母親のすすめでプログラミングスクールに
「僕が小さいころにSwift Playgroundsがあれば、きっと夢中になっていたでしょうね」と語る杉山さんは、幼少の頃から“ものづくり”に強く興味を惹かれていたといいます。母親とスーパーマーケットへ買い物に出かける時には、おもちゃではなく乾電池をねだることもあったそう。とにかく、電子工作や機械を分解して仕組みを知ることに熱中していたのだとか。
学校の勉強とともに、ものづくりへの興味関心を伸ばしてあげたいと考えた母親に勧められ、杉山さんは小学生のころからプログラミングスクールに通い始めました。そして、プログラミングというかたちで同じものづくりに情熱を燃やす仲間たちと出会い、切磋琢磨しながら杉山さんはめきめきと力を付けてきました。現在も、高校に通いながらプログラミングスクールで学んでいるといいます。
Swift Student Challengeとの出会いは「中学生のころから通っているプログラミングスクールの方にWWDCのスカラシップの存在を教えてもらい、2020年のWWDCではぜひエントリーしたいと考えていたことがきっかけ」だったと杉山さんは振り返ります。
父親からMacを譲り受け、iOSアプリ開発の道が拓けた
小学生のころに父親が使っていたMacを譲り受けたことから、杉山さんはSwiftによるiOSアプリのプログラミングに興味を持つようになったそうです。杉山さんは、これまでにもiOSアプリを開発し、App Storeに公開してきました。
杉山さんは、学校の部活動の仲間たちとAR技術を使ったクイズアプリ「部長とクイズバトル!」を制作して、同年秋に開催された文化祭に出展した際のエピソードを振り返ってくれました。学校が所有する20台のiPadにアプリをインストールし、文化祭に足を運んだ約1,500人の来場者に体験してもらったところ好評を博し、展示大賞で見事に1位を獲得。今は、新しい観光SNSアプリの開発にも着手しているそうです。
アップルが提供するデベロッパーツールのメリットとして、杉山さんは「SF Symbols」という1,500を超えるシンボルフォントが使えることを挙げています。
「シンボルを自分で制作・入手する手間を省くことができて、しかもアプリのインターフェースを統一感のあるデザインに仕上げられることが魅力的だと思います。プロダクトの機能とユーザー体験、デザインを一体のものとして捉えているアップルの強みを端的に表す一例といえるのではないでしょうか」
プログラミング教育に親子はどう向き合うべきか
2020年度から施行される学習指導要領には、小学校から高校までの各学校でプログラミング教育が必修化されることが記されています。実際に学校で教育を受ける子どもや学生たちよりも、保護者が耳馴染みのないプログラミング教育をどのようにして我が子に勧めればよいのか、戸惑っているのではないでしょうか。
杉山さんの場合は、小学生のころにMacとプログラミングスクールに出会い、現在はSwiftによるコーディングを覚えてデベロッパーとしての道を歩み始めています。アプリ開発を本格的に始めてから、人との出会いが広がっているそう。また、今回のように栄えあるSwift Student Challengeの受賞者に選ばれたことが大きな自信につながり、成長の手応えを実感していると、杉山さんは会心の笑みを見せてくれました。
今後の国際化社会を生き抜くうえでも、プログラミングのスキルは外国語を話せることと同じくらいに、あるいはそれ以上に大きな財産になると思います。「将来は海外留学に出て見聞を広めてみたいし、アップルで働く機会にも巡り会いたい」と夢を語ってくれた杉山さん。これから、何度も大きなステップアップの機会が訪れることでしょう。
杉山さんがWWDC 20に期待していること
いよいよ、日本時間の6月23日にWWDC 20が開幕します。杉山さんは、次世代のiOS 14に関連する発表が一番気になるトピックスだと語ります。iOSアプリのデベロッパーとして、UIやUXの設計に関わる細かいことも含め、どのような変化が訪れるのか楽しみにしているそうです。
アップル独自のARのフレームワークである「ARKit」に関連する話題も注目しているといいます。兼ねてからウワサが絶えない「アップルのARスマートグラス」に関わるアナウンスもあるのでしょうか。アップルのスマートグラスは、ハードウエアとしても期待しているし、それを活用した没入型のアプリもぜひ手がけてみたいと語る杉山さん。「23日の基調講演は日本時間では深夜の開催ですが、ぜひオンタイムで視聴したいと思います」という言葉にも熱がこもっていました。
年に一度の“眠れない1週間”が間もなく訪れようとしています。アップルがどのような発表をするか、ぜひ注目しましょう。