――バンバはリュウソウジャーの中でも最強の実力者という設定で、ハードなアクションシーンにも果敢に挑戦されていましたね。
1年間、アクションでやりたいことは全部やらせてもらった、といえるくらい充実していました。バク宙、側宙なども直前に練習させていただき、撮影でお見せすることができたんです。リュウソウブラックのスーツアクターを務めてくださったレジェンドの竹内康博さんにはよくしていただいて、いろいろなことを教わりました。竹内さんと組んでいなかったら、こんなにもアクションを自分でやらせてもらえなかったですし、自分の意見も言えず、言ったとしても通らなかったんじゃないかって思いますね。正統派のレッド戦士じゃなく「ブラック」だからこんなことができたんだな、なんて今にして思うことが本当に多いです。
――リュウソウジャーのメンバーの中で、最初のころから比べて役柄のイメージが変わったと思える方はいらっしゃいますか。
みんな少しずつ、初期のころからだいぶラインが変化してきた印象ですよね。それは、与えられた役について演技するだけではなく、ここをこうしたらもっと深みが出るぞ、面白くなるぞ、とみんなで役を自分のほうに寄せてきているからなんです。リュウソウブルー/メルトの(綱)啓永なんて、最後のほうではだいぶ本人にキャラが近づいてきていますね。バンバについては基本、常に変わらぬテンションで戦っているのですが、ところどころギャグ回があるじゃないですか。第31話「空からのメロディ」で動揺した表情のままステップを踏んでいるとか(笑)。僕としては、バンバはバンバでぜったいにキャラクターの行方を見誤らないようにした上で、少しコミカルな動きもして"幅"を広げていった感じです。
――序盤から"謎"の存在として引っ張ってきた師・マスターブラック(演:永井大)が終盤で登場するなど、最終局面においてもバンバ周りにはいろいろエピソードがありましたね。
タメにタメた感じで出てきますよね、マスターブラック! 僕は以前の回(第13話「総理大臣はリュウソウ族!?」)で奥さま(永井大夫人・中越典子)と共演させていただいたのもあって、強い思い入れがあります。永井さんが『未来戦隊タイムレンジャー』(2000年)のタイムレッドなのも知っていて、スーパー戦隊ファンにとってもうれしいキャスティングだと思うんですが、トワ(リュウソウグリーン)の小原くんが「そのころまだ生まれてません」なんて言うので、世代間ギャップに驚愕しました(笑)
――最終回を終えたタイミングで感じる、メンバーそれぞれの雰囲気とはどのようなものでしょうか。
僕が上から言えることではないんですけれど、みんなとてもたくましく成長したなってときどき実感することがあります。特撮ファンの方たちからすると、少し寂しさがあるかもしれませんが、みんな『リュウソウジャー』の次にどんなことがやりたいか、あるいはどんなことをやるのか、"次"へと向き始めているんです。終盤の段階ですでに「僕がこういう芝居をしたら目立つ」とか「あのとき、あんなことをやったら目立ったよね」みたいな話題が多くなってきました。みんないい意味で欲が出てきて、どうしたら画面の中で自分に注目してもらえるか、を考えるようになった。とてもいいことだと思っています。
――『リュウソウジャー』の撮影期間を経て、どんどん俳優らしい考え方が身についてきたということですね。
颯や啓永は何も知らなかったところから始めて、これだけの人数の前で芝居をしてきたことで、本能的に"芝居すること"が身体に染みつき、今後もやっていくんだと思います。僕の場合、下積みの期間が長かったですし、これだけ多くのスタッフさんたちが関わっている作品も他にないって分かっているんです。今後、ここ(リュウソウジャー)から別の作品に行ったとき、自分がメインではない場所でもどうやって自分を表現するかなど、苦労があったりします。しかし、その分またメイン(主役)を張るようになったときの"強さ"も身についている。みんなこれからどんどん成長を重ねていき、仲間でありながら俳優として"怖い"存在になっていくんじゃないかと思っています。