YouTubeの「ウルトラマン公式 ULTRAMAN OFFICIAL by TSUBURAYA PROD.」チャンネルで、7月7日より『ウルトラマンマックス』の配信が開始された(毎週1話更新/2週間限定配信/全40回)。今からちょうど15年前となる2005年7月2日に放送が始まった『ウルトラマンマックス』とはいかなるシリーズだったのか、これからの配信に向けて、その概要と注目ポイントを挙げてみたい。
円谷プロダクション製作の連続テレビドラマ『ウルトラマンマックス』は『ウルトラマンネクサス』(2004年)の後番組として、2005(平成17)年7月2日から2006(平成18)年4月1日まで、CBC・TBS系で毎週土曜日朝7:30より放送された。
雑誌、イベント、劇場映画『ULTRAMAN』(2004年)といった各メディアで複合的に展開した「ULTRA N PROJECT」の一環として作られた『ウルトラマンネクサス』は、人から人へと受け継がれる光の"絆"をテーマに、人間の暗部を鋭くえぐるような暗く重苦しいストーリー展開が大きな特徴だった。これに続く『ウルトラマンマックス』では『ネクサス』とは180度異なる「子どもを意識した原点回帰の王道」ウルトラマンを作ろうというコンセプトで、企画が立ちあげられた。
「最強・最速」というキャッチコピーが与えられたヒーロー・ウルトラマンマックスは、『ウルトラセブン』(1967年)をモチーフに、シンプルな「赤」と「銀」を中心にデザインがまとめられた。色遣いや体のラインなどは"オーソドックス"でありながら、胸のプロテクターの形状や左腕に備えられた「マックススパーク」などで"独自性"を打ち出している。「原点回帰」と「新鮮さ」の両方を備えたウルトラマンマックスのデザインワーク(丸山浩氏による)から、本作の方向性を容易につかみとることができる。
原点回帰といえば、『マックス』では当初から「エレキング、レッドキング、ゼットンなど過去の人気ウルトラ怪獣が"復活"する」と告知されており、彼らの勇姿をよく知る年長特撮ファンの興奮を誘った。平成ウルトラマンシリーズの基礎を築いた『ウルトラマンティガ』(1996年)や続編の『ウルトラマンダイナ』(1997年)、そして『ウルトラマンガイア』(1998年)では、人気怪獣のネームバリューに頼らない新たなウルトラ怪獣を生み出そうとして、旧作の怪獣・宇宙人を出さないよう努めていたからだ。
『ウルトラマン』(1966年)第2話「侵略者を撃て」第16話「科特隊宇宙へ」の脚本・監督を務めた飯島敏宏(千束北男)氏による『劇場版ウルトラマンコスモス THE FIRST CONTACT』(2001年)ではデザインが大幅にリニューアルされたバルタン星人が登場したが、テレビ版『ウルトラマンコスモス』(2001年)には旧作オマージュ怪獣(ガモラン、ギギ、リドリアスなど)こそあったものの、旧作怪獣そのものの登場はなかった。それだけに『マックス』ではどんな「ウルトラ怪獣」がよみがえり、どのような活躍をするのか大いに注目が集まった。
第1話「ウルトラマンマックス誕生!」にはラゴラス、グランゴンという2大(新)怪獣がウルトラマンマックスと激戦を繰り広げた。そして第2話「怪獣を飼う女」には放電竜エレキングが登場。このエレキングは『ウルトラセブン』の第3話「湖のひみつ」で大暴れした宇宙怪獣エレキングに酷似しているものの、体の模様のつき方が異なり、両腕には鋭いツメが生えている。このように『マックス』に登場する旧作ウルトラ怪獣は(一部の例外を除いて)みな新たな設定・属性が与えられた「リメイク怪獣」といっていいだろう。
『マックス』のリメイク怪獣は、第2話、第27話のエレキング、第5、6、36話のレッドキングとピグモン、第11話のアントラー、第13話のゼットン、第14話のキングジョー、第21話のゴモラ、第24話のメトロン星人、第33、34話のバルタン星人といった面々。いずれも過去の作品とは直接のつながりがないキャラクターだったが、唯一メトロン星人だけはかつて『ウルトラセブン』に登場したのと同じ個体であり、セブンのアイスラッガーで真っ二つにされたボディを縫い合わせ、蘇生したという設定が与えられている。
毎回、さまざまな要因で地球上に姿を現し、人類に危害を加える巨大怪獣。これを迎えうつのが、地球防衛連合UDF日本支部の対怪獣防衛チームDASH(ダッシュ)の隊員たち(ヒジカタ隊長、カイト隊員、ミズキ隊員、ショーン隊員、コバ隊員、オペレーターのアンドロイド・エリー)と、謎のヒーロー・ウルトラマンマックスなのである。
マックスと一体化する主人公トウマ・カイト役は、第1、2話を手がけた金子修介監督によって青山草太が抜擢された。また、アンドロイドのエリー役に満島ひかりをキャスティングしたのも金子監督だった。チームDASHの面々には、どこか『ウルトラマン』の科学特捜隊を思わせるアットホームな空気が漂っており、射撃の名手で熱血漢のコバ、ムードメーカーで発明狂の一面を持つショーン、活発な女性隊員ミズキ、感情のないアンドロイドながらどこか人間味のあるエリー、優しさと勇敢さを備えるカイト、そして彼らをまとめるよき兄貴分のヒジカタと、個性豊かなメンバーがそろった。
さらには、『ウルトラマン』の科学特捜隊・ハヤタ隊員を演じた黒部進がUDFのトミオカ長官役、フジ・アキコ隊員の桜井浩子がヨシナガ教授役でレギュラー入りしている点にも注目したい。地球防衛の"レジェンド"たちに見守られながら、若いチームが最前線で怪獣事件に挑むという防衛チームの"二世代化"も本作の大きな魅力となった。