ソーシャルディスタンスの取り方で話題となったのが、6月26日放送の『全力!脱力タイムズ』(毎週金曜23:00~)だ。ゲストコメンテーターの南海キャンディーズ・山里亮太が、メインキャスターの有田哲平から約10メートルも離れた位置に座り、進行中のやり取りが聞こえない状況下で次々にムチャぶりを受けた。
「(制作総指揮の名城)ラリータさんから『賢太さん、“スーパーソーシャルディスタンス”がしたいです』ってメールが来て、とにかくすごく離したいということなんだろうなと思って(笑)」と解釈した鈴木氏は、カメラを引いて1枚画で山里が離れているのが見える限界値となるテーブルの長さを設計。
ここでこだわったのは、「カメラを引いた時に、上の構図まできちんと飾りを入れてしまうと、おかしな画に見えないので、あえてそのままのスタジオ風景をしっかり残して、イレギュラーなことが起きている感じを出しました」。
“スーパーソーシャルディスタンス”という1回しか使えないボケのために、あれだけのセットを作るのは「なかなかのことです。いわゆる“美術ボケ”にお金がかけられると、『託された』と思ってやりがいがありますね(笑)」と言いつつ、「実は山里さんの前の部分の仕上げはちゃんと凝ってるんですけど、広い画だけで映る部分は単色で仕上げるなど節約してるんです(笑)」と裏側を明かしてくれた。
■課題は音楽番組「ずっと試行錯誤」
一方で、まだ課題が多いのは音楽番組だという。カメラマンにアシスタントが付けられないため、ケーブルさばきをする人がいなくなる。そうすると、カメラを動かせばケーブルの擦れる音がしてしまうことから、いわゆるカメラワークが禁じられてしまうのだ。結果、歌唱シーンのアングルが固定されることになる。
それに加え、コラボレーションで歌う際、歌手が互いに向き合えないという問題も。曲ごとに印象を変えるセット転換も人手が必要となるため、照明スタッフの協力を仰ぎながら1つのセットで違った表情を見せるといった工夫も行っており、「そういう環境の中でどうしたら普段のライブ感とそん色のないものが提供できるのかというのを、ずっと試行錯誤しています」と研究を続けている。