AS SSD Benchmark:4Kランダムリードが860 QVOより約13%高速

次に、SSDに特化したベンチマークソフト「AS SSD Benchmark 2.0.7316.34247」を利用して、パフォーマンスを計測してみた。CrystalDiskMarkの結果と同じく、シーケンシャルリードとシーケンシャルライトは、870 QVOと860 QVOの間で大きな差はなかった。

4Kリードは、同容量の860 QVOに比べて、870 QVOが約13%高速だ。4Kライトは870 QVOと860 QVOの性能差はほとんどない。4K-64Thrdリードは、870 QVOと860 QVOの性能に有意な差は見られなかった。

870 QVOと860 QVOの1TBモデル

  • 870 QVO 1TB

  • 860 QVO 1TB

870 QVOと860 QVOの2TBモデル

  • 870 QVO 2TB

  • 860 QVO 2TB

AS SSD Benchmark:IOPSの測定結果はほぼ同じ

4K-64Thrdリードと4K-64ThrdライトのIOPSは、870 QVOと860 QVOで大きな差はない。

870 QVOと860 QVOの1TBモデル

  • 870 QVO 1TB

  • 860 QVO 1TB

870 QVOと860 QVOの2TBモデル

  • 870 QVO 2TB

  • 860 QVO 2TB

AS SSD Benchmark:ファイルコピーテスト「ISO」は870 QVOが約10%高速

AS SSD Benchmarkでは、巨大な単体ファイルのコピーを想定した「ISO」、小さなファイルを多数コピーすることを想定した「Program」、さまざまな大きさのファイルが混在した場合のコピーを想定した「Game」という、3種類のファイルコピーテストが用意されている。

870 QVO 1TBのファイルコピー(転送速度)は、ISOが676.63MB/秒、Programが608.30MB/秒、Gameが521.50MB/秒。860 QVO 1TBは、ISOが608.96MB/秒、Programが596.50MB/秒、Gameが524.75MB/秒であった。

870 QVOと860 QVOの1TBモデル

  • 870 QVO 1TB

  • 860 QVO 1TB

870 QVO 2TBのファイルコピー(転送速度)は、ISOが637.38MB/秒、Programが613.43MB/秒、Gameが531.39MB/秒。860 QVO 2TBは、ISOが596.65MB/秒、Programが605.77MB/秒、Gameが526.10MB/秒。ISOについては、870 QVOのほうが同容量の860 QVOに比べて転送速度が7~11%程度高速だったが、ProgramとGameについては870 QVOと860 QVOの性能差はほとんどなかった。

870 QVOと860 QVOの2TBモデル

  • 870 QVO 2TB

  • 860 QVO 2TB

さらに、コンプレッションベンチマークも実行した。コンプレッションベンチマークは、圧縮が効かないランダムデータから、同じ値が続く圧縮しやすいデータへと、連続的にデータ構成を変えて転送速度を計測するテストだ。

最近はまず見なくなったが、書き込み時にデータ圧縮を行うSSDは、圧縮しやすいデータのほうが転送速度が上がるため、グラフが右肩上がりの曲線となる。870 QVOも860 QVOもグラフはほぼ水平であり、つまりデータを圧縮しやすい・しにくいに関わらず、安定した性能が出ている。

870 QVOと860 QVOの1TBモデル

  • 870 QVO 1TB

  • 860 QVO 1TB

870 QVOと860 QVOの2TBモデル

  • 870 QVO 2TB

  • 860 QVO 2TB

ATTO Disk Benchmark:結果はほぼ同じ

次のベンチマークは「ATTO Disk Benchmark 4.01.0f1」。シーケンシャルリードとシーケンシャルライトの転送速度を計測してみた。

870 QVO 1TBは、転送サイズ2MBでのリードが534.57MB/秒、ライトが503.19MB/秒。860 QVO 1TBは、転送サイズ2MBでのリードが535.81MB/秒、ライトが504.43MB/秒。

870 QVO 2TBは、転送サイズ2MBのリードが534.57MB/秒、ライトが501.96MB/秒。860 QVO 2TBは、転送サイズ2MBのリードが530.88MB/秒、ライトが501.96MB/秒。870 QVOと860 QVOはほぼ同じと見てよい。

870 QVOと860 QVOの1TBモデル

  • 870 QVO 1TB

  • 860 QVO 1TB

870 QVOと860 QVOの2TBモデル

  • 870 QVO 2TB

  • 860 QVO 2TB

HD Tune Pro 5.75:Intelligent TurboWriteの効果がはっきり出た

最後に、「HD Tune Pro 5.75」を利用して、ストレージ全域に書き込んだ場合の転送速度を計測した。

870 QVO 1TBはリード時の転送速度が平均443.3MB/秒であったのに対し、860 QVO 1TBのリード時の転送速度は平均444.7MB/秒。どちらもリード速度はほぼ一定だった。

870 QVO 2TBはリード時の転送速度が平均440.3MB/秒であったのに対し、860 QVO 2TBはリード時の転送速度が平均441.0MB/秒。こちらもパフォーマンスはほぼ同じだ。

870 QVOと860 QVOの1TBモデル

  • 870 QVO 1TB

  • 860 QVO 1TB

870 QVOと860 QVOの2TBモデル

  • 870 QVO 2TB

  • 860 QVO 2TB

シーケンシャルライトについては、Intelligent TurboWriteの効果がよく分かる結果となった。

Intelligent TurboWrite領域が最大42GBの870 QVO 1TBでは、500GBを少し超えるまでは、420MB/秒程度の転送速度が出ているが、500GBを超えたあたりで75MB/秒程度まで一気に低下。Intelligent TurboWriteのキャッシュ領域を使い切り、QLC本来の書き込み速度になったためだろう。860 QVO 1TBも、870 QVO 1TBとほぼ同じような結果となっている。

870 QVOと860 QVOの1TBモデル

  • 870 QVO 1TB

  • 860 QVO 1TB

それに対し、Intelligent TurboWrite領域が最大78GBある870 QVO 2TBでは、1,900GBまで420MBMB/秒程度の転送速度が出ており、1,900GBを超えても150MB/秒程度を保っている。860 QVO 2TBの挙動も870 QVO 2TBとほぼ同じだ。

870 QVO 1TBのライト時の転送速度は平均443.3MB/秒であったのに対し、860 QVO 1TBのリード時の転送速度は444.7MB/秒であり、どちらもリード速度はほぼ一定であった。また、870 QVO 2TBのリード時の転送速度は平均440.3MB/秒であったのに対し、860 QVO 2TBのリード時の転送速度は平均441.0MB/秒であり、こちらもパフォーマンスはほぼ同じであった。

870 QVOと860 QVOの2TBモデル

  • 870 QVO 2TB

  • 860 QVO 2TB

SATA対応SSDの完成形ともいえる製品

870 QVOは、前モデルの860 QVOからの性能向上はそれほど大きくはないが、860 QVOでもパフォーマンス的にはほぼSATA 3.0の限界に達しており、これ以上性能を向上させるのは難しい。870 QVOは新たに8TBモデルが追加され、動画編集など大容量が要求される用途にも十分対応できるようになった。メインストリーム向けのSATA対応SSDとして、完成形と呼べるだろう。

870 QVOは、性能、信頼性、コストパフォーマンスともに優れた2.5インチSATA SSDだ。おそらく日本でも発売されると思うので、500GBクラスのSSDからのアップグレード用としてもおすすめだ。

なお、HD Tune Proの検証で明らかになったように、1TBモデルと2TBモデルでは、Intelligent TurboWriteが効く範囲が大きく異なるため、できれば2TB以上のモデルを検討したいところ。CrystalDiskMarkやAS SSD Benchmarkのファイルコピーテストでは、1TBモデルも2TBモデルとあまり変わらない結果を出していることから分かるように、一般的な使い方なら1TBモデルでも性能的に不満を感じることはないだろう。しかし、SSDの空き容量が少なくなると、Intelligent TurboWriteの性能が発揮できなくなり、書き込み性能が落ちることに注意したい。