チルトアップ式となり狭額縁。エアフローも大幅な改善。

さて、検証機が到着した。データ通り明らかに小さく、「某13.3インチ用PCケース」に入れると5485は奥行きがピッチピチのタイトフィットなのに対して5405は奥行きが減ったのでスルッと余裕で入る。重量も5485が実測1478gに対し5405は1353gと125g軽くなっている。

  • 「13.3インチ用PCケース」に入れてみた。最近の狭額縁化によってこのケースでも14インチノートパソコンが格納できるが、5485はピッチピチに対し5405はゆとりがある

  • 旧型の5485は実測1478g。普及モデルでこの重量になったと喜んだのだが……

  • 新型の5405は実測1353gとさらに9%ほどの軽量化を達成している

カラーリングは若干の変更があるもののどちらもプラチナシルバーモデル故に「外見はシルバー」だ。5485はプラチナシルバーのみだったが、5405にはプラチナシルバー以外にエデンというグレーモデルも用意されている。検証機はプラチナシルバー)。

しかし、開いてみると5485と5405では見かけが大きく異なる。5485はキーボードがブラックでディスプレイベゼルも黒いのに対し、5405はキーボードもベゼルもシルバーとなっている。さらにバックライト付キーボードになった。細かいところになるが5405はタッチパッド周囲がダイヤモンドカットされており見ためもいい。

  • 5485のキーボード。ブラックでバックライトなし。電源ボタンがキーボードエリア外なのはいいと思う。指紋入力は標準で含まれていた

  • 5405のキーボード。シルバーバックライト付。入力フィールが異なるが電源ボタンがキーボードエリア内に入っているのはややマイナス。指紋入力はオプション

  • 5405のタッチパッドは大型化され、パームレストとの境目はダイヤモンドカットされており見た目がいい

ベゼルは5485が上9mm、左右6mm、下30mm程度に対し、5405が上9mm、左右5mm、下16mmというかチルトアップの関係で実質12mm程度と減った。ついでにDELLロゴの高さも6mmから5mmと小さくなっている。

  • 5485でも3面狭額縁だが、5405ではベゼルカラーを白に変更し3面狭額縁も薄くなった。さらに従来厚く感じた下のベゼルがチルトアップ式ヒンジになった事も相まって大きく改善されている

液晶ヒンジを奥目にすることで、蓋を開くとカバーが本体を支えるチルトアップ式に変更。これに伴いCPUクーラーの排気が液晶ヒンジに干渉せず、本体下部のスリットも増えて明らかにエアフローが改善されている。実際、テスト前の完全バックアップを取っている時に冷却ファンの音が目立つこともなく、底板を触ってもあまり熱くない。

  • 5405はチルトアップ式で、これによりエアフローが大幅に改善されている

  • 5485のボトムカバーと液晶部から見た排気部。背面のスリットが1列で、CPUクーラーファンのエアがヒンジに当たるので抜けがよろしくない

  • 5405のボトムカバーと液晶部から見た排気部。背面のスリットが2列になり、CPUクーラーファンのエアが液晶パネルに沿って流れるようになっており、放熱性は格段に向上しているように思える

旧型の5485は電源を入れた際にファンチェックのためか大きな回転音が聞こえるほか、負荷の軽いテキストエディタ入力時でもたまにファンが回る音が気になっていた(熱の抜けが悪い)。対して5405は電源オン時も静かなままだ。もちろん負荷の重いベンチマークソフトを動かせばファンは回るが、ベンチマークが終了してほどなくファンは止まるので冷却効率はよさそうだ。

デザイン面でもう一つうれしいのがボトムカバーの変更で、5485は本体パーツの下からボトムカバーをかぶせるようになっているためキーボード側に継ぎ目があるのに対し、5405は本体パーツがサイド部を含めた作りになっているので、継ぎ目がボトム側にあり、目立たない設計になっている。

  • 5485はキーボードを含むパームレストをボトムカバーに入れる構造になっており、継ぎ目が見える。5405はキーボードユニットを含むCPUやバッテリーに裏から蓋をしている作りなので継ぎ目も裏側にあり目立たない

キーボードはレイアウトに若干の変更がある。5485はPageUp/DownをFn+↑/↓としているのに対し、5405は←→キーの上に独立キーが用意された。

一方、5485はキーボードの枠の外に電源ボタンがあるのに対し、5405は右上に電源ボタンがある。キータッチが違うので誤入力する可能性は低いと思うが少々気になる。誤入力が多いと感じた場合はスイッチを押してもスリープしない設定にすればよいだろう。

というのは電源オンのために電源ボタンを押さなくてよいからだ。5405にはパソコンを開いただけで電源が入る「Power on LID open」という設定がBIOS内にあり、標準で有効になっている。5485にはこの機能がない。

  • 5405のBIOSには「Power on LID open」と言う項目があり、購入時から有効になっている。開けば即電源ONとなのは使い勝手がよい

5485を買って改めて実感したのが「電源ボタン内蔵指紋認証」の便利さだ(DELLの発表会では何度かアピールされていたが、展示機ではわからない)。現在5405の指紋認証はオプション対応となっているが、評価機はオプション入りでWindows Helloの使い勝手が非常によい。逆にInspiron 5000シリーズでは上位モデルのXPSで採用されているIRカメラを用いた顔認証には対応していない。

起動、スリープ、ウェイクアップタイムは一昔前のノートパソコンからすると雲泥の差となっている。以前、指紋認証のノートパソコンを使っていたが、ラインセンサーなので指を動かす必要があった。5405/5485の指紋センサーは最近のスマホでも使われているエリアセンサーなので、指を置くだけでよく、認識速度も速いのでストレスを感じない。

PD電源への対応だが45W未満のアダプタは使い物にならない。手持ちのAnker PowerPort Atom III 30W Slimを接続していたところ充電はおろか接続中にもならなかった。ベンチマークを取りながらチェックしてみたところ、5405は非充電時でもピーク消費電力が40Wを超えていたので、仕方ないだろう。

CPUパワーを比較するためにCINEBENCH R20で測定したところ、5485がCPU 1040、CPU(Single Core)286に対し5405はCPU 2199、CPU(Single Core)440と圧倒的な差がついた。単にCPUの世代による差だけではなく、放熱性の差もあると思われる。

  • Windows10標準で含まれているWinSATを使用し、WEI Viewerでインデックス値を表示させたところ。5405で劣っているのはグラフィックスだが、これはRyzen 5 3500Uのグラフィックスコアが8基(周波数1200Mhz)に対してRyzen 5 4500Uが6基(周波数1500Mhz)のためだろう

  • CINEBENCH R20の速度差はクロックだけでなくCPUアーキテクチャーの差、そしてエアフロー改善による放熱性が影響しているとおもわれる

バッテリーの持ちに関して、スペック上5405は5485比で5%電池容量が減っているが、実際に使ってみると使用時間が短くなったという印象はない。取材で持ち出してみたところ2件の取材に関してバッテリーだけで余裕で利用できた。

ベンチマークと言っては微妙だがWindowsのオートスリープを無効にして、100%⇒2%(ここで休止状態になる)まで「(ビデオと音声を入れた)耐久"Zoom"テスト」を行ったところ(Windowsの設定はより良いバッテリーで、パワーモードはスリープと休止タイミング以外はDELLの標準。音量は50、画面の明るさは一番明るい状態から2段階落としている)で、5405ではおよそ5時間(3回測定の平均は299分)利用できた。一方5485は3.75時間(3回測定の平均は225分)で、ネットワークを常時使っている状況下で5405はタフに利用できる事がわかった。

最後にメモリに関してだが、5485は2.1GBのハードウェア予約が入っているのに対して5405のハードウェア予約は647MBに留まり、同じ8GBの搭載メモリだがそのうち1GB以上多くWindowsで利用できる。予約分は内蔵グラフィックス用のメモリと推定されるが、より多くのWindowsの利用可能領域となっているのは非常にうれしい。

  • 5485は2.1GBのハードウェア予約(≒グラフィックメモリ)を確保しており、ユーザーエリアがやや狭い

  • 対して5405はハードウェア予約が647MBしかなく、8GBメモリでもユーザーエリアが5485よりも多く使える