長年叫ばれ続けてきた学歴至上主義からの脱却は、学歴を全く必要としない“起業”という選択が若者の間でもっと広がれば、一気に進むかもしれない。
さらに、「コロナになってオンラインで学習できることが分かり、学校に行かないでいいと思う人も増えるかもしれません。企業にいる人が異動して環境が変わったらホームランを打つことがあるように、中卒の子も東京に来たらホームランを打つかもしれない。少なくとも、『ヤンキーインターン』は、そのスイングのチャンスをくれる場所だと思いました」と印象を語る。
撮影は今年の年明けから行ってきたが、4月にはコロナによる緊急事態宣言が発令され、取材が困難な状況に。同時に、「彼らの就活は面接の予約もどんどん減って、本当に厳しくなったんです。コロナの不況って、なんとなく分かっているようで分からないことが多いと思うのですが、中卒の子たちへの影響が顕著に出てしまうというところも、番組では伝えたいです」と、弱者である彼らの立場を訴えた。
■下剋上精神で念願のディレクターデビュー
「バンドが好きで、そこからメンバーの自伝やインタビューを読んで、その人がどんな経歴をたどってきたのかを調べるのが好きだったんです。ドキュメンタリーは、好きな人が何を考えているのか、どう変わっていくのかが描けると思って、ずっとやりたいと思っていました」という島越D。「この2年くらいは、月に2~3本企画書を出し続けていました」といい、念願のディレクターデビューとなった。
今回の制作で「ドキュメンタリーってすごく楽しいなと思いました」と振り返りつつ、「ドキュメンタリーのディレクターとして『絶対に跳ねてやる』という下剋上精神でずっと企画書を出していたので、密着した彼らとシンクロできて良かったなと思います」と充実の表情。
ただ、「半年密着して、みんなは夢を見つけたり成長していたのに、僕のカメラと取材の仕方は下手なままでした(笑)」と苦笑いしていた。
●島越翔平
1989年生まれ、大阪府出身。08年、同志社大学に入学するも中退し、神戸大学に入学。同大学卒業後、早稲田大学大学院に入学したが、14年に中退。IVSテレビ制作を経て、16年にテレビマンユニオン入社。『食彩の王国』『遠くへ行きたい』などを担当し、今回『ザ・ノンフィクション』でドキュメンタリー番組のディレクターデビューを果たした。