動画性能やバッテリー撮影枚数は着実に進化
最後に、動画機能とバッテリーを見てみましょう。
動画記録はDCI4K60pおよび4K60pで、ビットレートも400Mbpsとしています。これはX-T3と同じですが、記録画質としては十分すぎるもので、高画質の動画撮影を楽しめます。さらにX-T4では、F-Logによる動画記録も可能としており、カラーグレーディングを伴う本格的な撮影を行うことも可能。また、フルHD240pのハイスピード動画撮影や電子式手ブレ補正機能の搭載などに加え、前述したバリアングル液晶や速やかに静止画モードと動画モードを切り替えられるダイヤルなど、動画撮影に関する機能はこれまでになく強化されています。
バッテリーは、これまでの「NP-W126S」から大型化した「NP-W235」となりました。容量も当然増しており、フル充電からの撮影可能枚数はX-T3が約390枚(CIPA基準での測定)であるのに対し、X-T4では約500枚(同)に、エコノミーモードと呼ぶ省電力モードでは約600枚(同)となりました。これまで、X-T3に限らずXシステムのカメラはバッテリーの持ちがお世辞にもよいとはいえませんでしたので、大いに嬉しい進化です。
先代X-T3の発売は2018年9月。本機は2020年4月発売ですので、モデルチェンジのタイミングは比較的早い部類に入ります(X-T3は今後も継続販売の予定)。その理由については、メーカーから直接教えてもらえませんでしたが、私感としては動画に関する機能の充実が大きいのではと思っています。おそらく、動画に軸足を置いたパナソニックのマイクロフォーサーズ機「LUMIX GH5」と同様の立ち位置に少しでも早く持っていきたい、という意図が強く働いたのではないでしょうか。
もちろん、センサーシフト方式の手ブレ補正機構は静止画撮影でも恩恵が受けられますし、写真愛好家のなかにはバリアングルモニターの好きな人や、動画撮影も楽しむ人がいるのも事実です。しかしながら、多くの写真愛好家にとって好ましく感じていたり、静止画撮影に適していると思える部分を変え、そして急いでリニューアルを行ったことは、写真を撮ることを楽しむ者として少々寂しく思えてしまいます。映像関係のユーザー比率がどの程度なのかは分かりませんが、ユーザー層の多くを占めると思われる写真愛好家にもう少し寄り添うカメラであってほしかったと思わずにはいられません。
次回の後編は実写編として、画質チェックや電子ビューファインダーのフィーリングなどを紹介します。