長く履き続けるためのメンテナンス
早くも愛着が湧いたところで、靴のメンテナンスについても聞いてみました。
「靴を履き下ろす前には、表面に同色(あるいは無色)の乳化性クリームを塗ります。革に潤いを与えるだけでなく、細かな傷ができるのを防いでくれます。革に柔軟性をもたせることで、足なじみが良くなる効果もあります」(渡辺店長)。まずは目立たないところで色を確認してから、全体的に均一に薄く塗っていくと良いそう。なお毛先が硬めな豚毛ブラシで軽く撫でるようにブラッシングすると、クリームがほどよく浸透していくとのことです。
「靴のお手入れ用クロスで磨くと、表面に光沢が出てきますよ。このほか、防水スプレーでフッ素コーティングをしておくと、突然の雨でも水分が染み込みにくくなり、汚れやシミの防止にもなります」。なるほど、梅雨の時期を迎えるにあたり、雨・湿気対策は万全にしておきたいところです。でも万が一、びしょ濡れになってしまった場合は、どうすれば良いのでしょう?
「濡れてしまったときは、靴の表面の水気をタオル等で拭き取り、靴の中には靴用のシュードライ(乾燥剤)を試してみてください。湿気、汗を吸い取って、靴の中をサラサラの状態に戻してくれます」。シュードライ自体は、晴れた日に天日干しすることで、半永久的に使い続けられるんだとか。そんな便利なモノがあったんですね。筆者はたまに、濡れた靴の中に新聞紙を丸めて入れることがありますが、渡辺店長によれば「新聞紙は水を吸い切った後に、逆に放出してしまうんです。だからこまめに交換する必要があるし、インクがうつる、匂いがうつるといった心配もあります」とのこと。なるほど、心当たりがあります。
靴の中に入れておくアイテムと言えば、シューツリーもあります。あれは、いつ使うのでしょう? 「型崩れ防止、吸湿、シワを伸ばす、といった用途でシューツリーは用います。レッドシダーなどのシューツリーは木の成分が防虫・防カビにつながることも期待できます」(渡辺店長)。脱いだスーツをハンガーにかけるのと同様に、普段からシューツリーを入れておくことで、靴が元の靴型に戻ろうとする力を助けてくれるとの説明でした。
洋服と同じく、革靴にも日常的なケアが大事なことがよく分かりました。でも、どうしてもメンテナンスしている時間がないときもあるでしょう。そこで最低限、これだけはしておいた方が良い、ということについても聞いてみました。「革靴の表面には、皆さんが思っている以上に埃や汚れが付着します。環境によっては、付着した汚れからカビが発生することもあります。その汚れを取り除くだけでも、靴の寿命は伸ばせます。毛先の柔らかい馬毛のブラシを使って、ブラッシングしてください」。
ブラッシングしても取り除けない汚れについては、リーガルでは革の表面に付いた汚れを落とす『2フェイスローション』なども販売しています。残業で、あるいは飲み会で帰宅が遅くなった夜でも、最低限ブラッシングだけはして、なおかつ靴用のシュードライも入れてから就寝したいところですね。
もちろん修理も対応! リーガルリペア
リーガルは革靴の修理にも対応しています。その取り組みについても聞いてみました。
前編でも紹介した通り、リーガルのパターンオーダー(Built to order system)サービスの魅力は、16種類のデザイン+様々な素材を自由にカスタマイズできるところ。オーダーは新潟県加茂市にあるリーガルコーポレーションの自社工場に届けられ、手作業でオーダーシューズを仕上げています。実は革靴の修理においても、同じ工場で手作業で対応してくれるんだとか。それを聞くと心強いですね。
「修理の場合、シューズを製造した工場まで戻します。製造時の木型を入れ底材を外し、革が傷んでいるなら新しい革を充てて補修。実際のところ、新品をつくるより修理の方が神経を使う作業になります」(渡辺店長)。
ヒール(踵)、ソール(靴底)は日々、摩耗していきます。その減り具合によって、修理に必要な期間と料金も変わってくるようです。「ヒールは層になっていまして、イチバン下の層を交換する『化粧取り替え』なら3週間で対応できます。さらに摩耗が進み、ヒールを根本から丸々交換する場合は4週間ほど。さらに、靴底全体を取り替える『オールソール交換』になると、1か月半から2か月くらい頂きます」。
オールソール交換で、料金は1万~1万5千円くらい。長年愛用のシューズが、馴染んだ履き心地はそのままに、ソールの交換がされて帰ってくるなら、それはお値打ち価格と言えるんじゃないでしょうか。