「Blu-ray BOX VOL.2」に収録されている後半のエピソードでは、ブラックサタン大首領が滅びると同時にジェネラル・シャドウが乗っ取りを敢行。各地から「改造魔人」を集めてデルザー軍団を結成する第27話からの展開に注目したい。メンバーひとりひとりが大幹部クラスの実力を持つデルザー軍団では、ストロンガーを倒した者がトップに立てると定められ、それぞれの特殊能力をフルに使ってストロンガーに迫っていく。個性豊かな改造魔人はみなそれぞれ強さに自信を持っていて、力を合わせてストロンガーを倒そうとする者は少ない。力を貸すと見せかけて裏切ったり、他の魔人を出し抜くため策を弄したり、改造魔人同士のかけあいが魅力的に描かれた。
第30話でタックルが改造魔人ドクターケイトを道連れにして壮絶な死を遂げた後、第31話では元ブラックサタンの科学者・正木博士によってストロンガーの体内に「超電子ダイナモ」が埋め込まれ、ストロンガーは「超電子人間」にチャージアップする能力を授かった。
ストロンガーがチャージアップのポーズを取ると、胸の「S」マークが回転を始め、カブトショック(触角)が銀色に輝いて超電子ダイナモが作動する。しかしチャージアップしてからの活動時間は、わずか1分間。限界を越えたとき、ストロンガーの身体はバラバラになってしまうのだ。超電子ストロンガーは「超電子ドリルキック」「超電ジェット投げ」などの必殺技で、デルザーの強敵と対等かそれ以上に戦える力を得た。
『仮面ライダーストロンガー』の最大のクライマックス、それが第35話「帰ってきた男!その名はV3!!」から第39話(最終回)「さようなら!栄光の7人ライダー!」までの5つのエピソードである。本作では早い段階から雑誌『テレビマガジン』『テレビランド』などで「7人ライダーの強さくらべ」に代表される歴代仮面ライダーの比較特集が多く組まれており、これらを愛読していた少年ファンたちは、世界各国に散らばっている歴代6人ライダーがストロンガーを助けるため日本に“帰ってくる”展開がいつか来るのではないか……と夢見ていた。前作『仮面ライダーアマゾン』では一度も「仮面ライダー競演」が無かったこともあり、いっそう『ストロンガー』にかかる期待も大きかった。
そんなファンの思いをくみ取ったかのように、第35話では仮面ライダーV3/風見志郎(演:宮内洋)、第36話では仮面ライダーX/神敬介(演:速水亮)と仮面ライダーアマゾン/山本大介(演:岡崎徹)、第37話ではV3とライダーマン/結城丈二(演:山口暁)、第38話では仮面ライダー1号/本郷猛(演:藤岡弘、)と仮面ライダー2号/一文字隼人(演:佐々木剛)がぞくぞく登場。世界各国で猛威をふるっていたデルザー軍団のマシーン大元帥、磁石団長、ヨロイ騎士が日本に集結するのを知り、後を追いかけてきたのだ。
最終回「さようなら!栄光の7人ライダー!」では、本郷猛から城茂まで、素顔の仮面ライダーがひとつの画面に収まるという奇跡のような映像が実現。『仮面ライダー』第1話「怪奇蜘蛛男」から始まった“仮面ライダーの物語”がこれで完結を迎えるという意味もあってか、予告ナレーション(中江真司)で「仮面ライダー最終回」と呼ばれているのも、ファンの心を熱くする要素のひとつだった。歴代エピソードを多く手がけた山田稔監督と共に、原作者・石ノ森章太郎氏が共同監督を務めた。後半での「7人ライダーが大首領の“正体”に踏み込む」シーンの独創的な映像表現などに「石ノ森」テイストが満ち満ちている。
Blu-ray BOX VOL.2には、『仮面ライダーストロンガー』最終回から翌週となる1976年1月3日の10:30~11:25より放送された1時間番組『全員集合!7人の仮面ライダー!!』も収録されている。デルザー軍団大首領=岩石巨人(現在は“岩石大首領”と呼ばれている)を倒し、世界に平和が戻った後、立花藤兵衛が子どもたちと一緒に仮面ライダーショーを観ながら、かつての戦いの日々をふりかえるといった内容で、『仮面ライダー』から『仮面ライダーストロンガー』までの名場面を織り交ぜると共に、本郷猛、一文字隼人、風見志郎、結城丈二、神敬介、山本大介(アマゾン)が藤兵衛のもとに再結集し、自分たちの思い出を語るシーンもあり、『ストロンガー』終了の余韻にひたっていた少年ファンたちにさらなる歓喜を呼び込んだ。最後は、遊園地に忍び込んだ本物の怪人たちを倒すため、城茂を交えた7人ライダーがふたたび活躍。地下で潜伏していた暗黒大将軍(演:堀田真三)と対峙するアクションシーンもあり、まさに仮面ライダーの4年9ヶ月をしめくくるにふさわしいスペシャル番組となった。
昭和、平成、令和と時代を超えて悪と戦い続ける「仮面ライダー」の「ルーツ」というべき初期5作品の“集大成”を狙った『仮面ライダーストロンガー』が、今また高画質のBlu-rayとなってよみがえった。VOL1、VOL2ともに、きっと「栄光の7人ライダー」の活躍に胸を躍らせたファンのみなさんの郷愁を呼び起こすに違いない。
(C)石森プロ・東映