――共演された感想も教えてください。
中条:本郷さんはすごく独特な雰囲気を持った方だなという印象です。今回共演させていただいて、歩いているワンちゃんを見て「かわいい」という感じで見ていたりして、生き物をめでる精神をたくさん持っていらっしゃるんだなと思いました。
本郷:かわいがらないと思いましたか?(笑)
中条:あまり動物好きというイメージがなかったので、すごく愛情深いところがあるというのは意外でした(笑)
本郷:中条さんは周りをすごく明るくしてくれる方です。勝手な印象でクールな方かなと思っていたのですが、実際は明るくて天真爛漫で、周りを元気づけてくれるような方でした。同時に、お芝居に対してはすごく真面目で熱心で、とても努力されている方だなと。
――お2人とも料理人の役ですが、料理の練習はされましたか?
中条:昔の時代にタイムスリップするお話なので、ジャガイモの皮をピーラーでむかずに包丁でむく練習をたくさんして、家でもジャガイモの皮を包丁でむき続けるという練習をしました。また、料理人の方に教えてもらって盛り付けの練習もしました。
本郷:僕は中条さんほど料理するシーンはなかったので、そんなに練習はしていません。中条さんはスケジュールの中に料理練習が組み込まれていて、すごく練習されているのを見ていました。フランベが上手にできていて、頑張っていらっしゃいました。
中条:ありがとうございます(笑)
――劇中においしそうな料理も出てくるのかなと思いますが、実際に食べておいしかったものなど、食べ物に関するエピソードを教えてください。
中条:シェフの方から、お肉を真空調理して煮ると安いお肉でも高級なレストランの味になると教えていただき、練習のときに食べさせてもらってめちゃくちゃおいしかったので、家でもやってみたいなと思いました。意外に簡単なので、ぜひ家で試してもらえたらなと思います。
本郷:僕は、捨ててしまう皮や根っこを使った「野菜くずのスープ」が印象に残っています。この作品でも大きな役割を持っている料理なのですが、味わい深くおいしくて、本当だったら捨ててしまうものでもこんなにおいしいスープが作れるんだと驚きました。実際にそれを食べて2020年を生きている沙織さんが感動するという場面があり、まさにそれと同じ体験をして、食材をすべて使い切るということも考えさせられたすごく素敵なメニューでした。
――本作は、1964年と2020年の東京が舞台ですが、1964年のオリンピックに関するシーンはいかがでしたか?
中条:オリンピックが自分の国で行われることがどれくらい盛り上がることなのか、想像でしかないですけど、本当に一大イベントだったと思います。1つのテレビをみんなで見るというシーンがあり、テレビがある近所の家に集まってオリンピックを見るという盛り上がりもすごくいいなと思いました。
本郷:1964年のオリンピックをテレビで見るシーンは、台本には「大型モニターに釘付けになっている人々」と書いてありましたが、めちゃめちゃ小さいテレビなんです。「これでも大きかった」と言われて。56年前は外国人の旅行客も今ほどいないでしょうし、オリンピックでいろんな発見があったと考えると、そりゃ人々も熱狂するだろうなと、そのシーンはいろいろなことを考えさせられました。このドラマは、沙織さんのいる2020年で来年のオリンピックのための新しいメニューを考案するぞっていうところから始まります。撮影していた時点ではオリンピックの延期は想定外でしたが、ドラマを見ていただければ「オリンピックっていいよね」と思ってもらえると思います。
――コロナ禍の今だからこそ感じられるこのドラマの魅力についてはいかがでしょうか。
中条:オリンピックのためにメニューを考えたり、オリンピックに向けてみんなが一つのところに集中するというワクワクやイベント感は、もし開催されていたらこうだったのかなとか、いろいろ想像して楽しめる作品になるのではないかなと思います。
本郷:こういう状況になってしまったことによって、人と人とのつながりを考えますし、大切に思うからこそ会わないでおこうという選択肢をとった方が良い場面もある。それとは全然違うかもしれないですが、沙織さんが元の時代に帰ってしまったら会えなくなるわけで、タイムスリップものならではの切なさ、会いたくても会えないというメッセージ性は、より共感できるのかもしれないなと思います。
――最後に、好きな時代にタイムスリップできるとしたら、どんな時代にタイムスリプしてみたいですか?
本郷:僕は未来に行きたいかな。すごく遠い未来ではなく、100年、200年くらい先の、自分が理解できそうなくらいの近未来に行って、技術を目の当たりにしてみたいです。
中条:私はバブル時代が気になります。1万円札でタクシーを呼んだりするというのを聞いたことがあるので、そういうのを見てみたいです(笑)
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