Renoir世代モバイルAPUの実力をベンチマークテスト

ThinkPad X1 Carbon Gen8の処理能力をベンチマークテストの「PCMark 10」「CINEBENCH R20」「3DMark Night Raid」「ファイナルファンタジーXIV 漆黒のヴィランズベンチマーク」「CrystalDiskMark 7.0.0 x64」で測定した。なお、測定に使用した評価機の構成は次の通りだ。

製品名 ThinkPad T14s Gen 1 (AMD)
CPU Ryzen 5 PRO 4650U (6コア12スレッド、動作クロック2.1GHz/4GHz、L3キャッシュ容量8MB)
メモリ 8GB (DDR4-3200)
ストレージ 256GB M.2 (PCIe 3.0 x4 NVMe) SSD (SAMSUNG MZVLB256HBJQ-000L7)
光学ドライブ なし
グラフィックス Radeon Graphics (CPU統合)
ディスプレイ 14型 (1.920×1.080ドット) 非光沢
ネットワーク IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax対応無線LAN、Bluetooth 5
サイズ/重量 W329×D226.15×H16.7mm / 約1.33kg
OS Windows 10 Home 64bit
PCMark 10 4542
PCMark 10 Essentials 8649
PCMark 10 Productivity 6712
PCMark 10 Digital Content Creation 4383
3DMark Night Raid 10635
3DMark Time Spy 941
ファイナルファンタジーXIV漆黒の反逆者(最高品質) 2348(普通)
ファイナルファンタジーXIV漆黒の反逆者(標準品質ノートPC) 4211(快適)
CINEBENCH R20 CPU 2335 cb
CINEBENCH R20 CPU(Single Core) 441 cb
CrystalDiskMark 7.0.0 x64
Seq Q8T1 Read 3590.85.62MB/s
Seq Q8T1 Write 2347.96MB/s
RND4K Q32T16 Read 600.14MB/s
RND4K Q32T16 Write 439.80MB/s

先日掲載したThinkPad X1 Carbon Gen 8のスコアと比べてみると、Ryzen 5 PRO 4650Uを搭載したThinkPad T14s Gen 1 (AMD)の処理能力の高さとコストパフォーマンスの高さがよく分かるだろう(ThinkPad X1 Carbon Gen 8は、Intel Core i7-10510Uと搭載して、システムメモリの容量は16GBだった)。特に、3DMark Night RaidとファイナルファンタジーXIV漆黒の反逆者のスコアは抜きんでている。

加えて、バッテリー駆動時間をBBench 1.0.1で測定(ディスプレイ輝度は10段階の下から6レベル、電源プランはパフォーマンス寄りのバランスにそれぞれ設定)した。

BBench 1.0.1 6時間58分19秒

ただし、その処理能力の高さとトレードオフになるのが本体の表面温度と騒音だ。電源プランをパフォーマンス優勢に設定し、3DMark NightRaidを実行し、CPU TESTの1分経過時において、Fキー、Jキー、パークレスト左側、パームレスト左側、底面のそれぞれを非接触タイプ温度計で測定した表面温度と、騒音計で測定した音圧の値は次のようになった。

表面温度(Fキー) 40.6度
表面温度(Jキー) 44.3度
表面温度(パームレスト左側) 32.2度
表面温度(パームレスト右側) 33.6度
表面温度(底面) 48.2度
発生音 37.8dBA(暗騒音35.8dBA)

手の多くの部分が接するパームレストは30度台前半に収まっているが、FキーもJキーも40度を超えている。特にキーボードの右半分が突出して熱く、上段のキーは45度を超えていた。また、底面に至っては50度に迫らん勢いで、膝にのせて長時間使うのは極力避けるのが望ましい。一方で、ファンが回っているのは分かる(比較的高い「ヒー」という音がする)が発生音は比較的静かだった。

  • 標準付属のACアダプタは45ワットタイプだが、カスタマイズで急速充電に対応する65ワットタイプを選べる

"あのまとまったお金"で手の届くPCの最適解か?

ThinkPad T14s Gen 1 (AMD)は、ボディサイズや本体の重さなど、携帯のしやすさにおいては従来モデルのThinkPad T495sとほぼ同等といえる。一方で、第3世代Ryzenを採用したことによる処理能力の向上は目覚ましく、特にグラフィックス処理能力においては、Coreプロセッサを搭載するThinkPad T14s Gen 1のみならず、ディスクリートGPUを搭載しないThinkPad X1 Carbon Gen 8をも上回る。

今回評価した評価機の構成はシステムメモリを8GBに抑え、LTE非対応、ThinkPad イーサネット拡張ケーブル2、Officeアプリなしなど、最小構成に近い。この構成でWeb直販のレノボストアで期間限定のeクーポンと適用すると、時期によっては税別で10万台と、ある意味「あのまとまったお金+α」で購入できるThinkPadといえる。表面温度の高さよりThinkPadシリーズの信頼性とキータイプを優先するユーザーなら、とても気になる一台となるはずだ。