●泣くほど苦労したレコーディング
――続いて、カップリング曲「re:flection」について聞きます。本曲ではニノミヤさんが作詞、作曲・編曲をタナカ零さんが担当されています。どのように制作が進みましたか?
タナカさんの曲をいただいてから作詞を進めていきました。タナカさんは普段、メロディーと一緒に歌詞を作る方なんです。なので、いつもは「歌詞のためにあるようなメロディー」を作られるんですよ。私もそれを意識して、いつも以上にメロディーを活かせる歌詞を書こうと思ったのですが、とても難しくて……。歌うことも、歌詞を書くこともこれまでの曲の中で一番苦労したと思います。
――難しかったという作詞。どのようにフレーズを思い浮かべていきましたか?
カップリング曲はラブソング的なものにしたいという構想は元々あり、そこから曲調的には失恋ソングが合うと感じたので、その方向性で歌詞を書き始めました。また、これまで作詞した曲は自分自身の内面を書くことが多かったのですが、今回は曲に合わせたかったので、ストーリーや情景が鮮明に思い浮かぶような歌詞を書いていきました。イメージは発売時期とも合わせて「夏の思い出」。曲中に登場する「僕」と「君」の思い出を切り取った歌詞になっているので、注目してみてください。
――タナカさんが手がけられたメロディーを聞いたときの印象も教えてください。
とてもカッコいいのですが、歌うのが難しい跳躍や変拍子が使われていて、エキセントリックな曲だと感じました。ただ、そういうわざと不安になるようなリズムが、私の情緒不安定感を表しているのかなとも思って。そういう意図はなかったのかもしれませんが、私はそう捉えて、この曲を歌いました。
――実際のレコーディングはどうでしたか?
レコーディングの直前まで歌詞を直していたので、まずはそのことでいっぱいいっぱいになってしまいました。そのうえ、リズムが難しい曲なのでメロディーを追うことや、歌詞にニュアンスを付けることも大変で……。特にAメロは伴奏が薄い分、自分の声で表現しないといけなかったので、とても難しかったんです。曲をいただいたときから「これは試練だ」と覚悟していたつもりでしたが、思っていた以上に上手くできなくて、泣いてしまいました。
――それは悔しさから?
悔しさもありますし、私が歌詞の言葉に影響されやすいタイプなので、今回の「光が見えないエンド」の詞に引っ張られてしまったんです。歌詞には引っ張られ、歌えないことも悔しくて……と色々な感情が混ざり合って、泣いてしまいました。
――音楽には人の感情を揺さぶる、不思議な力がありますよね。
あります。それこそ欅坂46さんの曲を聞くと勇気が出る半面、「どうしようもないこともある」という感情が湧くこともあって。抱く思いは人それぞれでしょうが、色々な影響力があると思います。
――ニノミヤさんの曲も、感情を大きく揺さぶるものが多い気がします。
警鐘系……とは言いませんが、どこか悲しかったり諦めが入っていたり切なかったりと、内面を書いているものが多いです。そういう意味では、感情を揺さぶられる曲が多いかもしれません。
●もうちょっとグレたい
――今回のジャケット写真は前回と違い、色味が使われたものになっています。
前回は色味なし、彩度ゼロという感じだったのですが、今回はリード曲の曲調が明るい分、色味を使った方向性にしてくださいました。お気に入りの一枚です。
――アーティスト活動をするうえで撮影する機会も増えたかと思いますが、もう慣れましたか?
少しは慣れた気がしますが、自分の写真を見るのはまだ抵抗があります。それでも、カッコよく撮ってくださって、仕上がりも素敵になるので、それは嬉しいですね。
――本日は色々とお話しいただきありがとうございました。最後に、今後のアーティスト活動における目標を改めて教えてください。
アルバム、シングルとリリースしたことで、ニノミヤユイの自己紹介はできたと思っています。ただ、自分の考えていることはどんどん変わっていく。だから、これからもその時々の表現や新しい一面を見せていきたいです。次のリリースがどのような形になるかはわかりませんが、「こういうニノミヤユイもいるんだ」ということを知ってもらいたいですね。あとは、色々な人から「真面目だね」とよく言われるので、そのイメージとは逆に、不良になりたいと思っています。
――ふ、不良に憧れている?
主に、ビジュアル的な面ですけどね(笑)。最近目指しているビジュアルは「バンドマンの彼女」です。
――私もよく「真面目すぎ」と言われるので、気持ちはわかります。破天荒な人に憧れちゃうんですよね……。
そうなんですよね! 「真面目」と言われていると、だんだんと破天荒な行動をしている人たちが羨ましくなってきちゃって……。だから、もうちょっとグレたいんです(笑)。せめて見た目だけでも頑張りたいなと思います。もし次にお会いする機会があったら、ちょっと悪くなっているかもしれませんよ。
――「真面目」な人間同士、頑張りましょう(笑)。
はい(笑)。
●ニノミヤユイ、1st シングル「つらぬいて憂鬱」
価格:1,200円(税抜)
収録内容:
・つらぬいて憂鬱
・re:flection
※各instrumentalを含めた計4曲収録
