女優の中条あやみと俳優の本郷奏多が、11日にNHK BSプレミアムで放送される特集ドラマ『56年目の失恋』(21:00~22:29)で初共演。2020年の東京と1964年の東京という2つの時代を舞台にしたタイムスリップ・ラブストーリーで、時代を超えて出会い、愛を育む男女を演じる。放送を前に2人にインタビューし、本作の魅力や共演の感想などを聞いた。

高級フレンチ店「シェ・ニシジマ」のシェフ見習い・中川沙織(中条)は、2020年から突然1964年の世界へとタイムスリップしてしまう。そして、西洋料理店「翡翠亭」のコック・菊池隆一(本郷)のもとで修業をするうちに、恋心を抱くように。隆一も、ふいにどこからか現れた沙織の面倒を見ていく中で、いつの間にか沙織の存在が特別なものになっていく。

  • 『56年目の失恋』に出演する中条あやみ(左)と本郷奏多

――まず、オファーを受けたときの感想や脚本を読んだときの印象をお聞かせください。

中条:『56年目の失恋』という題名からしてどんなお話なんだろうと思って脚本を読んで、時空を飛び越えて恋愛するというのが斬新だなと感じました。また、今の時代にはなくなっていることをタイムスリップして学べるのはすごくいいことだなと思いました。

本郷:脚本を読んで純粋に面白いなと思いました。タイムスリップものですが、SF要素にフォーカスしているわけではなく、描きたいのは人間ドラマ。56年前は現代人の感性とは違うこともたくさんあり、主人公の沙織さんはびっくりしますが、昔ながらのシンプルな社会だからこそ気づける人間の温かさが描かれているので、ほっこりした気持ちになると思います。

――ご自身が演じた役柄の魅力を教えてください。

中条:今でこそ女性のコックさんもたくさんいると思いますが、タイムスリップした先の1964年の頃はまだまだ珍しい時代です。そんな中でも沙織はいろんなことに挑戦するチャレンジ精神があり、両親がいなくておばあちゃんに育ててもらったというところもあって、自分の内に秘めて思っているものがすごく強い、情熱のある負けず嫌いな女の子だなと思います。

本郷:沙織さんが56年前にタイムスリップした先にいる料理人の青年で、一見、不愛想で、ぶっきら棒に見えますが、実は心が優しくて、家族や行く場所がなくて困っている沙織にすごく優しい。自分の仕事を好きでやっているし、プライドを持っているし、昔のかっこいい男らしい男みたいな、すごく好感を持てるキャラクターだと思います。

――演じた役柄とご自身の共通点はありますか?

中条:男の人に負けないという気持ちでどんどんチャレンジするところが面白いなと思っているのですが、私もけっこう負けず嫌いなところがあるので、共感できる部分もたくさんありました。

本郷:隆一さんは本当にいい男なんですよね。優しいし、かっこいいし、あまり多くを語らないけど、尊敬できるすごく素敵な男性で、まさに僕と一緒だなと思います(笑)

中条:同意見です(笑)

本郷:ありがとうございます。ふざけて言ったんですが、変な感じになってしまいました(笑)

――時代を超えて惹かれ合うというお話ですが、お互いどのようなところに魅力を感じて惹かれ合っていたと思いますか?

中条:野菜くずをスープにしてご近所の方に提供して、お互いに支え合って暮らしている姿だったり、妹の夢を叶えるために仕事を頑張っている姿だったり、隆一さんは昔ならではの男気、包容力のある感じが素敵だなと思いました。

本郷:沙織さんは、隆一からしたら56年未来からやってきた女性なので、自分の常識では考えられないような行動をしたりして、最初は変なヤツだなと思って接しますが、女性があまり意見を言わないような昭和の時代において、自分の意見をはっきり言う沙織さんの人間性に惹かれていく。タイムスリップして全然違う世界に来たのに、そこで生きていくんだという風にメンタルを持っていける心の強さに惹かれていったのではないかなと思って演じました。

――本郷さんは同時期に、NHK BSプレミアム『大江戸もののけ物語』(7月17日スタート)に本作とはまったく異なる妖怪役で出演されますが、演じ分けは苦労されましたか?

本郷:いろんな役者さんが「ずっと役に引っ張られる」ということがあると思うのですが、僕には当てはまらないんです。僕はなるべく最大効率で楽をしたいので、「よーいスタート」から「カット」の間しか集中していないんですね(笑)。だから切り替えというものは不要なんです。

中条:カメラが回っている時以外はリラックスされてますもんね。

本郷:本番で100%を出すためにあえて休んでいると言っております(笑)

中条:さすがです! 切り替えを大事に(笑)