入社2年目の木村氏にとって、今回はディレクターデビュー作品だ。「チーフディレクターの今野(利彦)さんの力を借りて取材したんですが、1人でカメラを持って『こんにちは』って取材先にお邪魔するのも初めての経験で、つたない質問など反省点はたくさんあります」と振り返りながら、「それでも、今回取材を受けてくださった皆さんは、真摯(しんし)に質問に答えてくれる温かい人たちだったので、自分が初めてディレクターという立場で携わる番組がそうした方々を取り上げる作品で、良かったなと思いました」と感謝。
衰退していく伝統芸能など、跡取りがいなくてピンチを迎えている事象に「他人事ながらすごく危機感を感じる性格」だといい、今後そうしたテーマを取材し、番組として伝えることで、少しでも再興の力になりたいと意欲を示す。
今回取り上げた「遺品整理人」も、なかなかなり手の少ない職業だが、完成した番組はそのイメージが大きく変わる内容に仕上がっており、「そう言っていただけると、私のやりたかったことに、わずかでも一歩前進できたような気がします」と笑顔。
「遺品整理人というのは、最初は、現場で遺品をどんどん処分していく仕事だと思っていたんですが、小島さんと増田さんは『これは捨てていいのだろうか』『遺族の人に相談しようか』と、結構悩むんです。処分する物もちゃんと供養するので、その現場だけじゃなくて、本当に最後まで故人のことを思って仕事をしているんですよ。その姿を何度も目の当たりにして、最初に思っていたよりもずっと温かい仕事だと思いました。私もイメージを変えられた人間の1人です」と打ち明けつつ、「本当に信頼できる方々なので、もし自分が1人で亡くなる状況になったら、ぜひあの2人に遺品を整理してもらいたいです」とまで語っている。