億800万画素センサーや光学5倍のレンズ、レーザーAFといったスペックを備えています。
そうした結果、幅は2mm、長さは3mmほど異なり、重さは13gの差でNote20のほうがコンパクト。手元にはNote20 Ultraしかないため、実機での比較はできていませんが、どちらもスマホとしては大きく重いため、個人的にはどうせならNote20 Ultraを選びたいところです。
それでは、Note20 Ultraの外観をチェックしてみましょう。
ディスプレイはボディ全面をカバーしていて表示もキレイ。相変わらず、フル解像度だと120Hzリフレッシュレートの表示はできないのが残念ですが、アプリや用途で使い分けるとよさそう。前面から見た外観は、従来モデルのNote10+と大きな違いはありません。最上部の中央にパンチホールタイプのインカメラがあるのもNote10+と同じです。
Note20とNote20 Ultraのディスプレイサイズの差は0.1インチほどで、サイズ感として大きな差はありません。メモ取りにも使える大型サイズのスマートフォンですが、片手持ち前提だとこれくらいのサイズが限界なのでしょう。余談ですが、折りたたみ式のGalaxy Z Foldの新モデルも出ており、そのうちSペンにも対応してくれることを期待したいところです。
大きな違いとして、側面のボタン位置が左右入れ替わりました。今までは音量ボタン、電源ボタンの2つが左側面にありましたが、これが右側面に移動。これはGalaxy Sシリーズと同じ配置です。Galaxy Sシリーズとも合わせて統一感を出すためのようです。
底面にあるSペンの挿入口も右下から左下に移動しました。ボタン位置変更で基板の形状が変わり、なおかつカメラが大型化したことで右側に余裕がなくなったからと推測できます。私を含む右利きの人だと、スマホ本体を左手で持って右手でSペンを使うため、左下にSペンがあると、抜き差しで左手が少しジャマになります。今までSペンを使っていた人は特に、右下に自然に手が伸びるため、このあたりは慣れが必要そうです(Sペンの詳細はレビュー後編で詳しくチェックします)。
背面は従来のNote10+とは異なるカラーリング。Note20 Ultraに用意されたのは、ミスティックブロンズ、ミスティックブラック、ミスティックホワイトの3色。試用機はミスティックブロンズカラーでした。Note10+はツルツルした光沢のあるデザインでしたが、ミスティックブロンズは光沢がありながら「輝く」という感じではなく、落ち着いた印象です。
背面はサラサラといった感触で、手触りも悪くありません。滑りやすい印象もあるので、ちょっと心配な面ではあります。美しいのでカバーを付けずに使いたくなりそう。側面だけを覆うバンパー系のケース(しかもストラップホール付き)がおすすめです。
カメラの出っ張りが気になる
Galaxy Sシリーズに比べると目立たないNoteシリーズのカメラだったのですが、Note20シリーズのカメラはかなり進化しました。スペック的にはSシリーズと同等になっています。
一見して目立つのは、Note20 Ultraのカメラ部が大きく出っ張っていること。これはGalaxy S20 Ultraも同様です(写真を見る限りNote20はそれほど出っ張っていません)。Note20 Ultraでは、1億800万画素のセンサーにペリスコープ型の屈曲光学系を採用した5倍レンズを搭載しているためでしょう。
そのため、テーブルなどに置くとき心配になります。Ultraシリーズを置くときはカメラの出っ張りをカバーするケースを装着しておくと安心できそうです。前述の通り、背面を覆うカバーは付けたくないのですが……。
カメラ部が大型化したため、重さのバランスも変わっていて、「頭でっかち」の印象で上部が重くなっています。その割には全体のバランスは取れており、極端に重いという感じはしません。
全体的なデザインをまとめると、Note10シリーズと比べてカメラを中心に刷新され、ボタン位置やSペン位置の変更も大きな変化です。背面カラーとフィニッシュは高品位で物欲を刺激する仕上がりになっています。