Ryzen PROも同時に発表
これまでRyzen PROはRyzenから1四半期遅れ、という感じで投入されていたのが、Ryzen Mobileに関しては2カ月遅れでの投入にやや前倒しされた。そしてDesktop向けAPUでは遂に同時発売になったというのは、要するにRenoirのDesktop版のメインターゲットはコンシューマ向けではなくビジネス向けという事がはっきりと判る。
考えてみれば当然の話で、GPUを搭載しないRyzen 3000シリーズはコンシューマ向けのマーケットで非常に健闘しており、GPUを搭載するIntelのCore iシリーズ相手に優位に戦っている、という話はご存じの通り。勿論省スペースPCとか静音PCとかを狙うとGPU内蔵が欲しくなるが、通常のコンシューマ向けDesktopではGPU内蔵はそれほど要求されない。ところがビジネス向けの場合、省スペース性などのニーズもあるが、コストの問題からGPU統合が強く求められる。実際、AMDがIntelに対してビハインドを追っているマーケットがまさにここなだけに、AMDとしてはコンシューマ向けよりも先にビジネス向けを投入したかったのだろう、という事が良くわかる。
そのビジネス向けの「PRO版」のラインナップがこちら(Photo13)。スペック的にはコンシューマ向けのRyzen/Athlonと全く同一の構成・同一の動作周波数・同一のTDPになっており、ただしモデルナンバーを50(Athlon Silverのみ25)だけ足した形になっている。これはおそらくPROの有無だけで区別すると間違いが起きそうなので、モデルナンバーも変更してオーダー間違いを減らそうとしたというあたりと思われる。Athlon Gold/Athlon Silverに関してもPRO版が提供されており、AMD Pro Technologyとして提供されるSecurity/Manageability/Software Stabilityが利用できる、というのはIntelに対する一つのアドバンテージではある。
性能に関してもコンシューマ向け同様に示されている(Photo14~16)が、基本的にはコンシューマ向けと差はない。ただ一つ大きなアピールは省電力性であろうか。Intelはこのところ性能を稼ぐためにTDPを引き上げる方向に進んでおり、ここでRyzenにアドバンテージがある訳だが、当然このポイントについてもアピールを欠かさなかった(Photo17)。
PROシリーズ製品は既にOEMへの出荷を開始しており、今年の晩秋にはOEMからの出荷が開始される予定となっている。一方コンシューマ向けのRyzen 4000G/Athlon 3000Gシリーズは今年第3四半期中の発売となっている。現時点で公式には価格は明らかにされていないが、既報の通り日本AMDより、8月8日の午前11時にRyzen 7 4750G/Ryzen 5 4650G/Ryzen 3 4350Gの3製品の発売を開始すると発表があった。型番からするに、どう見てもこれはOEM向けのPRO版をコンシューマ向けに横流しした、おそらくはバルク版での提供で、パッケージ版のRenoirはもう少し遅れると思われる。前述の記事の通り推奨小売価格は
Ryzen 7 4750G \39,980
Ryzen 5 4650G \26,980
Ryzen 3 4350G \19,980(いずれも税別)
となっている。7月22日付けのAmazonの正規品だと、Ryzen 7 3700Xが\43,020、Ryzen 5 3400Gが\20,889、Ryzen 3 3200Gが\13,111といった価格であり、推奨小売価格はそう悪くない様に思う。パッケージ版が何時出回るのか、それとどの程度潤沢に供給されるのか、そしてパッケージ版の価格はいくらになるのか、あたりが今後の焦点になりそうだ。
編集部注:その後、「Ryzen 7 4750G」「Ryzen 5 4650G」「Ryzen 3 4350G」はそれぞれ、「Ryzen 7 PRO 4750G」「Ryzen 5 PRO 4650G」「Ryzen 3 PRO 4350G」へと製品名が訂正された。