小学館が『ウルトラマン』を大々的に特集している中、当時ウルトラマンシリーズの掲載権のなかった講談社は、ライバルに対抗するべく『テレビマガジン』誌上で実験的な特集記事を打ち出した。それが1978年6月号の「きみはぜんぶおぼえているかい?ウォンテッド!ライダー怪人」という巻頭6ページカラー特集だった。『仮面ライダーストロンガー』の最終回からすでに2年以上もの月日が経過している中でのライダー怪人特集はちょっとした"冒険"だったはずだが、これがかなりの評判を取ったため、以後『テレビマガジン』では「仮面ライダー」シリーズのリバイバル特集を主力展開に持ってくるようになった。

  • 講談社『テレビマガジン』1978年6月号表紙(著者私物)テレビアニメ化された『宇宙海賊キャプテンハーロック』がメインの表紙だが、日本初のスーパーカー「童夢」や仮面ライダー怪人特集など、当時どのようなものが流行していたかがレイアウトからうかがえる

  • 朝日ソノラマ「ファンタスティック・コレクションNo.9 仮面ライダー(総集版)」表紙(著者私物)。1978年9月1日発行。円谷プロ『ウルトラマン』、東宝『ゴジラ』シリーズに続いて、東映『仮面ライダー』の製作メイキングエピソードや名場面、放送リストなどを中心に構成した伝説的なムック

講談社『テレビマガジン』、そして徳間書店『テレビランド』といった雑誌メディアが火付け役となった『仮面ライダー』のリバイバル人気を受ける形で、全国各都市での早朝再放送もひんぱんに行われた。この段階で、仮面ライダー"復活"への道すじは完全についたといえるだろう。

  • ケイブンシャ「仮面ライダー大百科」表紙(著者私物)1978年11月10日発行。同時期の『ウルトラマン大百科』と同じく、隅々まで濃密な情報がギッシリ詰め込まれているファン必携の書。東映プロデューサー平山亨氏・阿部征司氏、毎日放送の左近洋一氏からの寄稿もあった

  • 徳間書店「仮面ライダーブロマイド図鑑1」表紙(著者私物)1979年6月1日発行

  • 徳間書店「仮面ライダーブロマイド図鑑2」表紙(著者私物)1979年8月25日発行。歴代仮面ライダーシリーズの特写を行ってきた徳間書店秘蔵のスチールと、番組の臨場感をそのまま切りとったフィルムコマ焼き写真で、過去5作品の情報を網羅した決定版アイテム。今ではあまり見られないような貴重な写真も多い

かくして、リバイバルブームに乗る形で『仮面ライダー』は見事"復活"を遂げることができた。『仮面ライダー(新)』で特筆すべきは、3年以上ものブランクがあったにも関わらず、脚本(伊上勝)、監督(山田稔)、音楽(菊池俊輔)、アクション(大野剣友会)といった中枢のスタッフを前シリーズからしっかりと継続させている点だろう。新しい作品だからとすべてをガラリと変えるのではなく「仮面ライダーらしさ」をかもし出す骨子の要素はそのまま引き継がせる。それが(初期の)仮面ライダーシリーズになんともいえない「統一感」をもたらす秘密だったのかもしれない。

『仮面ライダー(新)』の放送開始を盛り上げるため、1979年9月8日の夕方、毎日放送・TBS系でスペシャル番組『不滅の仮面ライダー』が放送された。その内容は、東映東京撮影所を訪れた立花藤兵衛が、歴代仮面ライダーの勇姿を子どもたちと一緒に回想するというもの。撮影に使われた小道具(変身ベルト)や台本、当時の玩具などを織り交ぜながら、各ライダーの「劇場版」から抜粋された名場面が視聴者の目を楽しませた。間に『仮面ライダーV3対デストロン怪人』を挟み、後半では『仮面ライダー(新)』の特報映像が中江真司の新録音ナレーションによって紹介されている。

「東映特撮YouTube Official」にていよいよ配信がスタートする『仮面ライダー(新)』。まずは初期エピソードでの第1作『仮面ライダー』を意識した「怪奇アクション」風味をぜひお楽しみいただきたいところだ。オンエア当時は視聴率対策などさまざまな理由で内容の「テコ入れ」が必要になり、本作も回を重ねるごとにその内容や登場キャラクターに大幅な変更を余儀なくされている。当初は第1作のリメイクを目指した「怪奇アクション」作品だった本作『仮面ライダー(新)』に、いかなる"エンタメ要素"が追加されていくのか、その変容ぶりをポジティブにとらえつつ、ぞんぶんに楽しんでいただきたい。

  • 講談社『テレビマガジン』1979年9月号表紙(著者私物)「新しい仮面ライダー」が初お披露目された号で、本誌には石ノ森章太郎氏によるイラストとしてスカイライダーが描かれている。仮面ライダー1号をより生物的にアレンジしたかのようなデザインワークは子どもから大人まで、すべての仮面ライダーファンを興奮させた

  • 講談社『テレビマガジン』1979年12月号付録「スカイライダーひみつアルバム」(著者私物)テレビマガジン本誌に付属しているカラーカードを切り取り、それをアルバムに貼りつけて完成させる冊子。筑波洋の変身ポーズ連写やスカイターボの部分写真など、レアなビジュアル満載

  • ケイブンシャ「新仮面ライダー大百科」表紙(著者私物)1980年6月25日発行。同年春に公開された劇場版『8人ライダー対銀河王』と、第1~28話のエピソードガイドなどを掲載。ミニコラムに入っている製作の裏話が興味深く読ませる

  • 「新仮面ライダー大百科」裏表紙のポピー広告。スカイターボが壁を突き破る「ライダーブレーク(ライダーブレイク)」を玩具で再現できるよう、バラバラに壊れる壁が付属

  • 徳間書店『テレビランド』1980年7月号付録「8人ライダー対293怪人図鑑」(著者私物)186ページの厚い小冊子。1ページに基本2体の怪人が紹介されている。表紙のスカイライダーは7人ライダーからの大特訓を受け、色鮮やかになった強化スカイライダー

  • 日本コロムビア「仮面ライダーヒットコレクション3」ジャケット(著者私物)1985~1986年ごろ、ビデオソフトが人気を博したことでまたもや「仮面ライダー」シリーズに熱い注目が集まった。主題歌やBGMを集めたレコードも多く企画され、この勢いに乗って1987年には二度目の"復活"作品となる『仮面ライダーBLACK』が誕生する