――兄バーリー役の城田さんとは同じ事務所で、公私ともにとても仲が良いそうですが、今回アフレコをするにあたり、何か相談をされたりしましたか?

僕たちは、普段から会いすぎてるくらい会っている、本当の兄弟みたいな関係ですが、今回の仕事についての相談は全くしていないです。僕からすれば、優くんは事務所の10年先輩ですが、敬語も一切使わないし、むしろ敬語で話すと「淳ちゃん、気持ち悪いよ」と言われるくらいの仲です。でも、それぞれ身内に厳しいところがあるし、役へのアプローチの仕方は違うと思うんです。仕事の関係を“なあなあ”にしたくないので、役についての話はしていません。

――親しい関係性だからこそ、仕事については、お互いにプロ意識を持つ、ということですね。

そこは、共通認識として持っていたくて。お互い、最初に映画を観た時に泣いたという話はしました。また、アフレコは僕が最初に収録して、後日優くんが収録日に僕の声を初めて聞いた時「淳ちゃんのイアン、すごく良かった」とLINEをくれましたが、それ以外は一切話してないです。

――イアン役を演じるにあたり、兄バーリーを観て、城田さんを被せたりはしましたか?

僕と優くんの関係性を、イアンとバーリーの兄弟感に反映させた部分は、少なからずあったと思います。声の収録の時は最初からバーリーが優くんにしか見えなかったので、とても感情移入できました。

――イアンは、魔法を使って、亡くなったお父さんに会いたいと願いますが、志尊さんは、過去に遡って会ってみたい人はいますか?

僕はまだ、親しい身内を失っていないので、過去に戻って会いたい人はいませんが、過去を振り返る時間は大切にしています。最近すごく思うことですが、僕は失敗から学んだことが強く活きていると思う人間なので、あそこで失敗して良かったなと、感じることが非常に多いです。失敗したからこそ、今こうしてやれている部分や、気をつけようと思う点がすごくあります。

――ちゃんと失敗した経験を活かせているということですね。

失敗するタイミングってそれぞれが必然なんじゃないかと、僕は思っています。だから、また失敗する可能性があっても、今度は違う失敗の仕方をしようと切り替えます。過去に未練は全くないのですが、あのときはああだったなと、振り返ることはよくあります。

――失敗する怖さみたいなものはないのでしょうか?

以前はすごくありましたが、今は失敗した分だけ強くなれるとも思っているので大丈夫です。それは普段生きていく中でもそうですし、役者としても失敗を恐れて狭まった表現をするよりも、たとえ失敗して叩かれたとしても、そこで違う表現の仕方を見つけられたほうが、役者としての広がりが出ると、これまでの経験から感じています。失敗したいわけではないですが、失敗=恥という概念は取り払うようにしています。

■志尊淳(しそん・じゅん)
1995年3月5日生まれ、東京都出身。2011年にミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズンで俳優デビューし、2014年に『烈車戦隊トッキュウジャー』で主演。主な出演映画は、『帝一の國』(17)、『覆面系ノイズ』(17)、『走れ! T校バスケット部』(18)、『フォルトゥナの瞳』(19)、『劇場版 おっさんずラブ ~LOVE or DEAD~』(19)、『HiGH&LOW THE WORST』(19)のほか、『さんかく窓の外側は夜』(10月30日公開予定)が待機中

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