――自粛生活の中でインスタライブも積極的に行われていましたが、以前からやられていたのでしょうか?
要所要所でやっていましたが、こんなに頻繁ではなかったです。1人でしゃべったり皆さんと交流するのは得意だったので、自粛生活の中でできる限りやっていこうと。基本的にはくだらないことを話しているんですけど(笑)、皆さんに寄り添えたらという思いでやっています。
――インスタライブはすごく身近に感じますよね。
僕もそれは、ほかの人のインスタライブを見てよく思うので、友達としゃべっている感覚で見てもらえたらと思います。コロナきっかけで始めたものとすると、YouTubeはそうです。前々からやりたいと思っていたものの、どうやっていこうと考えていてなかなか始められず、でもこの状況になったので、とにかく1人でも笑ってもらえればというところからスタートさせました。これから面白い企画もいろいろやっていけたらと思っていますが、基本的には自分が好きでやることが一番大事だと思っているので、考えすぎず楽しみながらやりたいと思います。
――コロナ禍だからこそ気づけたなと感じていることはありますか?
人間が作ったものはもろくて、どれだけお金持ちだろうと、権力者だろうと、自然には勝てないんだなと。スペイン風邪が流行った頃からすると、今はものすごく未来で、とんでもない進化を遂げているにもかかわらず、人間はそこに抗うすべがないというのをひしひしと感じています。今はとにかく、一人ひとりできることを精一杯やって、前を向いて生きていくこと。亡くなった方たちや夢を断たれた方たちの分もしっかりと、支え合って愛し合って生きていくことが大事だなと思います。
――人とのつながりの大切さは改めて感じますよね。
そうですね。人は1人じゃ絶対に生きられないって言われてますけど、本当にそれに尽きるなと。1人じゃ生きられない、誰かによって生かされているということを、コロナで改めて再認識しました。
――コロナ禍をきっかけに生き方や働き方を変える、もしくは変えざるを得ないという人も多いですが、城田さんの変化はいかがでしょうか。
すでに劇的に変わってますからね。コミュニケーションの取り方も、すぐに「密です」って言われますし、僕らみたいな立場の人間は人目も人一倍気にしないといけない。何も悪いことしてないのにずっとビクビクしているみたいな現象がすでに起こっています。今までの常識が常識ではなくなり、新しい常識ができてきて、これからさらに変化を感じると思います。
――エンタメ業界も変化を余儀なくされつつあります。
ミュージカルやコンサートなど、人を集めて初めて成立するエンターテイメントは、これから本当に知恵を振り絞ってやっていかないといけないですし、コロナが落ち着いたところでまた別のウイルスが出てきたら同じことですから、そういう意味では我々はとにかく起こったことに対して対応していくしかないのだと思います。もちろん深く考えたりもするんですけど、どれだけ対応できるかということに時間をかけた方が賢いんだろうなと思いながら最近は生きています。
――自粛生活の中でエンターテインメントに救われたという方も多いと思いますが、城田さんも改めてその力を感じることはありましたか?
そうですね。この2、3カ月の間は、人に救われたというのと同じように、エンターテイメントに救われたなと強く感じていますし、エンターテイメントは人の心を癒やすことができると確信しています。だからこそ、誰か1人の心でも救えるのであればやる意味があるという思いで、僕も音楽など発信しています。実際にそういった言葉をかけてもらって無駄ではないんだと思いましたし、エンターテインメントの力は絶大だなと改めて感じています。
――これからミュージカルやコンサート、また、吹き替え声優を務められた映画『2分の1の魔法』(8月21日公開)の公開も控えています。今後の活動を楽しみにしているファンの方にメッセージをお願いします。
継続は力なんですよね。線香花火みたいに火は小さいかもしれないけど、最後の最後まで、寿命を全うするまで燃え続けられるような、そして、確実に周りの人のことは照らせるような人間でありたいと思っているので、つらい時、苦しい時は、ぜひ城田を頼ってきてください。僕も皆さんを頼ることがあると思いますけど、持ちつ持たれつ、ギブアンドテイクで支え合っていきましょう!
城田優
1985年生まれ。2003年に俳優デビュー以降、ドラマ、映画、舞台と幅広いジャンルで活躍。代表作に、ドラマ『ROOKIES』(08)、『SPEC~警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿~』(10)、『純と愛』(12)、『GTO』(12~14)、映画『羊と鋼の森』(18)等がある。舞台では2010年にミュージカル『エリザベート』で第65回文化庁芸術祭「演劇部門」新人賞を受賞、2018年にはミュージカル『ブロードウェイと銃弾』で第43回菊田一夫演劇賞を受賞するなど数々の賞を受賞。昨年は、ブロードウェイミュージカル『ピピン』日本語版に主演、ミュージカル『ファントム』で演出・主演を務め話題に。今年11月にはミュージカル『NINE』に出演が決定している。また、ディズニー&ピクサー映画最新作『2分の1の魔法』が8月21日公開予定(吹き替えキャスト出演)。映画『新解釈・三國志』が12月11日公開予定。
写真:ソニー・ミュージックレーベルズ提供