小学館が『ウルトラマン』を大々的に特集している中、当時ウルトラマンシリーズの掲載権のなかった講談社は、ライバルに対抗するべく『テレビマガジン』誌上で実験的な特集記事を打ち出した。それが1978年6月号の「きみはぜんぶおぼえているかい?ウォンテッド!ライダー怪人」という巻頭6ページカラー特集だった。『仮面ライダーストロンガー』の最終回からすでに2年以上もの月日が経過している中でのライダー怪人特集はちょっとした"冒険"だったはずだが、これがかなりの評判を取ったため、以後『テレビマガジン』では「仮面ライダー」シリーズのリバイバル特集を主力展開に持ってくるようになった。
講談社『テレビマガジン』、そして徳間書店『テレビランド』といった雑誌メディアが火付け役となった『仮面ライダー』のリバイバル人気を受ける形で、全国各都市での早朝再放送もひんぱんに行われた。この段階で、仮面ライダー"復活"への道すじは完全についたといえるだろう。
かくして、リバイバルブームに乗る形で『仮面ライダー』は見事"復活"を遂げることができた。『仮面ライダー(新)』で特筆すべきは、3年以上ものブランクがあったにも関わらず、脚本(伊上勝)、監督(山田稔)、音楽(菊池俊輔)、アクション(大野剣友会)といった中枢のスタッフを前シリーズからしっかりと継続させている点だろう。新しい作品だからとすべてをガラリと変えるのではなく「仮面ライダーらしさ」をかもし出す骨子の要素はそのまま引き継がせる。それが(初期の)仮面ライダーシリーズになんともいえない「統一感」をもたらす秘密だったのかもしれない。
『仮面ライダー(新)』の放送開始を盛り上げるため、1979年9月8日の夕方、毎日放送・TBS系でスペシャル番組『不滅の仮面ライダー』が放送された。その内容は、東映東京撮影所を訪れた立花藤兵衛が、歴代仮面ライダーの勇姿を子どもたちと一緒に回想するというもの。撮影に使われた小道具(変身ベルト)や台本、当時の玩具などを織り交ぜながら、各ライダーの「劇場版」から抜粋された名場面が視聴者の目を楽しませた。間に『仮面ライダーV3対デストロン怪人』を挟み、後半では『仮面ライダー(新)』の特報映像が中江真司の新録音ナレーションによって紹介されている。
「東映特撮YouTube Official」にていよいよ配信がスタートする『仮面ライダー(新)』。まずは初期エピソードでの第1作『仮面ライダー』を意識した「怪奇アクション」風味をぜひお楽しみいただきたいところだ。オンエア当時は視聴率対策などさまざまな理由で内容の「テコ入れ」が必要になり、本作も回を重ねるごとにその内容や登場キャラクターに大幅な変更を余儀なくされている。当初は第1作のリメイクを目指した「怪奇アクション」作品だった本作『仮面ライダー(新)』に、いかなる"エンタメ要素"が追加されていくのか、その変容ぶりをポジティブにとらえつつ、ぞんぶんに楽しんでいただきたい。