彼らにしかない独創的な発想力と世界観で観客を魅了し続けているお笑いコンビ・ジャルジャルの後藤淳平(36)と福徳秀介(36)。持ちネタ8000本ともいわれる圧倒的なネタ数も魅力の2人は、20代の頃は「ネタがいつか尽きるのかな」と不安を感じていたが、36歳になって「ネタが尽きない」と気づき、お笑いがさらに楽しくなったという。“奇跡”という相方との出会い。「どこに向かっているのかわからなかった」と苦悩した時代や、「自分の老けと一緒に、お笑いも楽しんでいきたい」という覚悟など、ジャルジャルの現在・過去・未来を語ってもらった。
――ジャルジャルさんはいつも即興でネタを作られているそうですね。
福徳:そうなんです。「こんなネタを考えてきた」「こんな感じでいきたい」とか話すことはまずないですね。お互いに即興で気になったことを言い合っているうちに、それがネタになっていく感じです。
後藤:普通に生活している中で、突然、始まる感じで(笑)
――即興でネタ作りをすることの強みというのは、どんなことでしょうか。
福徳:やっぱり話し合いや打ち合わせをすると、喧嘩をしたり、揉めると思うんです。僕らは打ち合わせもしないので、喧嘩もしない!
後藤:それに即興で作ると、ゴールを設定していないからこそ、変なネタができる。2人で即興でふらふら、ふらふらとしているうちに、予期していなかったような形が出来上がるんです。それは即興の強みですね。
福徳:それはやっぱり、お互いの信頼感がないとできないですから。“ソウルメイト”と言っていいんでしょうね。「前世で何かあったんだろう」というくらい、ここで通じ合うものはありますね。
■YouTubeの反響に驚きと喜び「新しい発見があった」
――どんどん新たなことにチャレンジしているお二人ですが、2018年2月からは毎日1本コント動画をYouTubeで配信し続け、総再生回数は3億回を突破しています。
後藤:3億回突破というのは僕らも、びっくりしています。そんなに見てもらえるとは、思ってもいませんでした。アイデアとしては出たけれど、単独ライブには採用されなかったというネタをYouTubeに上げて、成仏させていけたらいいな…ぐらいの思いで始めたので、驚きとうれしさでいっぱいです。
福徳:街を歩いていても「YouTube、見ています!」と声をかけてくれる人が、すごく多いんです。おじさんとかも「あれ見たで」と声をかけてくれて、それがアップしたばかりのネタだったりするので、「ほんまにおっちゃんも見てくれているんや!」と思うと、本当にうれしいです。それにライブなどで、お客さんが「アハハ!」と声を上げて笑うものだけが、いいネタではないんだなと気付いた。“笑い声をあげない笑い”というのも、あるんだなと。例えばYouTubeにあげた「明るいけど、ほんまは暗い奴」というネタがあるんですが、あれはニヤッとする、ちょっと闇のある笑い。そういうものは、YouTubeには向いているのかなと思ったり、いろいろな発見があります。
――毎日1本アップされますが、収録はどのように行っていますか?
後藤:収録は月1回。1日で1か月以上分のネタを撮ります。体は疲れますが、楽しいですね。お客さんがいなくてシーンとした場所なので、またそこで思わぬネタが生まれることもあります。
福徳:2時間半くらい撮って、休憩して、また2時間半くらい撮って。キャッキャ言いながら、楽しくやっています。やっぱりネタは、どれだけやっても楽しいですねえ。
――ジャルジャルさんは、圧倒的なネタ数の多さでも有名です。それほどネタを生み出すのは、楽しいものなんですね。
福徳:いやあ、本当に楽しいです。正直、20代の頃は「いつかネタが尽きるんじゃないか」という不安もあったんです。でも36歳になって「どうやら尽きないんだな」と気付いた(笑)。そう気付いたら、より楽しくなりました。
後藤:僕らは、そんなにストイックじゃないので。これもいいんじゃないかと思っていると、なんぼでもネタができてしまう。ハッピーですね(笑)。